スポーツカーの販売不振は自動車メーカーの「諦め」が原因!?(3/3)

スポーツカーの販売不振は自動車メーカーの「諦め」が原因!?
マツダ 初代ロードスター(1989年) マツダ 初代ロードスター(1989年) マツダ 初代ロードスター(1989年) マツダ 初代ロードスター(1989年) マツダ 初代ロードスター(1989年) マツダ 4代目ロードスター(2015年) マツダ 4代目ロードスター(2015年) マツダ 4代目ロードスター(2015年) マツダ 4代目ロードスター(2015年) マツダ 4代目ロードスター(2015年) マツダ 4代目ロードスター(2015年) 画像ギャラリーはこちら

人気となるスポーツカーの価格は「300万円」が上限

全般的にはクルマが生活のツールになって実用的な車種が売れるが、その一方では、クルマ好きの多い中高年齢層に、欲しい車種を素直に選べる新しい生活環境が整ってきた。

これを象徴するのが、根強く売れ続ける「トヨタ 86」や「マツダ ロードスター」、輸入車、SUVなど趣味性の強い車種になるわけだ。

レクサス RC F

ただし、スポーツカーについては「日産 GT-R」「日産 フェアレディZ」「レクサス RC」など、Lサイズの高価格車になると売れ行きが下がる。

エンジンの排気量は2リッター以下で、車両価格は300万円前後が上限になるようだ。

スポーツカーは後席を備えても実質的に2人乗りだから、セカンドカーとして使われるケースが多く、価格が高いと選びにくい。「86」「BRZ」「ロードスター」あたりが実質的な上限になる。

手頃なスポーツカーが少ない要因は、日本メーカーの基本的なクルマ造り

スバル WRX S4 SporVitaマツダ アクセラ XD

となればコンパクトカー、ミドルサイズハッチバック、コンパクト/ミドルサイズセダンなどのスポーティグレードも充実させたい。

現状では、「マツダ アクセラ XD」「マツダ デミオ XD」「スバル WRX」程度しか選択肢が見当たらず、空洞化を招いている。「ホンダ フィットRS」「トヨタ ヴィッツRS」などは選べるが、魅力としてはいまひとつだ。

背景にあるのは、基本的なクルマ造りだろう。

欧州車はベーシックな車種でも入念に造り込むから、スポーティなエンジンや足まわりを与えても、走りと乗り心地のバランスが保たれる。しかし、日本のコンパクトな車種は1~1.3リッターエンジン搭載車に重点を置くので、1.5リッターエンジンを搭載して操舵感なども機敏に仕上げると、乗り心地が粗くなったり不満が生じやすい。

今後はスポーティグレードの設定も前提として、コンパクトカーの基本性能を引き上げると良いだろう。

スポーツカーを諦めるのは、まだ時期尚早

マニュアル車イメージ(スバル BRZ tS)マニュアル車イメージ(ホンダ S660)

時代錯誤に思えるかも知れないが、マニュアルトランスミッションの設定も、スポーツカーやスポーティグレードでは好まれる傾向が強い。クラッチ操作を含めてギヤチェンジを自分で行うことが、運転の楽しさを盛り上げるからだ。

特に動力性能が高くない、比較的コンパクトなスポーティモデルの場合、マニュアルトランスミッションを駆使して高回転域を積極的に使うと、愛車の性能をフルに引き出す満足感を味わえる。

今はAT専用車が増えたこともあり、スポーツ指向の車種にマニュアルトランスミッションが用意されると、いずれも販売比率が高まる。

日本の商品企画は全般的に極端で、スポーツカーやスポーティグレード、マニュアルトランスミッション車などの売れ行きが下がると、片っ端から廃止してしまう。結果、選択肢が過度に限られて需要の減少を加速させる。

しかし、冒頭のように国内市場は活発に動き始めており、今後は1971~1974年頃に生まれた第2次ベビーブーマーも子育てを終え、ようやく好きなクルマに乗れる生活環境に入ってくるはず。

運転の楽しいクルマが、需要を回復させる鍵を握っているかも知れない。スポーツカーを諦めるのは、まだ早い。

先ごろの三菱自動車の不正問題で、過剰な燃費競争にも疑問符が付いた。クルマの基本性能を改めて見直し、適正なサイズと価格で、走りや乗り心地の優れた車種を投入して欲しい。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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