プジョー 新型5008 試乗レポート|SUVライクに生まれ変わった新型は、街中から長距離まで使い勝手豊富(1/2)

SUVライクな3列シートミニバンがフランスからやってきた!

プジョーのフラッグシップ7シーターと位置付けられる新型5008の日本への導入が開始された。既に3008発表の際に宣言されていたが、この度正式に販売が開始されたのだ。そこで早速1000kmほどテストに引っ張り出してみた。

走り出す前に新型プジョー5008の概要について振り返ってみよう。SUVライクに生まれ変わった5008は、先に登場した3008と基本的には共通と思って間違いはない。その中で大きく違うのは5008が3列シートを備えるということだ。そのために、全長は3008の4450mmから4640mmと190mm長くなり、ホイールベースは2675mmから2840mmと165mm延長された。つまり、3列シートにするためにその多くの延長分が使われたことになる。

>>3列SUVに生まれ変わったプジョー 新型5008を画像でチェック!

リアドア後方デザイン以外、基本はプラットフォームを含め3008と共通

今回テストしたのは5008 GT BlueHDiで、2リッター直列4気筒ターボディーゼルを搭載。最高出力は180ps、最大トルクは400Nmを発揮し、6速ATが組み合わされる。これらエンジンやトランスミッション(含むギア比)、EMP2と呼ばれるプラットフォームを含め、3008とすべて共通だ。従って駆動方式はFFで、5008 GT BlueHDiには砂や泥など様々な路面に対して最適なトラクション制御を行なうアドバンストグリップコントロール(5 モードでヒルディセント機能含む)が搭載され、タイヤもマッド&スノーのオールシーズンタイヤが装着される。

エクステリアデザインでもほとんど変更はない。ただし、リアドアより後ろ側はデザインが変更されている。

プジョー 新型5008の2列目シートは独立3座でそれぞれ15cmの前後スライドと5段階のリクライニングが可能。荷室容量は5名乗車時では762リットル(VDA法)で、2列目シートを畳んだ2名乗車では1862リットルとなる。またパセンジャーシートバックまで倒すと、約3.2mの長尺物を載せることが可能だ。3列目の2座は取り外すことも可能で、その場合、両側の合計で約38リットルの床下収納を作ることが出来る。

常に多人数乗車を前提に設計された5008

新型 5008 GT BlueHDiに乗り込んで、センターコンソールにあるシルバーのスターターボタンを長めに押し続けると、カラカラというディーゼルの音とともにエンジンは目覚めた。その音は決して不快なものではなく、最初は耳につくかもしれないが、自然と慣れてしまい、走っている最中は気にもならない。また、アイドリングストップも最近のPSAのクルマと同様、オルタネーターでエンジンをかけるため非常にスムーズで、一部のドイツ車のように、ドンというショックとともにエンジンがかかるということは一切なかった。

走り出した第一印象はクルマが重いということだった。3008よりも80kgほど重いので、走りに関しては3008のようなきびきびした印象は求められない。もちろんエンジンの低速トルクがきちんと発揮されるので、かったるさは感じられないが、3008の印象とは大きく異なっている。

乗り心地は3008と比較し硬めだ。その理由は80kg重くなった車重を支えるためとともに、最大乗車人数が2名増えたことがその要因だろう。その証拠に、実は今回新潟まで足を延ばしたついでに、新米を30kg購入し3列目シートを畳んだラゲッジルームに積んだのだが、たったそれだけで、少ししなやかさが増したのだ。今回は試せなかったが、フル乗車した際はかなり乗り心地の良いクルマに変化すると思われ、エマージェンシーではなく、常に多人数乗車を前提としたクルマであることが窺われた。

新鮮なi-Cockpitだが一部に使いにくさも

3008から採用が始まり、今後他モデルにも展開が予定されている新世代i-Cockpitが5008にも搭載されている。小径ステアリングとその上から見るメーターディスプレイ。そして、近未来的なセンターコンソールとシフト回りで構成されており、デザイン的には大いに新鮮さを感じる。特にSUVやミニバンのインテリアとしては斬新といっていいだろう

使い勝手という面ではよい部分とともに、悪い部分も見えてきた。まず良い部分としては、小径ステアリングによる取り回しの良さだ。どうしても小径ステアリングというとクイックなイメージを持ってしまうが、5008は決してそういうことはなく、適度な重さとギアレシオにより、街中ではスムーズに操作が出来た。また、そのレイアウトに伴って、メーターはステアリングの上から見下ろすタイプとなっているが、これも全く違和感なく、また、ステアリングによりメーターが隠れるようなこともないので、程よいバランスが取れたドライビングポジションということが出来るだろう。

整然と並んでいて美しく感じるタンブラースイッチだが・・・

シフトに関しては若干慣れが必要だ。レバー右側のボタンを押しながら手前に引くとDレンジ。そこから前方に押すとNやRレンジを選択できる。そしてレバー頭側にPボタンがありそれを押すことでPレンジに入るのだが、たまに、Pレンジに入れるのを忘れたり(エンジンを切れば自動で入る)、あるいは、Rレンジまで押しきれずNポジションに入ったままだったりということが数回あった。クリック感はしっかりしているので、もう少しレバーの動作を軽くするなど、何らかの工夫が必要だろう。

もうひとつ、センターコンソールのタンブラースイッチも一考を求めたい。

見た目は整然と並んでいて美しく感じるのだが、実際に使ってみるとどれが何のスイッチなのかがわからず、ブラインドタッチはまず不可能だ。慣れてくればおおよその位置はつかめるかもしれないが、確実にそのスイッチだと自信をもって判断出来るのかはなかなか難しい。テスターも慣れては来ても、結局左から何番目だからとスイッチを指でたどりながら、目的のスイッチを探し求めていた。

さらに、一番右側にハザードランプのスイッチが位置するのだが、とっさにそのスイッチを間違いなく押せるという自信は最後まで持てなかった。やはりハザードは独立した別場所に配してほしい。

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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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