【はたらくクルマ】トーイングカー ~JALの定時運行を支える、空港のはたらくクルマ Vol.1~(2/2)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:小林岳夫
失敗が許されないトーイングカー運転の操縦訓練に極秘潜入
「ただ押すだけなんだから運転は簡単でしょ?」と思う人もいるかもしれないが、定刻運航のためには、失敗が許されない“一発勝負”となる。そのためには座学や実技訓練を受け、試験に合格した者でなければ操作はできないのだ。
今回、羽田空港の広い敷地の端にある訓練エリアも見学させてもらったが、まずは鉄製の骨組みで作られた「ダミーシップ」を使って訓練を行なう。つまり、現在航空機をプッシュバックしているメンバーは、トーイングカードライバーのエースと言うわけだ。
航空機はクルマや電車と違って、飛行中は地面に接していない乗り物である。地に足が付いていない分、乗客は「音」や「振動」に対してより敏感になる。
その存在を気付かせない操縦
「速度は一定かつ不快なGやショックを与えないようにプッシュバックを行ないます」とトーイングカー訓練の教官を務めるJALグランドサービス東京国内事業部ランプコントロール課の渡辺恭尚氏は語る。
「もちろん、我々の中でプッシュバックする上での理想のラインがあるのも事実です。ただ、我々はコンテストに参加しているわけではありません。一番大事なのはお客様に無駄な時間を取らせず、安心/安全に空の旅を行なってもらうことです。理想はお客様がプッシュバックされている事に気が付かない事ですね。これもJALが掲げる“安心・安全”の一つですね」。
ハイテクの塊である航空機だが、それを動かす裏側には“人の技”がシッカリと活かされているのである。
[レポート:山本シンヤ/Photo:小林岳夫]
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トーイングカー(トーバータイプ)「KOMATSU WT500E」 主要諸元
製造メーカー:小松製作所(KOMATSU)/全長x全幅x全高:8940x3270x2950mm/車両重量:50.5トン/ディーゼルエンジン総排気量:11040cc/ディーゼルエンジン最高出力:295ps/最高速度:30km/h/必要免許:大型または大特牽引免許
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