[試乗]デビュー11年目の更なる進化/トヨタ 新型「エスティマ」「エスティマハイブリッド」(2016年6月マイナーチェンジモデル) 速攻試乗レポート(2/5)

[試乗]デビュー11年目の更なる進化/トヨタ 新型「エスティマ」「エスティマハイブリッド」(2016年6月マイナーチェンジモデル) 速攻試乗レポート
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先進安全技術「Toyota Safety Sense C」を新たに採用

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新型エスティマでまず注目されるのは、新たに追加された安全装備。緊急自動ブレーキを作動できる「Toyota Safety Sense C/トヨタセーフティセンスC」を採用したが、作動速度の上限は時速80km以下(警報は時速140km以下)で、歩行者を検知できない。

仮にプリウスなどが採用する「Toyota Safety Sense P/トヨタセーフティセンスP」であれば、緊急自動ブレーキが高速にも対応して、歩行者の検知も可能。車間距離を自動制御する全車速追従型のクルーズコントロールまで備わるが、新型エスティマにこの機能は装着できなかった。

開発者に理由を尋ねると「Toyota Safety Sense Pを備えるには、いろいろな機能を刷新せねばならない。その点、Toyota Safety Sense Cであれば、マイナーチェンジでも装着しやすい」とのことであった。

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デビュー10年にして7000台の受注、その多くは従来型からの代替

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6月下旬時点の受注状況を尋ねると、「約7000台の注文を頂いた。この内の約85%が従来型エスティマからの代替え」と言う。7000台という受注台数には驚かないが、発売後10年を経たクルマのマイナーチェンジとしては多い。

そして需要の85%が従来型からの代替えなら、新型を待っていたユーザーが大勢いたことになる。

その人達が望んでいたのは、マイナーチェンジではなくフルモデルチェンジだろう。「何だよ、マイチェンか~。ガッカリだなぁ」と思いながらも「仕方ない、ウチのエスティマも古くなったから代替えするか」と判断されたのだろう。

このあたりは、トヨタの腰が引けてユーザーの期待に応えていないところだ。本来であれば多額の開発費用を投入して、現行ヴェルファイア&アルファードをベースにフルモデルチェンジを行うべきだった。

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そうなれば居住性、燃費、安全装備まで幅広く進化できて、ユーザーの期待にも応えられた。もちろん今後もしっかりと売っていくことが前提だ。7000台の注文を入れたエスティマファンの多くは、このようなトヨタの心意気に期待していたと思う。

今の日本メーカーの国内販売比率は、トヨタに限らず、一部を除くと20%以下だ。世界生産台数の80%以上を海外で売るから、国内市場に向けた本気度が下がった。その結果のマイナーチェンジと見るのが妥当だろう。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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