苦境の三菱自ならではのウルトラC、クルマを売らないカーディーラーへの大変身!?(1/2)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:桃田健史/オートックワン編集部
三菱自ディーラー離れを食い止める、唯一の策かも?
あくまでも、これは私見である。だが、一連の三菱自「燃費不正問題」の現場取材を続けるなかで、「いまこそ、この手があるのでは」と自然に考えるようになった。
「燃費不正問題」はいま、全国の三菱自ディーラーを直撃している。
各ディーラーの売上の3~4割を占める軽自動車は、当面の間、生産中止に。また、販売を継続している9車種についても、影響が広がっている。5月11日の記者会見では「RVRで燃費不正の疑いあり」と、三菱自が発表。
さらに、本稿を執筆している5月16日、一部の新聞が「アウトランダーPHEVでも燃費不正が明らかになった」と報じた。
12日の緊急会見で、日産の傘下になることが決まった三菱自だが、「燃費不正問題」によって同社のブランドイメージは「地に落ちた」と言ってよい状況で、三菱自ディーラー各社は緊急事態に陥っている。
そんな三菱自ディーラーを再生させるために、筆者が最良策と考えるのが「クルマを売らないで儲ける商売への転換」だと思う。
これを機に、売り切り型ビジネスから脱却すべき
「1000万台は結果であり、目的ではない」。
日産のゴーンCEOは、12日の緊急会見や、その後に出演したNHKなどの報道番組で、三菱自を加えたルノー日産グループの年間売上台数に対する記者からの質問に、そう回答した。
これは、トヨタやフォルクスワーゲンとの「販売台数世界一争い」に対して、冷静な目を持っている発言に感じる。言い方を変えると、ゴーンCEOの胸の内には「三菱自は、クルマの数を多く売る企業になる必要はない」との想いがあるのかもしれない。
換言すれば、自動車産業が大きな変革期を迎えた今、日産にとって三菱自は「大規模な実験の場」になるのかもしれない。あくまでも筆者の私見だが、それは「カーディーラー改革」だと考える。
「少子高齢化」「若者のクルマ離れ」など、日本の社会背景は大きく変化している。にもかかわらず、家計の収入が伸び悩むなか、新車の価格はドンドン上昇。一般家庭にとって、クルマは「相当高い買い物」になってしまった。
高度経済成長期の頃も、庶民にとってクルマは高い買い物であったが、クルマはステータスシンボルであり、生きていくための「夢」だった。
そうした昔と比べて、時代は大きく変わったが、カーディーラーのあり方は昔のままだ。だからこそ、いま、カーディーラーの大規模な改革が必要なのだ。
とはいえ、既存のディーラーにメスを入れるのは至難の業だ。なぜなら、フランチャイズ方式による独立系ディーラーも多く、メーカーがディーラーに対する各種の「遠慮」があるからだ。
だが、現状の三菱自の状況を考えれば、ディーラー再編に向けた大規模改革が可能であり、ディーラー側も事業存続が補償されるなら、それを望むかもしれない。
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