端麗辛口な”べっぴんさん”/ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート

端麗辛口な”べっぴんさん”/ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート
ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏 ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏 ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏 ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏 ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏 ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏 ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏 ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏 ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏 ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏 ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏 画像ギャラリーはこちら
ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏

2003年のデビュー以来、アストンマーティンの中核を担ってきたロングセラー「DB9」の後継モデル『DB11』に試乗した。100年を超える歴史を持つ同社が、次なる世紀に向けて送り出した記念すべきモデルだ。十数年の時を経てフルモデルチェンジを果たした”新生”DB11の印象を、モータージャーナリスト今井優杏さんのインプレッションで紹介する。

>>[画像60枚]ASTON MARTIN DB11 フォトギャラリー

ああ、なんと華ある佇まいなことか

ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏

淡麗辛口、すこぶるつきの別嬪さん(べっぴんさん)である。

世にクルマ数多あれ、全方位でここまで「綺麗」なクルマはそうそうお目にかかれない。一見して高邁、一見して成就。ああ、それにしてもなんと華のある佇まいだろうか。

きっと、個人的にもんのすんごくタイプなんだろうと思う。その昔、前身であるDB9にも、一瞬で心を撃ち抜かれた経験を持つ私のことだ。アストンマーティンのグランドツーリングカーシリーズである“DB”を冠するモデルの系譜は、テッパンで心に刺さってしまうからくりになっているみたい。

だって見てくださいよ、フォトギャラリーを! 流麗ってまさにこのこと。

ラジエターグリルの開口部はまるで水面にオイルを垂らしたかのような有機的な曲線で押し拡げられ、そこだけを見れば驚くほど女っぽい印象。なのにボンネットには折り目の立った強いプレスラインが施され、ボンネットベントを挟んでショルダーラインに流れてゆく手法はあくまでマニッシュに完結している。

ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏

サイドビューは、さらにため息モノだ。

ルーフラインのなめらかさ、その傾斜角、そしてヒップラインにかけての収束がまあ見事。盛大に張り出したリアフェンダーは、その全体的にクールなラインのせいで過剰な色気を振り撒き過ぎない。そう、大仰な抑揚を多用しているのにもかかわらず、全体的な印象はとてもクリーンなのだ。

なんつーか、こんなカーデザインってあるんやねぇ、とまこと惚れ惚れする仕上がりだ。

ロングセラーDB9の後継モデル

ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏

そう、今回試乗が叶ったアストンマーティン DB11は2003年からという長きにわたり同社にラインナップしてきたDB9の後継モデルだ。なんともロマンティックなことに、DB10は映画「007 スペクター」だけのために10台のみ生産され(あのミスティックなアトモスフィア漂うストーリーの中で、なんと妖艶にぴったりとハマっていたことか!)、市販モデルは「11」からのリスタートになる。

ボディーもエンジンも完全に新設計、全てが刷新されたそれは、いまからちょうど1年前のジュネーブモーターショーでお披露目となったのだが、実物を目にしたのはこの試乗の時がはじめて。

果たして実物は、そのすこし伏し目がちにも見える憂いを秘めた瞳、すなわちLEDがきめ細やかに埋め込まれたヘッドライトの中を覗き込んだだけで、ゾクっとさせられるほどの魔力に満ちていた。

超絶技巧が施された内装の魔力に吸い寄せられる

ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏

魔力といえば、内装もまたこれが超絶技巧。

ここまで凝ったステッチを、パンチングを、シートの上に再現する贅沢たるや!

そのひと針ひと針のステッチがまるでシャネルのキルティングバッグのように立体的に折り重なり、アートのような世界が繰り広げられているのだ。座面にも背面にもふんだんに施されたこのステッチは、グッドルッキングなだけではなく、ドライバーの座圧を分散するのにも貢献している。ああ、なんてことだ!と天を仰いで見ればそこにも隙間なくアルカンターラが張られ、細かなパンチングとキルティングが施されていた。絶句。

また、ナビ関係も一新している。コンソールに置かれたコマンドダイヤルやボタンで、内蔵のナビやインターフェースを操作出来るようになった。もちろんこの周囲にもくまなくレザーが張り巡らされているこだわりようは圧巻。

隙ナシ。カンプなきまでに完璧でございます。

>>ASTON MARTIN DB11をフォトギャラリーでチェック![画像60枚]

イマドキ、5.2リッターV12ツインターボを搭載する強気なアストン

ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏

諸元も負けず劣らず陶酔系だ。

5.2リッターV12ツインターボエンジン。GTモデルでV12ですよ! このダウンサイジング真っ只中にあって、いやはやなんやねんその強気のスペックは!

この21世紀にまさかそんな怪物と新車でお目にかかれるなんてもう、それだけで向かうところ敵なし、競合蹴散らす孤高の存在になり得る最強の手札じゃないか。その最強の心臓をもって、608psを6,500rpmで生み、700Nmというトルクをわずか1,500rpmで発生させる。0-100km/h加速は3.9秒。最高速は322km/hと発表されている。

トランスミッションも最新の8速ATにアップデート

ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏

さて、ルックスではメロンメロンのベロベロに惚れさせられていたDB9だが、モデル末期には特にトランスミッションの旧さ、というか前時代感が漂っていたことも否めない。現代のクルマづくりにおいて、エンジンそのものもさることながら、トランスミッションの進化がドライバビリティーに大きく寄与するのはご存知の通りだ。

もちろんDB11においてはそちらも完全に刷新されている。新たに搭載されたのはZF製の8速ATだ。

その走りを試すため、エンジンを眠りから覚ますのはインパネに置かれたスタータースイッチだ。

DB9ではキーをここにぶっ刺すという手法を取っていたが、DB11からはさらにノーブルにスイッチ式の始動となった。シフトは変わらず、そのスタータースイッチの左右に置かれたガラスの円いボタンをプッシュする独自の方式を踏襲している。

V12の低く乾いたサウンドにココロ踊る

ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏

低く設えられたドライビングポジションに身体を埋めて、そのスタータースイッチを押せば、V12気筒の乾いた低いエンジン音がヴオン、と吠え始める。この、大排気量ならではの始動の心揺さぶる感じはやはり、どう考えても蠱惑(こわく)的で心が踊る。

アクセルペダルを踏んでいけば、出だしから8速ATの恩恵を存分に受けることができる。前身ではややルーズだった踏み込みからの反応の鈍さは綺麗に払拭され、スッキリとクラス相応な発進を見せた。

ドライビングモードはデフォルトのGT、その上のS、そしてSSと3段階に設定されているが、サスペンションもそれに合わせて3段階に減衰を変える。

その操作はすべてステアリングホイール内に配されたボタンひとつで行うことが可能なのだが、むろん市街地ではGTで十二分にコト足りる。

高回転域の爽快さにニヤニヤがとまらない!

ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏

今回は市街地と高速道路でのみの試乗になったが、5.2リッターV12ツインターボはさすがにパワフル。ほんの少しの踏み込みだけでするりと滑らかに車体を進め、車内にもたらされる印象はひたすらにコンフォータブル。アシまわりもスポーティーながらにガツガツしすぎない市街地セッティングが絶妙で、デート仕様も完璧にこなす。

それでいて車内にはきちんとエンジンサウンドが心地よくフィードバックされてくる。せっかくのV12サウンドを完全に遮断することを選ばなかったという判断が嬉しかった。

そしてやはり、市街地領域においてはこの8速ATの素直さが光る。どれだけ高級車であっても、高回転型のスポーツカーにおいてはたまに超低速域が苦手、という現象がたまに起こりうる。その点、DB11はきっちり現代のクルマとして進化を果たした。シフトアップ・ダウン双方においてクレバーに、そしてシームレスにギアをチョイスしてくれるため、加減速においてのギクシャク感も皆無。ストップ&ゴーの多い日本の一般道でも、オーナーがストレスを感じることはないだろう。

もちろん燃焼の花道が置かれる高回転域の爽快さにはニヤニヤが止まらない。思わずどこまでもアクセルを踏み込みたくなってしまうけれど、クローズドコースでもないかぎり、そこはグッと我慢して己を自制するほかなさそうだ。

あのスパイだって、このブレーキには満足するだろう

ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏

ちなみに、ものすごく感動したのは制動方向。ブレーキがめっちゃよく効く。サーキットでヤンチャに振り回したい人にも(そんな人日本にいるのか?!いたら是非私を扶養してください!←違)、もちろん007でさえも、このブレーキならさぞかし安心して派手なカーチェイスを展開できるんじゃないだろうか。

[レポート:今井優杏/Photo:和田清志]

>>ASTON MARTIN DB11 フォトギャラリー[画像60枚]

ASTON MARTIN DB11 主要諸元

全長x全幅x全高:4739x1940x1279mm/ホイールベース:2805mm/車両重量:1770kg/乗車定員:4人/駆動方式:後輪駆動(FR)/エンジン種類:V型12気筒 DOHC 48V ツインターボチャージャー ガソリンエンジン/総排気量:5204cc/最高出力:608ps(447kW)/6500rpm/最大トルク:700N・m/1500-5000rpm/トランスミッション:8速オートマチックトランスミッション/0-100km/h加速:3.9秒/最高速度:322km/h/サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式(後)マルチリンク式/タイヤサイズ:(前)255/40ZR20(後)295/35ZR20/前後重量配分:(前)51%(後)49%/メーカー希望小売価格:25,915,720円[消費税込]

ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏ASTON MARTIN(アストンマーティン) DB11 試乗レポート/今井優杏

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

アストンマーティン DB11の最新自動車ニュース/記事

アストンマーティンのカタログ情報 アストンマーティン DB11のカタログ情報 アストンマーティンの中古車検索 アストンマーティン DB11の中古車検索 アストンマーティンの記事一覧 アストンマーティン DB11の記事一覧 アストンマーティンのニュース一覧 アストンマーティン DB11のニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる