トヨタがプリウスPHVやマークXまでスポーツモデルに!GRシリーズに試乗してその特徴に迫る!(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正・TOYOTA
ヴォクシーZS&ノアSi GRスポーツ(325万7280円)
試乗した印象は
スポット溶接箇所は増やしていないが、ボディ底面をブレースで補強して前輪が20mm、後輪が25mmのローダウンサスペンションを装着した。タイヤサイズは標準車は15/16インチだが、ヴォクシー&ノア GRスポーツは18インチ(215/45R18)となる。
標準車でカーブを曲がると、まず減速時にボディが前側に大きく沈み、旋回を開始するとボディが大きく外側へ傾いて荷重が外側前輪に偏る。後輪の横滑りは抑えているが、接地感は下がって旋回軌跡を拡大させやすい。
ヴォクシー&ノア GRスポーツではこの挙動変化が穏やかになり、荷重の偏りが抑えられて4輪のグリップ力が有効に活用される。特に違いが分かりやすいのは、S字コーナーなどでハンドルを左右に切り返す場面だ。標準車は少しあおられた動きになりやすいが、GRスポーツでは車両の動きが安定する。前後輪のグリップバランスはさほど変わらず、後輪を確実に接地させた上で自然に曲がる。感覚的には全高が100mmくらい下がったように受け取られた。
*ベース車と比べた走行性能の向上度:Bランク
価格設定について
標準車のヴォクシーZS&ノアSiに比べるとヴォクシー&ノア GRスポーツは48万1680円高い。標準車にもエアロパーツやアルミホイールが装着されることを考えると、価格上昇が少し大きい。それでもボディや足まわりが入念にセッティングされたコンプリートモデルとしては納得できる。
*走行性能の向上に対する価格の割安度:Cランク
ハリアーエレガンス GRスポーツ/2リッターターボ4WD(399万6000円)
試乗した印象は
スポット溶接箇所を増やし、ボディ底面にはブレースを装着。前後に35mmのローダウンサスペンションを装着した。運転感覚を標準車と比較すると、ほかの車種のGRスポーツに比べて特に違いが大きい。標準車も相応に安定しているが、ハリアー GRスポーツでは足まわりの取り付け剛性が高まり、カーブへの進入がとても滑らかだ。危険を回避する場面でも後輪がしっかりと踏ん張る。ハリアーのプラットフォームはRAV4などと同じで設計の古いタイプだが、おそらく走りの素性は良いのだろう。GRスポーツのチューニングにより、走行安定性が目立って向上した。
全高はローダウンされたサスペンションを装着しても1655mmに達するが、運転感覚としては90mmほど背が低いC-HRに近い印象だ。特に2リッターターボの動力性能を生かした走り方をする時は、ハリアー GRスポーツなら安心感が高くバランスの良さを感じる。
*ベース車と比べた走行性能の向上度:Aランク
価格設定について
ハリアー エレガンス GRスポーツの価格は、2リッターターボで4WDの標準車に比べて42万1200円高い。価格上昇は小さくないが、その成果を考えると納得できると思う。
*走行性能の向上に対する価格の割安度:Bランク
マークX 350RDS GRスポーツ(442万8000円)
試乗した印象は
スポット溶接箇所を増やし、ボディ底面にブレースを装着して、前輪側が20mm、後輪側が15mmのローダウンサスペンションを備える。タイヤは標準車の18インチから19インチ(235/40R19)に変更された。
マークXはセダンだからもともとカーブを曲がる時の安定性は良いが、マークX 350RDS GRスポーツは直進時の安定性がさらに向上している。カーブの手前でハンドルを切り込んだ時も、車両の向きの変わり方が正確だ。乗り心地は粗さが抑えられ、車両全体の動きが洗練されている。マークXは発売から約8年を経過したが、GRスポーツのチューニングが設計の古さを巧みに補っている。
*ベース車と比べた走行性能の向上度:Bランク
価格設定について
マークX 350RDS GRスポーツの価格は標準車の350RDSに比べて57万7800円高い。価格の上乗せは大きめだが、前述のように多岐にわたるチューニングを受けている。
*走行性能の向上に対する価格の割安度:Cランク
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