都市交通の新しい提案、ポルシェのE-ハイブリッドはオススメか?(1/2)
- 筆者: 清水 和夫
- カメラマン:ポルシェ ジャパン
実は環境を大切にするDNAを持ち合わせたメーカー
ポルシェはハイブリッド技術に対して熱心だ――そう言われると意外に思うかもしれないが、2015年のル・マン24時間レースにおいて復帰2年目で悲願の総合優勝を果たした、記念すべきマシンは「919ハイブリッド」である。
LMP1のレギュレーションではライバルのトヨタもアウディもハイブリッドを使うが、ポルシェのシステムは唯一リチウムイオンバッテリーを使い、しかもターボの排熱から発電するF1と同じシステムも持っている。
サーキット1周で回生できるエネルギー量は8MJ(メガジュール=1,000,000Nm )とライバルよりも多い。
つまり、ポルシェのル・マンカーはハイブリッドの特性を最も生かしているのだ。
限定918台で市販されたスーパーカーのポルシェ918はミッドシップのスーパーカーだが、このマシンもまたプラグイン・ハイブリッド(PHEV)。エンジンをかけずに電気自動車として走ることも可能だ。
ポルシェがハイブリッドにこだわる理由のひとつに115年前の出来事が関係していると思う。
創業者のフェルディナンド・ポルシェは若干28歳のとき、オーストリアのローナー社で技師として働いていた。そこで考案したクルマがローナーポルシェ。自分の名前を冠した初めてのクルマだった。
このクルマこそがシリーズ式ハイブリッドで、ホイールにモーターを内蔵したインホイールモーターを採用している。現代でも実用化されていない技術を115年も前にプロトタイプとして開発していたのだ。
ローナーポルシェは1900年に開催されたパリ博覧会に出典され、ポルシェの名前は世界的に知られることとなった。
ポルシェ博士がなぜシリーズ式ハイブリッドにこだわったのか。当時はまだガソリン車が普及しておらず、むしろ電気自動車の方が多く町中を走っていた。生まれたてのガソリンエンジンは効率と出力が低く、実用化には性能が足りなかった。
そこでエンジンで発電してモーターで走るシリーズ式ハイブリッドを考案したのだった。
ポルシェというとレースやスポーツカーのイメージが強いが、実は環境を大切にするDNAを持ち合わせたメーカーなのである。
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