アウディ TTロードスター 海外試乗レポート(3/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:アウディ・ジャパン株式会社
オープンカーならではの「心地よい」演出と乗り味
日本市場への導入は、5月頃発表の夏前あたりになりそうで、まずは直4+FF+Sトロニックの16インチ仕様(オプションで17インチ)が発売される予定だ。ほぼ同じ仕様に試乗してみた。
ドアの開閉で早くも手応えを感じる。オープンカーであるにも関わらず、バスッと適度に重厚感があって頼もしい。オープンにして走り出してすぐの、ファーストインプレッションが既に、「こいつはひょっとするとクーペよりいいかも」であった。
節々の効いた枠組みで囲まれたような、いかにもアルミニウムボディらしいモダンな乗り味をみせたクーペに対して、ルーフが開放されている分、肩の余計な力を抜いたような、心地いいと感じるレベルの乗り味になっている。軽快なクルマにありがちな浮ついた印象もなく、路面にへばりつくような低重心な走りだ。
3~5千回転のエンジンサウンドも素晴らしい。きっとクーペもこんな”心地いいスポーツノート”を奏でていたのだろうが、直接自分の耳を奮わせてくれるオープンカーならではの演出である。
速度を上げていっても、基本的に「クーペより軽快で乗り心地もいい」という印象に変わりはない。パワフルさ、電光石火のシフトチェンジ、手応えもリニアなハンドリングなど、モダンなスポーツカーと言うにふさわしい内容だ。マグネティックライドコントロールとの相性も、クーペよりも勝っている。
電動のウィンドウディフレクターの効果こそ?で、最新ロードスターにしては風の巻き込みを感じる方だが、それ以外に不満がまるでない。風の巻き込みにしたって、オープンカーとはそういうモノだと思える人なら、声高に言うほどの欠点にならないはずだ。しかも、速度域がそれなりに高くなると、ディフレクターが効いてくる。また、クローズド時のしっかり感も十二分で、クーペとしても優秀。
実は、最も印象に残ったのが、FFの6MT仕様であった。Sトロニックよりもさらに軽快で、ダイレクト感もあり、それでいて乗り心地もいい。もっとも、Sトロニックがもたらす魅力と相殺すればいい勝負である。まずはSトロニックのFFから導入というインポーターの判断は、だから正しい。落ち着いたらぜひ、6MTも輸入してほしいものだが。
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