GM、自動車バッテリー研究所の規模を拡張

GM

GMは、消費者向け電動自動車の開発を加速させるべく、北米最大の規模と最先端の技術を誇る自動車バッテリー研究所の規模を倍に拡張する。

800万ドルの投資により、GMテクニカルセンター敷地内のグローバル・バッテリー・システムズ・ラボ(Global Battery Systems Lab)を3万平方フィート増の6万3000平方フィートに拡張し、全ての既存および新規のバッテリーセル、モジュールおよびパック技術の研究所内におけるテスト環境を向上させる。拡張される部分は、オルタナティブ・エネルギー・センター(Alternative Energy Center)施設内の、現在の研究所に隣接する位置に建設される。これまでエンジンテストに使用されていたエリアがバッテリー開発用に改修される。同改修工事は今月から始まり、夏には完成する予定である。

グローバル電気系統、ハイブリッド、電気自動車およびバッテリー関連を担当するGMの執行取締役ミッキー・ブライは、「GMはこれまで、バッテリーセルの設計から充電インフラまで、電気自動車技術の開発をリードすべく力を入れてきたが、今回の投資により、当該分野における我が社の研究が一層促進される。研究所を拡張することは、航続距離延長型電気自動車シボレー・ボルトを含む、より環境に優しく効率的な車両をできるだけ早く求めやすい価格で市販化するための我々の取り組みを促進することになるため、消費者の利益につながる」と述べている。

GMのグローバル・バッテリー・システムズ・ラボは2009年1月に稼動を開始し、2009年5月には完全稼動が可能な状態となった。

同研究所は、高性能バッテリーや電動自動車を担当する1000名超のエンジニア達から成るGMチームが利用しており、チームの人数は増え続けている。現研究所の半分以上は、電気化学電池バッテリーおよびモジュールと呼ばれるその筺体のテストに特化したエリアとして使われている。残りのフロアスペースは完成したバッテリーパックの評価のために使われている。

今回の拡張により、以下の6つの分野の能力が追加されることになる。

• 安全性および耐酷使性:これまでエンジンの標高テスト用に使われていたパワートレインテスト室は改造され、衝突、貫通、浸水、過充電、放電、短絡回路のテストスペースとなる

• 組み立ておよび分解:現保管エリアを、テスト前のバッテリーの準備およびサプライヤー評価のための安全な部屋として再利用

• マニュファクチャリング・エンジニアリング:これまでエンジン動力計に占領されていたスペースを、レーザー溶接や電池スタッキングといった製造プロセスの向上のために再利用

• 充電装置の開発および統合

• 熱現象:放射熱、熱安定性および熱衝撃のテスト

• バッテリー保管

ブライは、「我が社は、自動車バッテリー技術の設計、開発、検証、製造を社内で行うことを公約している。一連のテスト能力をグローバル・バッテリー・システムズ・ラボに統合することによって、コストの削減、競争力の向上、開発スピードの促進が実現され、我々は確実に、世界一の車を設計し、製造、販売ができるようになる」と述べている。

グローバル・バッテリー・システムズ・ラボの設備およびテストオートメーションシステムは、データ交換やワークシェアリングがシームレスに行えるよう、ドイツのマインツ・カステルや中国の上海など、GMが世界に保有するバッテリー研究所のネットワークとの統合が計られている。

グローバル・バッテリー・システムズ・ラボは最近、米国試験所認定協会(A2LA)から、ISOが認証する世界レベルの認定を獲得した。米国試験所認定協会は、全ての試験分野における試験所の資格および能力を評価する非営利の公共サービス団体である。同協会の審査員が、テストの方法および結果、設備の較正、業務マニュアル、職員の能力および研究所の品質対策について審査を行った。ISO認証を取得した研究所となることのメリットは、データの正確性が保証されることと、テスト結果の信頼性の欠如に起因する高価な再試験を回避できることにある。

同研究所には、実世界における極端な走行パターンや、気温、使用経過時間などを再現する176のテストチャンネルおよび49のサーマル室が備わっている。

また同研究所は、高効率なLED照明を配した中央廊下やリサイクルタイヤから作られた床など、環境に配慮した機能を多数取り入れている。また、バッテリーテストに使われる電力の約90%を、家庭や企業用の地域の電力網に還元することができる。グローバル・バッテリー・システムズ・ラボは、ミシガン州建設協会の「グリーン・プロジェクト・オブ・ザ・イヤー」賞において選外佳作に挙げられた。

その他、グローバル・バッテリー・システムズ・ラボが供給できる利点としては、バッテリーの構造的な統合および電気制御をテストするためのサーマルシェイカーテーブル、欠陥分析および競合評価のためのバッテリー分解エリア、完全自動化テスト装置、ならびに改良が施された実験計画法(より徹底したバッテリーテストをより速く実施できるような情報収集を可能にする)などが挙げられる。

ウォレン、マインツ・カステルおよび上海のバッテリー研究所のほか、GMは、ニューヨークのハネオイェフォールス(Honeoye Falls)と、GMテクニカルセンター内のリサーチ・ケミカル・エンジニアリング(Research Chemical Engineering)に、自動車の電気化に特化した専門施設を保有している。

GMのバッテリー研究所ネットワークは、同社が企業をあげて取り組んでいるバッテリー研究開発戦略のひとつである。同戦略の内容は下記のとおり。

• GMの電気自動車および高性能バッテリー関連組織の人員をグローバルに増強することにより、GM組織内のバッテリー開発能力を強化する。

• GMは1月、ミシガン州ブラウンズタウン・タウンシップにあるGMの工場、ブラウンズタウン・バッテリーパック組立工場(Brownstown Battery Pack Assembly Plant)にてバッテリーパックを製造し、高度なリチウムイオン・バッテリー・パックを製造する北米最初の大手自動車メーカーとなった。

• ミシガン大学と共同で、ミシガン州アン・アーバーに高度な自動車バッテリー研究所を新設し、また、自動車バッテリーのエンジニアを育成すべく同大学工学部に特設カリキュラムを設置。

• セルの開発・製造やバッテリー統合における専門性の向上のため、LG ChemやA123 Systems、株式会社日立製作所、Compact Power Inc.などを含む供給企業および大学との関係強化および充実化。

• 米国エネルギー省、米国自動車研究評議会、米国高性能バッテリーコンソーシアム、電力エネルギー研究所などを初めとする政府組織や産業共同体と協働して、プラグインハイブリッド車および電気自動車の開発とそれを下支えする必要な電気インフラストラクチャーの開発を促進する。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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