愛車の限界に挑戦!学生カーソムリエ『2014 YOKOHAMA & PROSPEC Autumn Driving Park』参戦記(2/2)
- 筆者:
- カメラマン:茂呂幸正
学生カーソムリエ 小川貴臣さん/京都大学/愛車:ダイハツ エッセ
インストラクターの方に運転を指導いただけると聞き、今回のドライビングスクールへの参加を決めた。愛車はなんの変哲もない軽自動車のエッセだが、上手な運転にクルマは関係ない、と自分に言い聞かせつつ、スポーツカーだらけの現場に足を踏み入れた。
まずは、スラロームと踏力一定減速の練習をおこなった。スラロームは通過速度を一定にして、操舵が連続的にリズムよくなるように努めた。踏力一定減速においては、ブレーキを踏み始める位置と速度を変えて、それぞれの場合での適切な踏力を身体に染みこませることとした。至極簡単な操作にもかかわらず、停まるべき位置にピタリと合わせるのはなかなか難しかった。
続いてコーナリング練習。とりわけ荷重移動を意識するということをインストラクターの方から指摘された。しっかりとしたブレーキングで前に荷重をかけ、前輪の摩擦円が大きい状態を保って、タイヤの仕事を制動から旋回へとなめらかに変える。頭では理解できても、速度が出ている状態でこれを正確に実行することは難しく、コーナーごとにバラつきが出てしまった。
しかし、上手く荷重移動が決まってヨーが作れたときは、普段乗っているときからは想像も出来ないほどの粘りを伴った旋回になり、正直とても驚いた。ちなみにエッセはスタビライザーが無く、ロール角が非常に大きいため外から見ているとなかなか衝撃的な光景だったようだ…。
今回ドライビングスクールに参加して、上手な運転は楽しく、かつ安全なものだと気づくことが出来た。 理想通りの挙動にクルマを動かせると、例えそれがスポーツカーでなくても本能的に楽しい気分になる。
また、クルマを自分のコントロール下に置くという点では、確実に安全運転につながる。自動ブレーキシステムの制動距離よりも、どれぐらいの踏力でブレーキを踏めばどれだけの距離でクルマを停止させられるかを身体で知っているかどうかの方が本来は大事なはずだ。
スクールからの帰り、街を走っていると漫然に運転を続けるドライバー、無謀な操作を行うドライバーが自然と目につくようになった。こうした上手な運転について考える機会がもっと身近に行われれば、日本のクルマ社会、クルマ文化ももっと成熟したものになっていくように思える。
もちろん私自身も、日々の運転にもっと集中し、操作の精度を高めるよう練習を続けていきたい。
学生カーソムリエ 竹内綾汰さん/豊田工業高等専門学校/愛車:スバル インプレッサ
初の愛車であるインプレッサを手に入れて1年と少しが経過し、運転にも慣れてきたタイミングで、このドライビングスクールへ参加。この1年の間に何度かミニサーキットを走る機会があったが、車のパワーに任せて走っていると感じていたので、今回はそれを少しでも矯正することを一つの目標に据えて取り組んだ。
今回のドライビングスクールの中でも特に印象に残ったのは、ウェットの旋回路での走行だ。例えば、オーバースピードでコーナーに進入したときや、ハンドルを切りすぎたときなどにはアンダーステアが出てしまう。これをいかに出さずに走るか、というのがポイントであった。
始めにインストラクターの方に運転してもらい、それを助手席から体感した。その中で、アンダーステアを消すにはコーナリング中に軽いブレーキをかけ、フロントに荷重をかけることが重要だと教えていただいた。
次に、実際に自分で運転する際に、軽いブレーキを意識しながら運転をした。すると、今までは無理やりハンドルを回して、アンダーステアを出しながら曲がる運転だったが、軽いブレーキをかけることにより「くるん」と車が曲がり、ハンドルを回しすぎていないことが良くわかった。運転の仕方でこんなにも車の挙動が変わるのかと、とても感動した。
他には半径の異なるヘアピンカーブをつなげたコースで、ライン取りや目線の位置、ハンドル操作を教わった。中でも効果を感じたのは目線の位置についてだ。今までにも、目線の位置を常に先のコーナーの方へ向けることが重要であることは聞いていたが、実際にやってみようと思うと難しい部分があった。
しかし、今回はインストラクターの方に助手席に乗っていただいたり、運転していただいたりする中で、具体的にどのタイミングで、どのあたりに目線を置くのか、ということを教わることができた。さらに、同じコースを何度も走ることで、少しずつ自分のものにできたのではないかと感じた。
このドライビングスクールに参加したおかげで、今まで「フロント荷重」や「目線の位置」などの、言葉としてしか聞いたことのないドライビングの要素を体感でき、さらに自分で実践することで少しずつではあるが身につけることができたと思う。今回教わったことを生かして、車の特性を引き出せるような運転につなげていきたい。
学生カーソムリエ 松浦俊宏さん/日本大学/愛車:スズキ スイフト
日本で安全運転に努めていれば体験することのできない限界走行を体験したいと思いスクールに参加。当日は路面がウェットで絶好のコンディションだった。
まずは「スラローム」。スラロームを抜けるごとにアクセルを踏みロールが大きくなってしまう私の走行に対して、アクセルを一定に、無駄のないステアリングの切り角でスムーズに駆け抜けてしまうインストラクター。助手席に乗っていてもその気持ちよさに驚嘆。
続いて「ブレーキング」。目標位置に向かって同じ踏力でブレーキしてゆくトレーニング。初めて愛車のABSを効かせ、ここまで踏まなければABSが作動しないことに驚いた。また、わずかな踏力の違いでも80キロからのブレーキングでは制動距離に大きな違いが生まれた。いざという時に、踏力の無い女性やお年寄りでも最大限のブレーキングをサポートしてくれるブレーキアシスト機能は非常に有効であるなと感じた。
次は「定常円旋回」。ウェットの低μ路で円を描くように走行し、アンダーステアを体験。アンダーステアが出る前のハンドルの震えやクルマの動きを初めて体験。こんな簡単にアンダーステアが出てしまうのかという印象で、雨天時の高速道路では簡単に再現出来てしまうのではないかと思う。アンダーステアが出た際は、アクセルオフにするよりも、弱くブレーキを効かすことでスムーズに復帰できることも学習。氷上時の走行でも活かせそうだ。
そして「ハンドリング」。ハンドルの持ち方や、ライン取り、ギアの選択や目線の位置まで多くのことを学習。GT6で鍛えたお陰(?)で、スムーズなスローインファーストアウトを実践できたものの、ハンドルの持ち方や目線の位置など実際に走行してみなければわからないことを再確認出来たのは大きな収穫だった。
最後に最小限のGでタイムを競うアタックを実施。最小限の舵角・アクセル・ブレーキでコースを駆け抜けてゆくのは非常に難しく、自分の運転にはまだまだ無駄が多いことを感じた。 愛車の実力とクルマの限界を初めて体験できたレッスン。クルマの限界を知ることで、普段の運転の見方が大きく変わった。教習所では学ぶことのできない「クルマの限界」を是非多くの人に体験してもらいたいと思う。
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