試乗会の当日、筆者の乗るレンジローバースポーツSVR(21インチ仕様)は、まず本格的なオフロードコースへと向かった。レンジローバーの試乗会では、必修科目というわけだろう。
ぬかるんだ瓦礫まじりの凸凹道を、ローレンジ4WDでいとも簡単にクリアしていく。車体左右に傾いた泥道では、車体がそのまま滑り落ちそうになったが、ドライバーが下手に修正するよりも早く、クルマ側が姿勢を立て直す。できるだけ素直なドライブを心がけるのが、オフロード走行でレンジローバーを操るコツかもしれない。
そのままクルマをチェンジせず、下回りだけ洗車して泥を落とし、サーキットへ。オフロードからサーキットへ連続して試乗させるテストなど、過去にはなかった。レンジローバーだからこそ実現した方法だろう。
心も車体もスポーツモードに。アクセルペダルを踏み込めば、ジャガーよりも豪快なサウンドをまき散らして豪快に加速する。アクセルオフ時のバックファイアは、「うるさくしちゃって、ごめんなさい!」と、思わず謝りたくなるほどの豪快さ。
音も速さもとてもじゃないが、SUV、それもレンジローバーのそれとは思えない。
トルクベクタリングが上手に働き、タイトベントも苦にせず立ち上がる。心地よく抑制の利いたロールをみせてくれるから、いくらでも攻め込んでいける。クロカン4WDのいいところをサーキットドライビングに上手く活用していた。もはや、視線が高いスポーツカーである。
オールテレインタイヤにとってサーキット走行は苦手な領域のはずで、なるほどややもすれば4輪とも滑ってしまっていたが、それすら電子制御によってきっちりコントロールされていて、ドライバーの操る感覚を台無しにしない。
このあたりのセッティングはジャガーゆずり。ドライバーの気分をしっかりと汲んでくれるあたり、さすがだ。
サーキットであれだけ手際よく軽快に走ってくれたのだから、そのぶん一般道で何らかの犠牲を払っているに違いない、という思い込みも見事に外れてしまった。
適度に締め上げられたアシ回りによって、足元のバタツキはほぼ皆無。ほどよい硬さのライドフィールは、ショックの吸収もリズミカルに早く、むしろ乗り心地が良いと感じられるレベルだ。ノーマルに比べるとたしかに硬いけれども、心地よさでは上かも知れない。
一般道からサーキット、そしてオフロードまで。ライバルは一発芸の光るドイツ製のプレミアムSUVだが、英国王室御用達ブランドの最強バージョンには、彼らにはとうてい真似のできない総合力があった。
まさしく今、無敵のSUVではないだろうか。
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