理想の重量配分はやっぱり50：50なの？【教えて！MJブロンディ】
- 筆者： 清水 草一
理想の重量配分はやっぱり50：50なの？
車の重量配分について教えてください。
アテンザのクリーンディーゼルに興味があります。ガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンは重く、フロントが重たいため、軽快感はガソリン車と聞きます。
理想の重量配分って、やっぱり50：50でしょうか？重量配分の良い車のメリットってなんでしょうか？
BMWは50：50にこだわっているようですが・・・、ほかのメーカーはどうなんでしょうか？（しんちゃんさん）
其の疑問、MJブロンディがお答え致します！
頑ななまでに前後重量配分50：50にこだわるBMW。なんかカッコいいですね！そういう確固たるクルマ哲学に、我々は惹かれます。
ただ、この50：50という数字には、それほどの意味はないと私は考えています。
たとえば、速く走るために50：50がいいのか？と言ったら、そうではありません。F1をはじめとするレーシングカーは、後ろの方がはるかに重いです。それは、超ハイパワーな後輪駆動車であるために、後ろに重みが片寄っていないと、後輪が空転しまくってしまうからです。
逆に前輪駆動の場合、50：50だったら、それこそ雪道で前輪が空転しまくって前に進めません。FF車の前後重量配分は、65：35くらいが普通ですが、そうでなくてはダメなのです。
しかもこの前後重量配分というやつ、止まっている状態での話でして、加速中は後ろに重心が移るし、減速中は前に移ります。前後重量配分は、走行中、常に変化しているのです。50：50がベストだという説に特別な根拠はありません。FR車の場合、52：48くらいが最適だというエンジニアもいますし、諸説あると言うべきでしょう。
一般に、フロントエンジンの乗用車の場合、後ろより前が重い方が、操縦性は穏やかです。
アテンザの場合、確かにガソリン車の方が鼻先が軽くて軽快感はありますが、その分安定感はディーゼルの方が上です。どちらがいいかは好みの問題ですが、アテンザは前輪で駆動するFF車だということも、考慮する必要があるでしょう。
フロントエンジン車で50：50というのは、安定性よりも軽快感を優先した、かなり尖った操縦性を持つクルマということでして、BMWは常に尖ったクルマでありたい！という哲学の現れなのです。
決してそれがベストというわけではありません。
MJブロンディの「ひとりごと」
ちなみにミッドシップ車は、私のフェラーリ458イタリアの場合で42：58となっており、前より後ろが重いです。
ここまで前が軽いと、少しハンドルを切るくらいならノーズは非常に軽く、まさにスパスパと夢のように曲がりますが、限界コーナリングでは、カーブの入り口でブレーキをかけて前輪に重みをかけてやらないと、前が軽すぎてまるで曲がりません。
前輪の重みは、クルマを鈍重に感じさせる反面、しっかり曲げてくれるという効用もあるのです。
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか！？』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る
自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。
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