トヨタ 新型アルファードに搭載された「Toyota Safety Sense」第2世代版を体感|自転車や夜間の歩行者も検知可能に

トヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が第2世代に進化

これまでトヨタは予防安全パッケージとして、センサーに単眼カメラとミリ波レーダーを用いた「Toyota Safety Sense P」と、単眼カメラとレーザーレーダーを用いた「Toyota Safety Sense C」の2つのタイプを用意していた。ざっくりいうと「Toyota Safety Sense P」は価格が高く新しめの車種に、「Toyota Safety Sense C」はそうでない車種にという具合に使い分けていた。

それが今回、「Toyota Safety Sense P」をベースに第2世代の「Toyota Safety Sense(略称「TSS」)」として進化。2018年1月にマイナーチェンジしたアルファードおよびヴェルファイアを皮切りに採用された。

>>子供や自転車の飛び出しも検知可能「Toyota Safety Sense」第2世代版を搭載するアルファード【画像】

車の陰から飛び出してくる子供も検知可能

「TSS」は感度や画像認識性能を高め、より広い視野で人や先行車を認識する単眼カメラと、より広角な検知を可能としたミリ波レーダーを組み合わせ、プロセッサの処理能力を高めるなどしたことで、自転車や夜間の歩行者の検知を可能としたほか、諸性能が向上したという。その実力をトヨタ東富士研究所のテストコースで試すことができた。

まずは昼間の対歩行者からテストを実施。40km/hで走行中に道路わきの駐車車両の車陰から子どもが飛び出してくることを想定した状況で、ドライバーが何もしなくてもちゃんと止まることを確認した。自車の速度は40km/h、人形が横切る速度は5km/hだ。

この日は他の参加者とともに何人かの班に分かれてテストし、自分の順番でないときも後席に同乗したり、他の参加者の走行を外から見ることができて、一見あまり難易度が高くなさそうに感じたのだが、いざ運転席に収まって実践すると、わかっていても本当に急に事が起こる印象でドキドキした。

人形が横切ると、まずブザーとディスプレイで警報を発したのち、自動ブレーキが作動して、人形ギリギリのところで止まった。自動ブレーキの最大減速Gは最大限の1G近くで、身長1m弱ぐらいまで検知可能という。既存のシステムでは、このタイミングで飛び出されてぶつからないで止まるのは無理とのこと。また、横切ったのが人間かどうか間違えることなく認識できるようにすることも非常に難しいそうだ。

ご参考まで、人間を検知するためにはミリ波レーダーでは弱いはずなので、カメラを主体に検知しているものと思っていたのだが、実際にはミリ波レーダーも併用して、間違いのないよう状況により総合的に認識しているのだという。                  

また、他の参加者もACCをセットして同じように走っていても、比較的ラクに止まれるときもあれば、スキール音が鳴るくらい急減速するときもあった。毎回、微妙に検知のされ方などが変わるのだが、それはフィードバック制御が行なわれ、距離合わせをするために途中で減速度が強まったり弱まったりするせいだ。いずれにしても一度も人形をはねることなく止まれたことには感心した。

自転車が車道にはみ出してきてもアルファードなら止まる

次いで、自転車も検知できることを試す。自車の速度は同じく40km/hで走行しているところ、15km/hの速度で視界外から人形の乗った自転車が飛び出してくるというシチュエーション。障害物から自車の通過点まで、さっきよりも距離があったのだが、15km/hで出てくるとちょうどAピラーと重なって見えにくいこともあって、気づいたときには視界内に自転車がいるという感じになる。これは単眼カメラやミリ波レーダーなどセンサーの視野が十分に広くないと対応できないと思うが、アルファードはちゃんと止まってくれた。

なお、このように垂直に交差するだけでなく、自車と同じ方向で先行する自転車が車道にはみ出したり、斜めに走ったりするような状況でも、クルマが持つ膨大なデータを学習させた画像の「辞書」と合致すれば自転車だと認識する。ようするに人間の目で見て自転車だと判る状況であれば、クルマも自転車だと検知できるわけだ。

新型クラウンをはじめ、今後発売される車種に順次搭載

最後に、夜間でも歩行者が検知できることを確認するため、暗くなるのを待ってテストを実施。自車の車速が40km/hでも概ね大丈夫とのことなのだが、万全を期すべく30km/hに少し下げて、問題なく止まることを確認した。

照度としては1ルクスあるかどうかというかなり暗い中でも、ロービームの明かりがあれば機能する。人形には暗い色の服が着せられていてただでさえ見えにくく、ロービームだと照射される範囲が低いこともあり、何かがあるとは分かっても即座に人間とは判別できない状況だった。それでもカメラは前述の辞書によって人間だと類推して自動ブレーキをかけてくれる。写真では状況がわかりやすいよう、やや明るめにされているが、実際には本当にまっ暗で、こんな中で大丈夫なのかという感じだったのだが、ちゃんと止まったことに感心した次第である。

なお、自車速が約10~80km/hで、自動ブレーキによる速度低減量は約40km/hとなり、速度の差が約40km/h以内であれば衝突を回避できるか、被害が軽減されるようサポートする。

交通事故の死亡者数は年々減少傾向とはいえ、事故類別型の死亡事故の割合でいうと、依然として歩行者は約37%ともっとも高い。そこに真摯に取り組むトヨタの姿勢には大いに共感を覚える。こうした優れた安全運転支援システムのおかげで救われる命も少なくないはずだ。

間もなく発売される新型クラウンをはじめ、今後登場する車種にも順次搭載されていくことになるということだが、その恩恵を少しでも多くの人が享受できるよう、さらなる普及を願ってやまない。

[TEXT:岡本幸一郎/PHOTO:トヨタ自動車]

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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