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自動車評論家コラム 2018/9/18 14:51

日本市場は見捨てられた!?新型カローラが3ナンバー化した理由

5ナンバー車の代名詞「カローラ」が3ナンバーに!

トヨタ カローラスポーツ 1.2リッターターボ(ガソリン)スバル 新型インプレッサ(インプレッサスポーツ2.0i アイサイト・2016年10月発売)

2018年6月に、トヨタ 新型カローラスポーツが発売された。実質的にオーリスの後継車種だから、クルマ自体に際立った注目点はないが、問題は「カローラスポーツ」という車名だ。

トヨタでは新しいカローラの第1弾に位置付け、カローラスポーツの3ナンバーボディを基本に、セダンのアクシオやワゴンのフィールダーを開発するという。

新型カローラスポーツはミドルサイズの5ドアハッチバックだから、ライバル車にはスバル インプレッサスポーツ、マツダ アクセラスポーツなどが該当する。輸入車ならVW ゴルフが代表だ。海外では売れ筋のカテゴリーで、セダンやワゴンを揃えても不思議はない。

しかし、国内市場におけるカローラの位置付けを考えると話は変わる。カローラは長年にわたり、現行型も含めて実用性、経済性、適度な上質感を併せ持つ「5ナンバー車」として支持を得てきたからだ。

>>新型カローラスポーツや現行カローラを画像でチェック!

日本と海外では全く違う!各国のニーズにあわせて開発されているカローラ

トヨタ カローラ アクシオトヨタ カローラ フィールダー

同じカローラでも、国内と海外では、プラットフォームも含めて車両が異なる。最初は国内で売られるカローラを輸出していたが、今では販売する地域の事情に応じて車両を使い分けるようになった。どこの地域でも、現地のニーズに合わせて、変わらない価値を提供するのがカローラの使命であり人気の秘訣なのだろう。

そうなると道路環境やニーズの異なる海外と日本でカローラを共通化したら、本来のあり方ではなくなってしまう。実用性/経済性/上質感の基準が異なり、ボディサイズからデザイン、運転感覚や乗り心地まで、日本と海外ではすべてが違うからだ。

この格差や違和感は、日本版のカローラアクシオ&フィールダーと、海外版のカローラスポーツを乗り比べれば良く分かる。

3ナンバー化によるボディサイズ拡大で発生する懸念点

全幅の違いで運転のしやすさは変わる!

新型モデルから3ナンバーになった「トヨタ カローラスポーツ」トヨタ 新型カローラスポーツ 1.8リッターハイブリッド(HV)

全幅の違いには、いろいろな意見がある。しばしばメーカーから聞かれるのは、ミラー・トゥ・ミラーの寸法だ。カタログなどに記載される車両の全幅には、ドアミラーは含まれないが、実際に街中を走る時はドアミラーの両端で図った寸法が実質的な車幅になる。

確かに狭い道を通れるか否かを決めるのは、カタログ数値の全幅ではなくミラー・トゥ・ミラーだが、それがすべてではない。

実際にクルマを運転している時の車幅感覚や運転のしやすさには、「フロントピラー(柱)の見え方」が大きく影響するからだ。運転中は前方を見ているからピラーのことは意識していないが、これが無意識に視野に収まって一種の目安になり、ドライバーの車幅感覚のつかみやすさを左右している。

従ってミラー・トゥ・ミラーが同じだから、全幅が広がっても運転感覚が同じとはいえない。

インプレッサの新旧で例えると・・・

スバル 新型インプレッサ(インプレッサスポーツ2.0i アイサイト・2016年10月発売)

例えば現行インプレッサは、先代型に比べて全幅が35mm拡大されたが、ミラー・トゥ・ミラーは同じだ。そこで新旧インプレッサを乗り比べてみると、道路を単純に真っ直ぐ走るだけでも現行型はボディがワイドに感じる。これはピラーの見え方、さらに室内幅の感じ方なども異なるからだ。

また狭い駐車場で乗降時にドアを開閉する時などは、ドアの長さも影響するが、全幅のカタログ数値がワイドな車種は概して乗り降りがしにくい。

設計の条件が同じであれば、全幅は狭い方が運転しやすく乗り降りもしやすい。加えてボディは軽くなり、空気抵抗も減り、燃費、動力性能、コスト、価格にも良い影響を与える。

つまり最も重要なのは・・・!

トヨタ カローラ アクシオ

つまり最も重要なのは「誰に向けて商品を開発するか」なのだ。現在日本で販売されるカローラアクシオとフィールダーは、日本のユーザーのために開発された。従って取りまわし性やスイッチの操作性から、デザイン、シートの座り心地、乗り心地まで、いろいろな機能が日本のユーザーにとって使いやすい。

全幅を1695mmに抑えた5ナンバーボディは、そのひとつに過ぎず、実際にはもっといろいろな要素が日本向けに造られている。

国内市場では5ナンバーが人気!

日産 セレナe-POWERトヨタ ヴォクシー 2WD/ハイブリッド HYBRID ZS

日本におけるクルマの売れ方も同様だ。新車として販売されるクルマの35%以上が軽自動車で、コンパクトカーの比率も高い。ミニバンのエアロ仕様には3ナンバー車が多いが、標準ボディは日産 セレナやトヨタ ヴォクシーも含めて5ナンバー車だ。

そうなると販売ランキングの上位車種で3ナンバー車になるのは、トヨタ プリウス、トヨタ C-HR、ホンダ ヴェゼル、トヨタ アルファードくらいだ。それ以外は5ナンバー車で占められる。

心情的な問題もある。1989年に自動車税制が改訂されるまでは、3ナンバー車は税金が高く、多くのユーザーが5ナンバー車を購入した。このイメージが今も残り、5ナンバー車は自分に合った等身大のクルマという印象を抱く。クルマで目立ちたくないから5ナンバー車を選ぶ人もいるだろう。

ビジネスで使われるクルマにも5ナンバー車は大切だ。商談でお客様の会社や自宅に出向いたり、銀行から融資を受けるのに、3ナンバー車で出向いたのでは具合が悪いこともある。仮に相手がクルマのことなど何とも思っていなくても、5ナンバー車なら反感は買わず、間違いがないと考えられる。そうなれば5ナンバー車を選ぶ。

このように5ナンバー車は、デザインや使い勝手から、取りまわし性、運転感覚、さらにユーザーや社会との結び付きまで、日本とはさまざまな観点で相性が良い。これを振り払えば、相応の代償が求められるのは当然だ。

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「カローラアクシオ&フィールダー」のフルモデルチェンジは2019年4月以降

トヨタ カローラツーリングスポーツ(欧州仕様)

カローラであれば、国内で売られるアクシオとフィールダーを海外仕様と共通の3ナンバー車にすると、開発費用を抑えられる代わりに、売れ行きを下げてしまう。

販売店で話を聞いてみると「カローラアクシオ&フィールダーが次期型にフルモデルチェンジするのは、2019年度以降(2019年4月以降)になるだろう」という。現行型の5ナンバー車を併売する可能性を尋ねると「情報が乏しくて何ともいえないが、おそらく現行型を併売することはない」と語った。

結論をいえば、トヨタから見た時の国内市場と国内におけるカローラの役割が、昔と今では違ってきたということだ。開発者によると「現行カローラアクシオ&フィールダーのプラットフォームは、コンパクトカーのトヨタヴィッツと共通だが、次期型もこれを使うのは走行安定性や乗り心地を確保する上で無理がある」という。

日本市場を大切に思うのならば、新しい5ナンバー車シリーズの開発に期待したい!

そこでカローラを海外仕様と共通化して3ナンバー車にするが、仮に日本国内がトヨタにとってさらに大切な市場であれば、ヴィッツの上に位置する5ナンバーサイズのプラットフォームを開発するはずだ。上級5ナンバー車向けのプラットフォームがあれば、新型カローラアクシオ&フィールダーだけでなく、同じく5ナンバーサイズのプレミオ&アリオンをフルモデルチェンジしたり、かつてのトヨタ プログレのような「小さな高級車」も商品化できるだろう。

床の高さを変えてミニバンやSUVにも応用できる。大変な作業ではあるが「新しい5ナンバー車のシリーズを開発して、国内市場を改めて掘り起こす」チャレンジもあり得るだろう。さまざまな可能性が開けて、何よりも日本のユーザーに優しい。

それをしないで、新型カローラスポーツをベースにした3ナンバーサイズのアクシオやフィールダーを国内導入するのであれば、日本はトヨタにとって、その程度の市場になっているということだ。状況はほかのメーカーも似ていて(さらに日本離れをしているメーカーもある)、果たして日本車メーカーがどこの国の企業なのか、分からなくなってきた。

[Text:渡辺陽一郎]

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