メーカー公表の燃費数値って、どうやって測定しているの?

メーカー公表の燃費数値って、どうやって測定しているの?
日産 新型マーチ トヨタ プリウスの10・15モードとJC08モード燃費 画像ギャラリーはこちら

メーカー公表の燃費数値って、どうやって測定しているの?

メーカーが公表する燃費数値って、どのように測定しているのですか?

例えば、ローラー式の動く床の上において無人乗車で測定しているのか?それともドライバーのみの乗車で実際に走行して測定しているのか?またはフル乗車で測定しているのか?実際は公表数値と違うので疑問です。

ご存知でしたら教えてください。お願いします。(コブラツイスターさん)

其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!

現在、日本でカタログ燃費というと、いまだに10・15モード燃費が中心ですね。

日産 新型マーチ

これは、市街地を想定した10種類の走行パターン(0~40km/h)を3回、高速道路や郊外を想定した15種類の走行パターン(0~70km/h)を1回行った合計の平均燃費です。

低速な市街地走行が多い日本での運転パターンを想定しており、日本国内だけで使われています。

もうちょっと詳しく書きますと、

●3,000km慣らし走行後の車両

●完全暖機状態60km/h15分暖機後モード測定

●走行抵抗設定車両(空車)状態+110kg(2名乗車分)。それを125kg~250kg間隔で設定された走行抵抗値に当てはめる。

●搭載電気機器“OFF”状態

●エアコン“OFF”で測定

という条件下での測定なんです。これが制定されたのは1991年、平均速度は23km/h。たまたまですが都内の幹線道路の昼間の平均速度(22km/h)に非常に近いですね。

このテストはどこで行われるかというと、試験場屋内の計測器のローラー(シャシーダイナモ)の上です。これは、全車を可能な限り公平な条件で測定するため。そのうえで、気温20度、湿度50%という条件に補正計算されます。

燃費は、当日の天候はもちろん、気温や湿度だけでもかなり変わってきます。メーカー側にすれば、テスト当日の天候で不利になったらカナワン!と思っちゃいますから、これは仕方ないでしょう。

燃費試験で運転を担当するのは、スペシャルなテクニックを身に付けたメーカーのテストドライバーです。「神の右足を持つテストドライバーがいる」などと噂されるほどで、はっきり言って常人ではありません。これも、カタログ燃費と実燃費がかい離するひとつの要因ですね。

この10・15モード燃費、欧米の基準に比べ実走行とかけ離れすぎているということで、現在は「JC08」というモード(コールドスタート最高速度は70km/hから80km/hにアップ平均速度24.4km/h)が導入されています。

こちらで測定すると、国産車は約15%燃費がダウンしますが、輸入車は逆に向上するケースもあります。

10・15モード燃費とJC08を燃費を比較すると、

トヨタ プリウスの10・15モードとJC08モード燃費

プリウスL…38.0km/L → 32.6km/L(14%ダウン)

フィット1.3G…24.5km/L → 20.6km/L(16%ダウン)

ミニクーパーS(6MT)…19.2km/L → 17.8km/L(7%ダウン)

ポルシェパナメーラターボ…7.7km/L → 8.0km/L(4%アップ)

なぜこうなるかというと、国産車は10・15モード燃費でいい数字が出るように、エンジンの燃料噴射やギアをセッティングしているからです。

実態とかけ離れたテストに合わせてクルマをセッティングしているので、実走行燃費との差が非常に大きくなってしまうというわけなんですよ。

10・15モードが廃止され、JC08モードに統一されれば、今度はそちらに合わせたセッティングになっていくでしょうが、JC08モードは現在ようやく表示が義務化された段階で、完全移行は2015年から。

現在は端境期で、まだ10・15モードが基準になっています。

輸入車が10・15モードとJC08モードであまり差が出ないのは、JC08モードが、実際の交通状況や欧米の測定方法に比較的近いからです(ヨーロッパの計測モードは、最高速度120km/h、平均速度33.6km/h)。

JC08モードなら、実走行と比べ、2割程度の差に収まると思います。たとえば、フィットで16km/Lは十分現実的です。パナメーラターボでは、ロングドライブですが、実際に10.1km/Lを出したことがあります。

MJブロンディの「ひとりごと」

プリウスでは、東京―能登のロングドライブで26km/Lをマークした経験がありますが、一般的には22km/Lくらいでしょう。

トヨタのハイブリッドカーは、JC08モードでもカタログ燃費が異常に高い数値になる傾向がありますが、それは、それだけ特殊な燃費向上テクニックが使える余地があるからではないかと推測しています。

プリウスの燃費テクニックについては、バックナンバーを見てくださいね。

プリウスの燃費向上テクニック

プリウスの燃費向上テクニック2

たぶん、この他にも秘密の裏ワザがいろいろあるのでしょう。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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