2009年新車販売ランキング-ハイブリッド車が初の首位-/松下宏のコラム
- 筆者: 松下 宏
2009年販売ランキング-ハイブリッド車が初の首位-/松下宏のコラム
2009年の新車販売は、5月にフルモデルチェンジを受けたハイブリッド車の「トヨタ プリウス」がランキングの首位に立った。ハイブリッド車が首位に立つのは初めてのことで、新聞やテレビなどでも大きく報じられた。
12月の販売で年間首位が逆転することはすでに紹介しており、予想通りの結果になった。 一昨年のリーマンショック以後、クルマの売れ行きが大きく落ち込み、それなりに買う意味のあるクルマでないと売れないという状況になっていたが、ハイブリッド車のプリウスは十分に売れるだけの理由があるクルマだったからこそ、良く売れたといえる。
しかも、2009年はエコカー減税と補助金が実施され、新型プリウスは自動車取得税と自動車重量税が100%免税(0円)となった上、10万円または25万円の補助金も受けられたのだから、これが大きな追い風となった。
補助金が10万円だとすれば合計で25万円程度、13年落ち以上の解体車があって補助金が25万円出れば合計40万円前後もお得になるのだから、エコカー減税・補助金が大きな効果をもたらしたのは間違いないだろう。
他のハイブリッド車は、「ホンダ インサイト」が9万台を超える売れ行きで8位に入っている。もはや販売面でハイブリッド車だからと特別視する時代ではなくなってきたと言える。昨年よりも多くのハイブリッド車が発売されるであろう2010年には、さらにその傾向が強まっていくだろう。
2008年まで、6年連続で首位を維持していた「スズキ ワゴンR」は、エコカー減税&補助金のあおりを食らい、2位に落ちた。軽自動車は補助金でいわれなき差別を受けており、ワゴンRの場合は、8万円~15万円程度しか割安にならない。これでは、プリウスやインサイトとは大差があり、逆転も止むを得ないという感じだ。
トータルの経済性で考えたら、ワゴンRなどの軽自動車のほうが、プリウスやインサイトなどのハイブリッド車よりもはるかに優位に立つはずだが、ハイブリッド車の目新しさとお得感には敵わなかった。とはいえ、軽自動車の主力車種はしっかり販売ランキングの上位に入っている。
2位のワゴンRに続き、3位「ダイハツ ムーヴ」、4位 「ダイハツ タント」、10位「スズキ アルト」、11位「ダイハツ ミラ」という具合で、14位「ホンダ ライフ」、17位「スズキ パレット」、20位「日産 モコ」、28位「ホンダ ゼスト」と合わせ、ベスト30までに軽自動車が9車種ランクインしている。維持費が安く、経済的な軽自動車に対するニーズは根強いものがある。
軽自動車以外も、売れ行きが好調なのはコンパクトなクルマばかりで、ベスト10に入っているのは軽を除くと「ホンダ フィット」「トヨタ ヴィッツ」「トヨタ パッソ」「トヨタ カローラ」といった具合。
ベスト10に入ったクルマで、1.5リッターを超える排気量のエンジンを搭載するのはプリウスのみ、という状況。基本的に1.5リッター以下のクルマでないと、ランキング上位には入れない。
燃費が良くて維持費の安いクルマに人気が集中する中で、やや勢いが衰えてきた感があるのが3列シートミニバンだ。
12位の「ホンダ フリード」が3列シートミニバンの最上位(フリードには2列 シート車の台数も含まれるので純3列シート車の最上位はセレナ)で、2009年はベスト10圏内には1台も入れなかった。以下、13位「日産 セレナ」、15位「トヨタ ヴォクシー」、18位の「トヨタ ウィッシュ」、23位「トヨタ ノア」、24位「トヨタ エスティマ」、25位「トヨタ ヴェルファイア」、29位「ホンダ ステップワゴン」と、30位までに8車種が入っており台数的には軽自動車に匹敵するが、ミニバンはほとんどの車種がランキングを下げてしまっている。
そして、ミニバンよりもさらに売れなくなったのがオーソドックスな4ドアセダン。9位の「トヨタ カローラ」がワゴンのカローラフィールダー主体であることや、21位「日産 ティーダ」もハッチバックの比率が高いことを考えると、セダンらしいセダンは30位の「トヨタ クラウン」だけという結果だった。セダンを売るのは今、とても難しい状況にある。
軽自動車を除いた登録車だけのランキングで見てみると、ワゴンの比率が高い「スバル レガシィ」が25位、セダンボディだけの「トヨタ プレミオ」が29位、「トヨタ マークX」が30位に入っているが、これがやっとといった感じである。
2010年も、エコカー減税・補助金を追い風にプリウスが首位を独走するのは間違いないと見られる。
また、ランキング上位は今年と同様、軽自動車やコンパクトカーなどの経済性の高いクルマが占めることになるだろう。
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