2017年モデルは“新生”「NISSAN GT-R」だ!試乗でみえた「無機質な機械」から「血の通ったクルマ」へ(2/3)
- 筆者: 桂 伸一
- カメラマン:日産自動車
ブレーキに厳しいステージを選び試乗テストさせる意図は?
インテリアはナッパレザーをふんだんに使い、上質で、風合いの高さは見た目にゴージャス。オトナのGTカーの雰囲気で乗員を迎え入れる。
操作系ではスイッチ類をコンパクトにまとめて簡略化、変速用パドルはコラムから生えていたいつでもその場にあるタイプから、ステアリングに装着されて転舵されるタイプに変更。位置に関しては慣れの問題だと思うが、手応えはもう少しストロークとクリック感があれば世界基準。
走行中のタイヤを含むロードノイズの類と、メカニカルノイズの類は、遮音性の高さもあり、低く抑えられて居住性としても心地いい。フル加速中のV6ジェットサウンドを味わうと、新体制になった開発陣が生み出すGT-Rは、このGTカーの方向性としてひとつの完成系であり、従来型とは似て非なる別物感に飛躍した事がわかる。
世界に向けた試乗会は、日本からデュッセルドルフまで飛び、空港で新生GT-Rを受け取ると、アウトバーンとカントリーロードを結びながら目的地はベルギー、スパ・フランコルシャン。
R32時代のGT-Rがこの24時間レースで総合優勝を飾った由緒ある地で、当然サーキット走行も行う。GT-Rが開発されたニュルブルクリンクでは問題にならないブレーキ性能だが、スパのブレーキに厳しいステージを選び試乗テストさせる意図はどこにあるのだろう!?
アウトバーンで超高速領域をテスト
速度無制限区間のアウトバーンでは、アクセルのリニアリティを感じながら深く踏み込むと、何のためらいもなくあっさり250km/hに到達。それが570ps/637Nmの威力なのか、従来との違いを感じられるレベルではないが、アクセルのストローク量に応じた加速Gが得られるという意味で、速度はキメ細かくコントロールしやすい。
シフトは一直線の右肩上がりに変速、ショックとノイズの類も抑え込まれた。
さらに、細かく操縦(修正)する必要なく、まさに矢のように進む直進性と、加速中や250km/h付近でも空気によるリフト感がなく、エアロ効果により逆に路面に押さえ付けられたダウンフォースが感じられる点は、アウトバーンだから体験できる超高速の速度域。願っても日本の道路では叶わない領域で、これぞGT-Rが本領を発揮する状況だった。
舵角の通りに突き進む安定感
遥かかなた前方で、こちらの勢いも知らずに追い越しレーンに踊り出て来るクルマがいるのは万国共通。比較的ソフトなタッチのブレーキペダルで急減速。「一応後方確認」はしているなと言えるのは、急接近するGT-Rの勢いを察知、感知した瞬間、飛び退くように元のレーンに戻る。
一端弱めた右足のそこからの再加速はもちろん瞬時に増速可能だが、その先に点在する先行車を確認すると、それ以上の速度域も知りたい事はヤマヤマだが、そこまでリスクを冒す道路事情ではない。
言える事は、超高速直進する事が平穏に行え、轍は少ないとはいえ決して真っ平らではない路面状況を、浮ついたリフト感もなくステアリングは中立のしっかりした手応えと重さがあり、細かな修正舵の必要がなく舵角の通りに突き進む安定感が何よりも凄い。
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