大ブームのSUV、広まったきっかけは「ハイラックスサーフ」だった!? SUVの起源を探ってみる
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:TOYOTA・NISSAN・Honda・MOTA編集部
様々なジャンルが存在する乗用車の中でも、近年特に人気があるのがSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)だ。格好良さと実用性を兼ね備えたSUV、その起源とは。SUVの歴史について振り返ってみよう。
SUVの歴史を改めて紐解いてみる
SUVカテゴリーの人気がスゴイ。2019年末から2020年に登場したニューモデルを振り返るだけでも、ダイハツ ロッキー/トヨタ ライズ、トヨタ RAV4 PHV、ハリアー、ヤリスクロス、日産 キックスと、大小のSUVが目白押し。日本へ新規導入された輸入車もSUVが主体になっている。
そんなSUVの起源はどこにあるのだろう。SUVの歴史を紐解いてみた。
遊びの道具をごっそり積み込めるSUV
SUVとは「Sport Utility Vehicle(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)」の略で、もともとはアメリカからやってきた言葉だ。意訳すれば「アウトドアレジャーなどの遊びに用いられるクルマ」といったニュアンスになる。日本でも昭和の終わりから平成初期にかけて「RV:Recreational Vehicle(レクリエーショナル・ビークル)」という名が普及したが、だいたい同じ意味あいと捉えていいだろう。
ただし日本のRVの場合、旧来のセダンやハッチバック、クーペ以外で遊びの用途に使えるもの全部、例えばステーションワゴン、背の高いスペースワゴン、多人数乗りの1BOXワゴン、そしてクロスカントリー4WDなどをザックリ「RV車」とひとくくりにしていた感がある。だから「車種のカテゴリー」という面では全く意味が変わってくる。
SUVの起源はアメリカから
元祖SUV、その1台は「ハイラックスサーフ」だった!?
さてそんなSUVの起源は、1980年代のこと。ピックアップトラックの荷台にキャビンスペースを設けた成り立ちのクルマのことをSUVと呼んだ。代表格は、初代のトヨタ ハイラックスサーフだ。写真を見て「あーこれこれ! あったねー」と懐かしく思う方も多いだろう。
アメリカではSUVも商用ライトトラック同様の優遇税制を受けられるメリットもあって、これが大ヒット。アメリカのビッグ3(当時)や日産など、ピックアップトラックを製造するメーカーが次々にニューモデルを投入し、市場はさらに活性化していく。
「JeepこそがSUVの起源」説も
トラック同様の屈強なはしご型フレーム構造を持つという意味では、ジープ ラングラーやトヨタ ランドクルーザーなどを代表格とするクロスカントリー4WDモデル(クロカン四駆)も、同様のSUVジャンルに含まれる。
その歴史をさかのぼり、第二次世界大戦で活躍した軍用の小型四輪駆動車を基に戦後の民生モデルとして支持を集めた「ウィリス ジープ」と、1963年に豪華なワゴンボディと組み合わせ登場した「ジープ ワゴニア」こそがSUVの元祖だ、という考え方もある。
乗用車ベースのSUVが普及し、イッキにSUV市場が拡大
その後1990年代中盤には、乗用車同様のモノコックボディを持つクロスオーバーSUVも登場した。トヨタ RAV4やハリアー、ホンダ CR-Vの各初代モデルが、車体の軽さや燃費の良さ、乗りやすさ、そして何より新鮮でカッコいいスタイリングなどから、新たな需要を獲得していくことになる。
トラックベースではないSUVの大ブームもアメリカから始まった
その乗用車ベースのSUVが真っ先に市場規模を拡大したのは、やはり発祥の地であるアメリカだった。
もともと多品種なモデルの造り分けが得意だった日本の各メーカーがいち早く反応。また、ピックアップトラックを生産しておらず、初期のブームに参入できなかった欧州の各自動車メーカーも、ここから次々と導入を開始していく。特にプレミアムブランドのBMW X5やポルシェ カイエン、ボルボ XC90の各初代モデルが、同ジャンルにおける欧州車の先陣を切った。
ちなみにBMWでは、X5などをSUVではなく「SAV:Sports Activity Vehicle(スポーツ・アクティビティ・ビークル)」と呼び、独自性をアピールしている。
欧州市場から始まったコンパクトSUVブームは今も拡大中
その後、欧州の狭い街並みでも扱いやすいコンパクトSUVのカテゴリーも創造される。市場を開拓したのは、2010年に登場した日産 ジュークの初代モデルだった。
その後の10年間で、日本をはじめ欧米などの各メーカーから次々とコンパクトSUVのニューモデルが誕生。2020年の今も市場を拡大中で、SUVの中でも今最もホットなカテゴリーとなっている。
[筆者:トクダ トオル(MOTA編集部)]
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