トヨタがプリウスPHVやマークXまでスポーツモデルに!GRシリーズに試乗してその特徴に迫る!(4/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正・TOYOTA
86 GR(価格未定)
試乗した印象は
2ドアクーペとあって86 GRは溶接箇所も増やしていないが、ステアリングラックを含めてブレースを加え、ローダウンスプリングやザックス製ショックアブソーバーを備える。各部の造りがしっかりしており、ダイレクト感が標準車以上に強い。そのためにボディが軽く、運転がしやすくなったように感じる。
またカーブを曲がっている最中に、あえてアクセルペダルを戻すような操作をしても、後輪の接地性が損なわれにくい。アクセルペダルを踏み込んだ時は、後輪の横滑りの度合いが分かりやすい。
つまり積極的に走りたい時はコントロール性が優れ、危険を回避するために安定を保って欲しい時には4輪がしっかりと路面をつかむ。さまざまな場面で優れた対応を見せるメリットの多いチューニングとなった。
*ベース車と比べた走行性能の向上度:Aランク
トヨタ GRシリーズの総合評価
GRシリーズのすべてに共通する特徴は、運転操作に対して車両が忠実に反応することだ。挙動の変化が穏やかに進むから運転がしやすく、常に後輪側の安定性を重視しているから、危険を避ける操作も安心して行える。この設定であれば足まわりが柔軟に動くため、乗り心地も損なわない。車両全体の動きを洗練させた。
走行性能を高めたコンプリートカーの場合、販売店における短時間の試乗でも標準車との違いをユーザーに分からせたいという意識が働き、概して車両の反応が過敏になったり乗り心地が硬くなりやすい。しかしGRシリーズはそこに捕らわれていない。
そしてボディの補強や足まわりの変更で安定性と乗り心地をバランス良く高められるのは、シャシーの素性が良い証でもある。
ならばコスト等の問題はあるにせよ、標準車の造り込みをもう少し入念に行って、GRシリーズの走りに近づけて欲しい。そうすれば「走りの良いクルマを選ぶなら欧州車」という、日本のクルマ好きにとって不名誉な風評もなくなるだろう。GRシリーズは標準車が今後改善すべき点を見事に表現していた。
[レポート:渡辺陽一郎/Photo:茂呂幸正・TOYOTA]
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