プジョー 308/308SW 試乗│ライバル VW ゴルフにはない個性、ディーゼルターボが生み出す軽快な走り(2/2)

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ワゴンの乗り心地は柔軟

308 SW Allure BlueHDiは、直列4気筒1.6リッターのクリーンディーゼルターボを搭載する。最高出力は120馬力(3500回転)、最大トルクは300Nm(30.6kg-m/1750回転)だから、2リッターディーゼルに比べると大人しいが、実用的には十分だ。

加速力は2.5リッターのガソリンエンジンに匹敵して、吹き上がりも良い。シフトアップも2リッターディーゼルと同じく4500回転付近で行われ、ガソリンエンジンに近い感覚で試乗できた。1400回転以下では駆動力が落ち込むが、通常の使い方であれば支障はない。

気になったのはディーゼル特有のノイズで、2000回転を下まわるとゴロゴロした印象になる。このあたりは2リッターディーゼルの方が洗練されている。

また操舵感は比較的機敏でスポーティだが、タイヤサイズが16インチ(205/55R16)にとどまり、後輪の接地感は5ドアハッチバックの308GTブルーHDiに比べて劣っていた。

もっとも逆にいえば、アクセル操作で車両の進行方向をコントロールする余地がある。乗り心地は柔軟だから、ワゴンの性格にも合っている。クルマ造りに若干の緩さを持たせ、運転の楽しさやリラックス感覚に結び付けた。

ドイツ車のような良し悪しではなく、「好きか嫌いか」に判断基準がある

プジョーの見にくいメーターや窮屈感が伴う後席は、ドイツ車や日本車を見慣れていると、大きな違和感として受け取られた。

その一方で、乗り心地と前席の座り心地は絶妙だ。ドイツ車のような良し悪しではなく、「好きか嫌いか」に判断基準があるように思える。

そして1.6リッターと2リッターという、2種類の上質なクリーンディーゼルターボを選べることも魅力だ。VWの不正問題を切っ掛けに、欧州ではディーゼル車が大気汚染などのイメージ悪化もあって人気を下げている。トヨタや日産も、欧州でのディーゼル乗用車の販売を終了するという。かつて日本で経験したディーゼルを否定する動きが、ディーゼルの本場とされた欧州で噴出している。

技術の可能性を否定することは好ましくないが、ユーザーが拒否反応を示しているなら逆らえない。「将来の絶滅が心配されるから、ディーゼルは今が買い時」という悲しい判断も成り立つ。

大排気量のガソリンエンジンなども含めて、最近は「今でなければ」が多い。クルマ好きとしては興味をそそられる変革の時代だが、動植物の生存を左右する重い課題とあって、なかなか楽しい気分にはなれない。

[Text:渡辺 陽一郎 Photo:茂呂 幸正/和田 清志]

プジョー 308/308SWの詳細スペック
308 GT BlueHDi308 SW Allure BlueHDi

ステアリング位置

寸法・定員・重量

全長

4,260mm

4,585mm

全幅

1,805mm

1,805mm

全高

1,460mm

1,475mm

ホイールベース

2,620mm

2,730mm

乗車定員

5名

車両重量

1,340kg

1,400kg

エンジン主要諸元

種類

直列4気筒DOHC
ターボチャージャー付(ディーゼル)

直列4気筒SOHC
ターボチャージャー付(ディーゼル)

総排気量

1,997cc

1,560cc

内径×行程

85.0mm x 88.0mm

75.0mm x 88.3mm

最高出力

133kw (180PS)/3,750rpm

88kw (120PS)/3,500rpm

最大トルク

400Nm/2,000rpm

300Nm/1,750rpm

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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