プジョー 新型508 速攻試乗|2700kmのロングドライブで見えた上級グレードの実力とは(3/5)

  • 筆者: 内田 俊一
  • カメラマン:和田 清志・内田 千鶴子
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高い直進安定性と安全運転支援システム制御

当然のことながら新型508にも安全運転支援システムが搭載されている。そこで高速道路では、ほぼ全域にわたって利用してみた。

その操作はステアリングコラムから生えているレバーのボタン類を使うもの。これは他のPSAのモデルと同様で、2ステップ程の操作でセットができる。

積極的に使用した理由はテストという意味もあるが、アクセルペダルの角度がいまひとつで、足首が疲れやすかったということもある。

ACCの完成度は悪くはない? だがもう少しスムーズさが欲しい

実際にステアリング介入を含むアクティブクルーズコントロールを使っていると、ほとんど何も気にすることなく淡々と高速移動が可能だ。車線変更時はウインカーを出すと加速体制に入り、場合によってはギアが1段落ちるなど、きめ細やかな対応もしてくれる。

ただし単眼カメラの宿命か、加減速は意外と荒く、特に前走車が車線変更などでいなくなり、その前にクルマがいた場合でも一気に加速して追いついてしまい、慌ててブレーキングをするというシチュエーションが多発したので、もう少しスムーズなセッティングが欲しいと感じた。

また、レーンキープアシストと共にレーンポジショニングアシストが新型508には搭載されている。レーンキープアシストは他車でも多くある、車線を検知しそこからはみ出そうになると、クルマ側がステアリングを操作するシステム。

そしてレーンポジショニングアシストは左右の車線の任意のどちらかをドライバーが選び、その白線から一定の距離を保ったまま走行可能。白線との距離に応じて進路修正をするため、滑らかな補正が可能なところが利点だ。

この左右の任意の車線との間隔を保持する制御ロジックのおかげで車線内をピンボールのように左右に動くことは基本的にはなく、ほぼ全速度域でステアリング補正を実施してくれる。

アクティブクルーズコントロールとともに先進的な運転支援をドライバーに提供するものだ。これらを併用すると、ほぼ思った通りの車線位置をキープしてくれる。

ただし、若干左寄りに走ることがあるので、追い越し車線走行時には走行車線の大型トラックなどに注意が必要なこともあったが、基本的には車両の直進安定性が高いので、ステアリングに軽く手を添えて、クルマに身を任すことも可能だ。もっとも、その高い直進安定性に身を任せすぎると、クルマからステアリングを操作しろと警告されてしまうのだが。

乗り心地はセダンと同等

いま述べたように非常に直進安定性が高いのと同時に、ロードノイズの遮断も非常に上手くいっている。ハッチバック形状ではどうしてもリアからロードノイズの侵入が避けられないが、新型508に限っていえば全くそういうことはなく、普通のセダンに乗っている感覚であった。これらは全てボディ剛性が高いためで、下手な細工をしなくても効率よくセッティングができた結果だろう。

もうひとつ8速オートマチックについて記しておくと、長い下りなどでエンジンブレーキを使いたくて、パドルシフトでシフトダウンした場合、ある一定維持時間が経つと勝手にそのポジションのキープを廃し、シフトアップしてしまうことがあった。

タッチスクリーンは綺麗だが操作は?

操作類についてみてみよう。最近のPSAの各モデルはいずれも大型のタッチスクリーンを備え、それを操作することで様々な変更を行う。その一つに空調も取り入れられており、従ってセンタークラスター周りの物理スイッチ類を減らすという効果を生んでいる。

新型508の場合はタンブラースイッチで大きな選択、例えばラジオとかナビとか空調などを選択し、望む画面を呼び出して改めて操作する仕様なのだ。

ぶっちゃけ面倒&危険!? せめて空調操作は物理スイッチが良かったかも

この操作は2ステップ以上踏む必要が生じる。空調を例に挙げると、1、タンブラースイッチの空調ボタンを押し画面を切り替える。2、その画面で温度調整やエアコンのオン/オフなどやりたいことを選ぶ。3、終わったら改めてタンブラースイッチで元の画面に戻す。というステップが必要だ。

ラジオのチューニングやボリューム調整は、ステアリングスイッチで行えるものもあるのだが、基本はこのステップを踏むことになる。

実にこれが面倒で、さらにいうと、508に限らずタッチスクリーンはブラインドタッチが不可能なので、どうしても目線がスクリーンにいってしまい、走りながらの操作はとても危険なのだ。

この辺りは是非改良して、より簡単な、正直にいえば以前のように空調のコントロールユニットは物理スイッチとして存在してほしいと感じている。

またデザイン的には、非常に魅力的なタンブラースイッチもドライバーの視線からはどのスイッチがどれだか一目で分からない。また夜間の照明も暗いので、慣れるまでどれがどのスイッチだか戸惑うことが多かった。

居住性はこのデザインとしては確保されているほうで、サンルーフもチルト後外にスライドしていく方式であるから、あまりヘッドクリアランスはいじめてはいない。左後方の視覚も確保されており、安心感があった。

>>優秀な燃費[次ページへ続く]

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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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