ガソリンとEVふたつの顔を持つプジョー 2008! 値段以上にガソリンとEVはいったい何が違うの!?(1/2)
- 筆者: 竹花 寿実
- カメラマン:小林 岳夫
世界各国のメーカーがこぞって推し進めている電動化。国産メーカーも奮闘しているが、このところフランス勢が日本に数多くのモデルを輩出している。しかもプジョーは売れ線であるコンパクトSUVの2008にEVを投入。価格的にも現実的なため、売れそうな予感満点なのだが、ガソリンモデルとの何が違うのか!? 実際に乗って検証してみた。
PSAの電動化が止まらない! 日本市場には2008がベストサイズ
すでに日本市場に導入されているDS DS3クロスバックE-TENSEやプジョー e-208のほかにも、フランス本国ではシトロエン e-C4-100% electricやプジョー 3008ハイブリッド、508プジョー・スポール・エンジニアードなども登場し、このところラインアップの電動化が急激に進んでいるグループPSA。
なかでも最も市場からの注目度が高いと見られているのは、近年日本のみならず世界的に人気を博しているコンパクトSUVである、新型プジョー2008とそのEV仕様であるe-2008だろう。
今回は、日本上陸を果たしたばかりの新型2008とe-2008のGT Lineを同時に借り出して、ガソリン車とEVでどのような違いがあるのか、直接比較してみた。
プラットフォームの自由度が見事! 内燃機関にEVまでこなす
新型2008は、新型208やDS3クロスバック、また2021年後半に日本に再上陸する予定のオペルのBセグメント・ハッチバックである6代目コルサなどと、CMP(コモン・モジュラー・プラットフォーム)と呼ばれる、PSAのコンパクトカー用プラットフォームを採用したコンパクトSUVである。
CMPプラットフォームは、ガソリン/ディーゼル・エンジンの他にバッテリーEVにも対応した新世代プラットフォームで、駆動方式は前輪駆動のみ。ホイールベースは自由度が高く、新型208は2540mmだが、新型シトロエンC4は2670mmもある。
2代目となる新型2008は、全長4305mm×全幅1770mm×全高1550mmで、先代と比較すると、全長が150mm、全幅は30mm拡大しているが、日本の道路環境で扱いやすいサイズに収まっている。ホイールベースは2610mmと、ひとまわり上のクラスに迫る長さだ。
EVの航続距離はガソリンの約半分! 実用ベースならガソリンか?
搭載されるパワートレインは、本国には1.5リッター直4ディーゼルターボや6速MTもあるが、日本仕様は最高出力130PS/5500rpm、最大トルク230Nm/1750rpmの1.2リッター3気筒直噴ガソリンターボ「PureTech」エンジンに8速ATの組み合わせのみとなっている。駆動方式はFFだ。JC08モード燃費は19.2km/Lで、燃料タンク容量は44Lなので、満タン状態から800km以上は走れる計算だ。
ちなみに今年導入された新型208には、ステーションワゴンの208SWが用意されない見通しである。通常時で434L、60:40で分割可倒するリアシートを倒せば最大で1467Lもの荷室を実現する新しい2008は、実質的に208SWの需要も受け持つモデルとして開発された。
対してe-2008は、この新型2008に50kWhのリチウムイオンバッテリーと最高出力136PS/5500rpm、最大トルク260Nm/300~3674rpmの交流同期電気モーターを搭載したピュアEVである。プラットフォームの呼称は「eCMP」となる。駆動方式はこちらも前輪駆動だ。
バッテリーはフロントシート下とセンタートンネル、そしてリアシート下に「H型」に搭載。車両重量は1600kg(パノラミックサンルーフ装着車は1630)と、ガソリン車より330kg重い。JC08モードにおける電力消費率は140Wh/km。航続距離は385kmとなっている。
ガソリンは軽快な走りが魅力
実際に運転してみると、2008はとても軽快な印象だ。高張力鋼板や超ハイテン鋼、アルミニウム、複合素材などを用いて軽量化を図ったCMPの採用により、車両重量が1270kgと軽く、また3気筒エンジンを積むことから、クルマの動きがとても軽やかなのである。
試乗車のGT Lineは、215/60R17サイズのミシュラン・プライマシー4を装着していたが、乗り心地はゴツゴツした印象はなく、しっかり履きこなしている印象だ。
3気筒エンジンも振動やノイズを上手く抑えていて静粛性はまずまず。吹け上がりは軽く、サウンドも安っぽさは無い。
パワーの出方もとてもリニアで8速ATの変速制御も滑らか。快適性はこのクラスのSUVとしては十分に高い部類に入ると言って良いだろう。
後席は兄貴分と同等の広さ! ラゲッジの使い勝手も文句なし
またホイールベースが長い事もあって、キャビンスペースも広々としている。とくに後席スペースは、大柄な男性でも十分に余裕があり、座面やシートバックはやや短いが、ひとクラス上の3008に迫る広さを実現している。
リアシートを倒したときのラゲッジフロアもフラットで、テールゲートの開口部形状も良いので、使い勝手はかなり良さそうである。
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