アウディRS3セダン&RS3スポーツバック試乗|最も小さく最も辛いRS3の2モデルをテスト(1/3)
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:小林 岳夫
ひしめき合う欧州ライバル勢と渡り合うために
アウディ RS3を久々に駆りだして、そのホットな走りにニヤつくと同時に、改めて欧州車における“層のブ厚さ”を思い知らされた。
確かにRS3は、極上のホットコンパクト。しかしベーシックモデルであるA3セダン/A3ハッチバックをベースに2.5リッター直列5気筒TFSIを搭載し、ハルデックスカップリングのフルタイム4WDで速さと安定性を担保したその車両価格は、スポーツバックで762万円、セダンで780万円もする。単純計算で一番安いA3の倍以上! 果たしてそこまでする必要があるのか? 290psを発揮する直列4気筒ターボのS3で十分じゃない?
しかし回りを見渡せばメルセデスがA45 AMGを、BMWがM2 クーペを発売してこのセグメントに横やりを入れ、同門であるフォルクスワーゲンはゴルフ Rを310psへとパワーアップし、下からはルノー メガーヌ R.S.やホンダ シビック タイプ Rが追い上げてくる。こうした荒波の中で見栄を切りライバルと渡り合うためにも、アウディはA3に「RS」を設定する必要があるのだ。
>>M2よりも曲がる?! RS3スポーツバック&RS3セダンを画像でも見る[フォトギャラリー]
そんなRS3の最新イヤーモデルは、2018年の夏にようやく日本に導入された。
変更点は由緒ある直列5気筒ターボが、367ps/465Nmから400ps/480Nmへと大幅に高出力化されたことである。
これを支えるタイヤは、マイナーチェンジ前と変わらない19インチ(235/35R19)。駆動方式は前述の通り、最新のハルデックスカップリングを用いたFWDベースの4WDとなっている。
その数値こそ後出しジャンケンをしたM2コンペティションに10ps抜かれてしまったものの、直列5気筒エンジンのパフォーマンスは優秀。そして優雅だ。5気筒だからといって特別な排気脈動の個性はあまり感じない。むしろ体感としてわかるのは2.5リッターの排気量で、これが2リッターターボ勢に対する確実な余裕の差となって現れている。即座に立ち上がるトルクの湧き出方が分厚くて優しい。そしてアクセルの踏み込み量が少なく感じられる。もちろんここからアクセルを踏み込めばドラマが始まるわけだが、飛ばさずとも楽しいのは、このエンジンの存在感が大きいからだと思う。
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