北京モーターショー2010 現地レポート(2/2)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:桃田健史
上質化、高級化、電動化が加速する中国地場メーカー
日本人の多くは、「中国車=日本車のパクリ」というイメージが強いはずだ。
確かに、明らかなデザイン盗用と思われる案件は、今回のショーでも多数見受けられた。しかしそれは、中堅企業に多く見られる現象だ。
中国大手メーカーは「多少日本車っぽい」「多少欧州車っぽい」という感じで「デザイン盗用が巧妙化」してきている。これなら、訴訟になりにくい。
また、ドアの閉まり具合、室内各部の質感などは「日本車級」のレベルになった中国車がほとんど。エンジン、トランスミッションも日米欧系の部品メーカーの協力もあり、中国車の走行品質が急激に上がっている。
では、主要な中国メーカーの注目車を紹介する。
「中国一汽」は、トヨタとの合弁企業を持つ実力派。独自のハイブリッド車システムを展示して「我こそは、技術力No1」を中国内外に対してアピール。さらに電気自動車コンセプトモデル「E-COO」、「E-Wing」も展示した。
「奇瑞汽車(Chery)」は中小型車を中心に販売を伸ばしている、準大手。最近は、高級ブランド「RIICH」をプッシュしていて、中国車としては珍しく、独ニュルブルクリンクでのタイムアタックなども実施。また、米ベンチャーのベタープレイス社と組んで、中国市場での交換型バッテリー事業にも乗り出すと発表した。
「吉利汽車(Geely)」も中小型車が主体の準大手。これまでに、電気自動車、プラグインハイブリッド車を独自開発してきたが、今回はさらに量産化に近い車両が登場。
「帝豪 EC8」は排気量1リッター三気筒エンジン搭載のプラグインハイブリッド車。EVモードで60km走行可能で最高速度は150km/h。「全球鷹 EK-2」は電気自動車でフル充電での巡航距離は180kmに達する。
「BYD/BuildyourDreams」は、欧米市場ですっかり有名になった準大手だ。元々は蓄電池メーカーであり、自動車製造業を買収して電気自動車を含む自動車メーカーとして大躍進を続けている。
今回は電気自動車「e6」のタクシーと、暗証番号登録型の急速充電スタンドを展示。また新型のガソリン車として、小型セダン「L3」(1.5リッター中心)、中型セダン「i6」(2.0リッター中心)を公開した。
2009年、販売台数1,364万台を記録した中国市場。今回北京ショー、日系メーカー関係者たちは2010年の販売総数予測を「1,700万台強」と予測した。
日米市場を引き離し、ひとり勝ち状態の中国市場。だが、不動産や株などの分野で中国は確実に「バブル期」に突入しており、今後、自動車市場がどうなるのかが注目される。
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