東京モーターショー2009を振り返って/日下部保雄のコラム
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:日下部保雄
東京モーターショー2009を振り返って/日下部保雄のコラム
東京モーターショー2009が終わって、結果が出た。輸入車はアルピナとロータス以外は殆ど出品せず、部品メーカーも半減。半ば予想されていたことだが、入場者数は前回の半分以下という惨憺たる結果となった。
フロアも西館、東館、中央館で収束。つまりワンフロアで全て見ることができ、さっと見るだけなら30分で終ってしまうほどだった。
良いことといえば、土日でも比較的ユッタリ歩けてほぼ満足して展示を見ることが出来たことだ。個人的には、休日の渋谷ハチ公前交差点のような人ごみは目が回ってしまうので、正直ホッとした。
内容は、各メーカーともコストダウンが目立ってショボイのは事実。前回のような2階建てが一つもないのは良いとしても、展示自体に凝らなくてもいいので、もう少し展示物を充実して欲しかった。今回、多分メーカーは伝えたいことのホンの一部しか表現できていなかったのではないか。
ではつまらなかったのかといえば、実はとっても面白かった。イモ洗い状態で見る必要がなかったので、結構展示品をチェックできたし、実はとっても面白い部品メーカーも堪能できた。
狭いとはいえ、じっくり見ると一日じゃ終らないのだから、今まで何やってたんだろうと深く反省するばかりだ。マスメディアの報道では、東京モーターショー2009は電気一色というイメージがあるが、そんなことはない。ガソリン/ディーゼルエンジンとトランスミッションの進化が、実は大きなテーマだったと思う。
これからも、まだまだ主役の座を張る内燃機は省燃費化とハイトルク化が進み、トランスミッションは日本ではツインクラッチ化させる気はあまり無いようだ。
むしろ、CVTとトルコンの効率化の方向性を見せてくれた。また、ハイブリッドを含めたEVは、家庭などの住宅と密接に関わりあっていけば、これまでの自動車の枠にとらわれないモビリティになるはずだ・・・といった具合で、ボクにとっては非常に興味深いショーだった。
ところで、今年は我々の日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)では、寂しくなりそうな東京モーターショー2009に貢献しようと、日本自動車工業会(自工会)と協力して『ジャーナリストと巡る東京モーターショー』を行った。
各グループが、マックス10名のツアー参加者をジャーナリストそれぞれのスタンスで、およそ2時間半のモーターショーツアーを行ったのだ。
ツアーガイドとなるAJAJ会員はボランティア。結構タフだったが、予想以上に満足してもらえたのは嬉しかった。さらに、来場者とコミュニケーションが図れたのは我々にとって大きな収穫だった。
少なくとも、ボクにとってはこれまでと違ったモーターショーが見えたことで、とっても大きなイベントだった。
そうは言っても、今後の東京モーターショーはクルマを置くだけではなく、もっと部品メーカーとも一体となって「東京」ならではの内容にしないと、縮小・消滅と言うことにもなりかねない。
主要なマーケットが中国に移った今、インポーターが東京に戻るとも思えないが、技術立国ニッポンらしいショーに作り上げていかなければならないのは明白だ。
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