スバル WRX STI S208独占試乗レポート| 価格710万円の究極ロードゴーイングSTIを徹底評価!(3/3)

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これぞ気持ち良いエンジン!といえる典型的な吹け上がりの美しさ

次にSIドライブをS#にしてアクセルを踏み込む。するとEJ20ターボは抜けの良いサウンドを響かせながら回転を一気に上昇させていく。その上昇感たるや、実に「きれい」と表現するのが相応しいもの。最近のパワーユニットは、直噴のものがほとんどで吹け上がりに関して、滑らかさで芯がしっかり出ているものが回転している感はほぼない。

が、このEJ20ターボは、これぞ気持ち良いエンジン!といえる典型的な吹け上がりの美しさを持っていたのである。バランス取りと低背圧があいまって、サウンドも実に気持ち良い。

そして思うのは、S208はまさに、このエンジンを味わうためのマシンでもある、ということ。今後の自動車を考えれば、こうしたエンジンは消滅していく方向にある。そう考えるとなおさらに、今こそこういったエンジンを存分に愛でる時、と感じるからなおさら味わい深いものに思えてくるのだ。

しかし実際には、そうした感慨を覚えていられるのもここ群サイではわずかな時間でしかない。なぜなら速度が高まるに連れて道はまるで視野が狭まるように一層タイトに感じられ、合わせて上質さを誇っていたサスペンションの動きも、速度が高まったことで路面の段差や荒れに反応してボディをかなり揺らし始める。

しかも群サイは、高いスピードから急な減速をしながらのコーナリングや、左右に切り返す際の逆カントなども出てくるため、速く走らせようとするほどドライバーの緊張感は高まる。

そしてこんな状況になってくると、まさにクルマの実力が晒け出されるわけで、ヤワなところをもったクルマでは、それ以上のペースを刻むことができなくなる。

しかしながらS208は、とにかくどんなシチュエーションでも速いと感じさせるパフォーマンスを見せつけてくれる。しかもボディは上下左右にシェイクされるにも関わらず、安心感は少しも失われないのが頼もしい。

中高速でのコーナリングでは、途中で突き上げを食らうなどしてもしっかりとタイヤを路面へ押し付けている。高速からのブレーキング、そして旋回というシーンでもむしろグイグイとインを突いていける。これは前後輪にトルクベクタリングが働いているからに違いない。

『究極のロードゴーイングSTI』

あとから自分で運転している動画を確認すると、よくもこれほどタイトな群サイをS208でハイペースで走れたものだと、自分自身で感心してしまった。が、ここにこそS208の本質があると感じた。

『究極のロードゴーイングSTI』それはまさにこのS208のコンセプトである、誰がどこで乗っても気持ち良いと感じ、運転がうまくなったと感じる走りそのもの。

そう考えると、このS208が“史上最強のSシリーズ”と言われることにも強く納得できるのである。その意味でまさに、と断言できる。

今回、購入の権利を得た450人の方は本当にラッキーである。少しばかりの間、首を長くして待っていれば、この究極の走りを好きな時に好きなだけ味わうことができるのだから。

もっともこうした応募抽選の場合、プレミア価格での転売目的の業者や個人からの応募も当然あって、そして抽選は機械によるものだから、そうした人も当選してしまう。

そして結果的に実際の価格よりも高く販売されてしまうなどの問題もある。これは現時点では解決できておらず、ネット上でも当選した方がオークション形式で出品しており、本当に欲しくて買えない方やファンの方から声が上がっている状況でもある。

せっかくの逸品に、こうした話は本当にふさわしくない。だから今後は、なんとかこうしたことを防ぐ販売方法がメーカーの側から生まれることにも期待したいものでもある。

世界に名だたるスーパースポーツと並んでも胸を張っていられるもの

それにしても、返す返すS208は、走りを究極的に味わえる1台で、その存在は日本が世界に誇れるものだといえる。そう、これまでも日本のワークスチューニングは、世界に知られていたけれど、それはまだまだカルトだったことも事実。

しかし、いまこのS208の完成度を見れば、世界に名だたるスーパースポーツと並んでも胸を張っていられるものとなった。その意味では、SUBARUやSTIは、こうしたハイパフォーマンスモデルをしっかりと展開して、世界中にSUBARUとSTIの名を轟かせて欲しいと思う。

S208ならば、それができる。そう表現できる1台である。当選された皆さん、本当におめでとうございます!

[Text:河口まなぶ Photo:茂呂幸正]

スバル S208 主要スペック表

スバル S208 主要スペック表
車種名 スバル S208

駆動方式

AWD

トランスミッション

6MT

価格(消費税込)

6,264,000~7,106,400円

全長

4,635mm

全幅(車幅)

1,795mm

全高(車高)

1,470mm

ホイールベース

2,650mm

乗車定員

5名

車両重量(車重)

1,510kg

エンジン

EJ20 水平対向 4気筒2.0リッター DOHC 16バルブ デュアルAVCS ツインスクロールターボ

排気量

1,994cc

エンジン最高出力

242kW(329PS)/7,200rpm

エンジン最大トルク

432Nm(44.0kgf-m)/3,200-4,800rpm

燃料

無鉛プレミアムガソリン

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河口 まなぶ
筆者河口 まなぶ

1970年生まれ。大学卒業後、出版社のアルバイトをしたのちフリーランスの自動ライターとなる。1997年に日本自動車ジャーナリスト協会会員となり、自動車専門誌への寄稿が増え、プレイステーション「グランツーリスモ」の解説も担当。現在、自動車雑誌を中心に一般誌やwebで自動車ジャーナリストとして活躍。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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