トヨタ「コネクティッドカー」が顧客と販社、そしてベンチャー企業をも強固に”つなぐ”|新型クラウンとカローラスポーツから全車搭載へ
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:トヨタ自動車・オートックワン編集部
情報インフラ「モビリティサービス・プラットフォーム」(MSPF)も構築
トヨタは2018年6月26日、フルモデルチェンジした15代目新型「クラウン」と、ニューモデル「カローラスポーツ」を同時発表した。
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2モデルは、車両の制御ネットワーク(CAN)に接続する車載通信機(DCM)を全グレードに標準搭載する”つながるクルマ”、通称「コネクティッドカー」の第一弾となる。トヨタが構築したコネクティッドカー向けの情報インフラ「モビリティサービス・プラットフォーム」(MSPF)からは、今後様々なコネクティッドサービスが提供される予定となっている。
トヨタでは、今後国内で発売されるほぼ全ての乗用車にDCMを搭載すると発表。MSPFに収集される車両データを活用した安心サービスの提供と、それに必要なメーカー、販売店の業務基盤構築に力を入れていく。
全ては「WiLLサイファ」から始まった!
発表当日、全国7会場同時開催のイベント「THE CONNECTED DAY」(主会場:メガウェブ「ライドスタジオ」/東京都江東区)では、トヨタ自動車の豊田 章男 社長と、コネクティッドカンパニー及びガズーレーシングカンパニーを代表する友山 茂樹 副社長が登壇。コネクティッドカーについてプレゼンテーションを実施した。
トヨタでは2002年時点でいち早く車載通信機DCMを実用化、限定車「WiLLサイファ」に搭載している。
さらに2005年にはレクサスでDCMを標準装備し、緊急通報システムなどのサービス提供を開始。その後北米や中国への展開も始まり、2011年にはトヨタスマートセンターを構築した。車両から集まるビッグデータを通じ、独自の交通情報や渋滞予測データなどを生成するなど、コネクティッドサービスをサポートする。その後2016年には専門部署としてコネクティッドカンパニー設立にまで至った。
コネクティッドサービスの一部はすでにプリウスPHVに先行投入され、車両の警告灯情報をトヨタスマートセンターに転送することで販売店などのサービスサポートに役立てるeケアサービスや故障予知サービスなどを実施している。
メーカーとクルマ、そして販売店を”つなぐ”強固な仕組みは他社にはない強み
今回発表された新型クラウンとカローラスポーツでは、トヨタスマートセンターの上位概念として、コネクティッドカー向けの情報インフラ「モビリティサービス・プラットフォーム」(MSPF)を新たに構築。様々なサービスとつなぐことを実現させた。
コネクティッドカンパニーの設立にあたり豊田 章男社長から「IT屋がクルマを情報家電にしたら終わりだ」と釘を刺されたと語る友山 茂樹 副社長。
「新しいコネクティッドカーは単に24時間365日つながるだけでなく、その先にリアルな人間がいる”ヒューマン・コネクティッドサービス”だ」と、まずユーザーを第一義に考えるトヨタらしい視点とともに説明した。
本格導入にあたり、クラウンとカローラスポーツを販売する全国約2000店舗でサービス体制を構築。愛知県日進市に「コネクティッドオペレーション改善道場」を設置し、実践的なトレーニングを実施するなど、メーカーや車両単体のみならず、販売店を巻き込んだ統括的で強固な仕組みづくりが構築される。これは他メーカーの通信サービスなどとは大きく異なる、トヨタのコネクティッドカーならではの優位点だと友山氏は胸を張る。
ご賛同のみなさま・・・この指、とーまれ!
トヨタではモビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)を介したサービスについてオープンに連携すると表明している。「THE CONNECTED DAY」会場には一般から募った参加者が参加していたが、その参加条件として「次世代のモビリティ社会、世の中を面白くしたいと思われている方」という項目が募集要項に記されていた。そのため会場にはベンチャー企業を立ち上げる気鋭の若者らが集結。
彼らに向け豊田 章男 社長は「トヨタは自動車会社でありながらリアルとバーチャル、両方の世界を持っていることがこれからのトヨタの強みになる」と語り掛ける。100年に一度と言われる変革期を前に「自動車をつくる会社から、移動に関わるあらゆるサービスを提供する”モビリティカンパニー”へモデルチェンジする。みんなで一緒に未来のモビリティを創りたい。」と宣言。
そして章男氏はこれからの時代に求められる思考と行動の指針はスピードと前例無視、これからの時代のリーダーシップは根回しではなく”この指止まれ”だと紹介。「わたしたちといっしょに自動車の未来を創りませんか! ご賛同のみなさま・・・この指、とーまれ!!」と高らかに人差し指を掲げ、来場者たちの喝さいを浴びていた。
[レポート:トクダトオル(オートックワン編集部)/Photo:トヨタ自動車・オートックワン編集部]
車両データによる充実の安心サービス
eケア走行アドバイス
既にナビの目的地設定などを遠隔操作するオペレーターサービスは、車両データと連携することにより、車両のトラブルの際にも頼りになる安心サービスを提供。eケア走行アドバイスでは、万一ユーザーのクルマに異常が発生した際、車両データから車両の状態を診断し、オペレーターがユーザーに車載マイクとスピーカーを通じてアドバイスを実施。販売店への入庫が必要な場合は、担当販売店、または近隣の販売店に誘導する。
eケアヘルスチェックレポート
eケアヘルスチェックレポートでは、車両データから車両の状態をセンターが常時診断。トラブルが発生する前に、担当の販売店からユーザーに整備入庫することをおすすめする。たとえば、バッテリーの始動時電圧が徐々に低下し、このままでは始動不良が想定される場合は、担当販売店の業務端末に予防整備のアラームが通知され、販売店のスタッフがそれに基づきユーザーに連絡。バッテリーの交換をおすすめする。なお、担当販売店からお客様へのメッセージは、ナビに配信され読み上げられるため、漏れなくお知らせすることができる。
ヘルプネット
エアバッグの展開と連動する緊急通報サービス「ヘルプネット」は、衝突時の車両データから乗員のダメージを瞬時に解析し、消防本部に送信。消防本部で重症確率が高いと診断される場合はドクターヘリ等が出動し、医師が現場に直行する救命サービスを新たに全国規模に拡大した。
トヨタでは、eケア走行アドバイス、eケアヘルスチェックレポートは、年々高度化かつ複雑化するクルマを、ユーザーにいつも安心快適に利用してもらう上で必要不可欠なサービスであると考えており、今後、国内のほぼ全ての新型乗用車への展開を計画する。従来の緊急通報サービスや盗難抑止サービスに、これらのサービスが加わることで、24時間365日、ユーザーとそのクルマを見守る、万全な体制の確立を図っていく。
これらの運用を確実に行うために、トヨタは愛知県日進市の研修施設に「コネクティッドオペレーション改善道場」を設置。全国の販売店のスタッフに向けた実践的なトレーニングを実施している。
走行データ連動型自動車保険プラン
DCMの標準搭載に伴い、従来の自動車保険に加え、走行データ連動型保険の適用が可能となった。ユーザーはMSPFに蓄積された走行ビッグデータから算出した「安全運転スコア」をスマートフォンでチェック可能。また、このスコアに連動する走行データ連動型自動車保険プラン「トヨタつながるクルマの保険プラン」が、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社より発売される。この保険料金は、安全運転スコアと走行距離により毎月決定されスマートフォンに通知される。割引率は、運転分保険料の最大80%、トータル保険料の9%の割引を受けることができる。
DCM標準化で、より便利になったオンラインサービス
AI音声エージェント
人工知能(AI)のバーチャルエージェントがユーザーの自然発話を聞き取り、ナビの目的地設定やオーディオの操作、機器の取り扱い説明などを実施。「このへんにある蕎麦屋を探して。駐車場のあるところがいい」など、複雑な発話でも理解することが出来る。
LINEマイカーアカウント
日常使い慣れたLINEアプリに、自分の愛車を「友だち」として追加し、クルマと会話することができる。たとえば、LINEアプリのトーク機能で事前に行きたいところを伝えると、車載ナビの目的地にメモリーすることが可能。また、目的地までの所要時間や距離を踏まえて、出発すべき時間や給油の必要性なども教えてくれる。
ハイブリッドナビ
ナビシステムのプログラムや地図データは、つねに最新版に維持。さらに目的地へのルート案内は、センター側にある最新の地図データとビッグデータ交通情報から探索し、最適なルートを案内する。
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