新型スカイラインは“技術の日産”の傑作|日産 新型スカイライン 発表会レポート

  • 筆者: 内田 俊一
  • カメラマン:内田 俊一・日産

日産 待望の新型スカイラインを発表

日産から新型スカイラインが発表された。プロパイロット2.0を搭載するなど話題に事欠かないこのクルマ。その発表会会場からレポートしよう。

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スカイラインは憧れ、そして日産の歴史を象徴するモデル

発表会冒頭、日産執行役員副社長の星野 朝子さんは、「新型スカイラインは日本の車社会を作り、切り開いてきた日産の歴史を象徴するモデルです。そして幾度のモデルチェンジを重ねても常に日本のお客様の憧れのクルマとして存在し続けてきました。これまでに国内では300万台以上のスカイラインが販売され、現時点でも20万台以上が日本の道路を走っています。今年で62年目、62歳になるスカイラインは、日産車の中で最も古い歴史を持つモデルとなりました。同じ名称で60年以上もの長い間にわたって存在し続けるというクルマは、自動車の歴史の中でも貴重なモデルといえるでしょう」と紹介。そして、「スカイラインには日産のものづくりに対するプライドが込められています。そして何よりもスカイラインを愛する多くの日本のお客様の熱い想いに支えられてきた証しが、このスカイラインであると考えています」と語る。

星野さんが自分のお金で初めて買ったクルマ

そして、話は星野さんの想い出に移る。「学生時代に免許を取って、その時に家にあったクルマがスカイラインでした。そして社会人になって自分のお金で初めて買ったクルマもR32のGTS-Tというターボのクルマでした。私にとってもスカイラインは憧れのクルマであり、自分の人生と共に存在し続けてくれた愛おしい存在なのです」とその想いをつづる。

新型スカイラインにはプロパイロット2.0が搭載された。これは一定条件のもとで高速道路でのハンズオフ、そして自動での車線変更を支援する、「日産でしかできない技術です。そして日産の持つあらゆる安全技術を詰め込んだ新型スカイラインは必ず多くのお客様に、“さすがは日産”、“やっぱり日産だね”と思ってもらえるでしょう」とコメント。

また、スカイラインのDNAである走りも「さらに磨きをかけており、期待を超える速いスカイラインが完成しました。新型スカイラインは日産インテリジェントモビリティのアイコンのひとつとしてお客様に届けます。そこでエンブレムは日産のバッチに生まれ変わり、テールランプも丸目四灯が復活しました。これが我々、日産の答えです」と述べた。

日産に“戻った”スカイライン

プロパイロット2.0や、3リッターV6ツインターボエンジンなどの最新技術の詳細は別項に譲り、もう少しデザイン面について触れてみたい。チーフビークルエンジニアの徳岡茂利さんによると、「新型スカイラインには今後の日産インテリジェントモビリティの核となる先進運転支援技術、プロパイロット2.0と進化した日産コネクトを搭載し、改めて日産のスカイラインであることを宣言するクルマとしてデザインに我々の意思を表現しました」という。

具体的にはフロントデザインでは、日産ブランドを象徴するデザインを表現として、Vモーションを中心としたラジエーターグリルとフロントバンパーを採用。合わせてエンブレムは日産バッチとなった。フードから流れるダイナミックなVシェイプモーションがスカイラインのスポーティーさをさらに強調している。

リアにもブランドバッジが採用されるとともに、リアコンビランプは代々スカイラインのアイコンとなる丸目4灯を採用。「最新のテクノロジーでよりモダンなデザインとしました」と述べる。

Vモーションを中心としたグリルは日本仕様のみ

日本マーケティング本部チーフマーケティングマネージャーオフィスマーケティングマネージャーの高裕行さんに聞いてみると、「日産インテリジェントモビリティは上流から下流まで一貫して意識しながら進めているものです。それを象徴するクルマ、アイコンと位置づける中での変更です」とコメント。別の関係者によるとこのフロント周りは日本のみの仕様だという。つまり、改めてスカイラインは今の日産を代表するクルマというポジションに返り咲いたといっていいだろう。

なお、高さんによると生産終了までの平均で月販200台が目標とされ、年間2,000台レベルだった先代よりもプラスを見込んでいるとのこと。

また、2リッターターボがラインナップから落とされたことに対しては、「“入口”の値段はほとんど上がっていません。V型6気筒ツインターボエンジン搭載車のパフォーマンスは大幅に向上しているにも関わらず、価格設定は出来る限り上げないということを目指し、積極的な価格設定を意識しました。仕様の変更もあるので一概にはいえませんが、10から15万円程度の上り幅です」という。

すごいすごい、日産の技術の歴史はフェンシングにも通じるものがある

今回の発表会では先日日産エキサイトメントアンバサダーに就任したフェンシングの太田雄貴選手も登壇。プロパイロット2.0を搭載したスカイラインを試乗した時の印象を、「すごい、言葉を失うくらい感動しました」とコメント。体感中はすごいすごいを連発しながらも、「前を走っているクルマの運転が下手に見えるくらい、ふらふらして見えます。ステアリングを微調整しながら寸分の狂いもない感じで走ってくれるのです」とその印象を嬉しそうに語る。また、車線変更時も「ハンドルに手を添えると、勝手にハンドルが・・・・、すごい。手を添えるだけで追い抜いていきます」と驚きの表情だった。

プロパイロット2.0は“線路”を走っているかのようなイメージ

これらは映像で公開されたのだが、太田選手は、「映像を見て改めて大げさだな、うるさい奴だなと思うかもしれませんが本当にすごい。まるで道路の上に線路があるようにこんなにも正確にビシッと走っていくのかというくらいです。どうしても自分で運転するとふらふらしてしまうがそれが全くといっていいほどないので、驚きと感動でいっぱいでした」と高揚した様子で語る。

また、前述の車線変更時が最も驚いたことのようで、「前のクルマが詰まった時に、クルマ側から追い抜くかと提案があるのです。追い抜かないという選択もあり、その場合は前のクルマについていきます。追い抜きを選ぶとハンドルに手を添えるだけで車線変更する。これがドキドキする技術でした」と述べ、それに対し執行役員副社長の中畔邦雄さんは「プロパイロット2.0のコンセプトはクルマと対話しながらドライブができるというものです。クルマの周囲、隣の車線は2車線分、全方向数10m以上を常にカメラやセンサーで常時監視し、その状況を把握していますので、ここは適切な車線変更のタイミングだと判断することができるのです。ただしドライバーに伝えないで勝手に車線変更をすると、ドライバーの心の準備ができません。従ってドライバーに提案をしてOKを出したら車線変更するという仕様にしました」と説明。

ドキドキとワクワクを与えてくれる

このように多くの最新技術に触れた太田選手は、「“技術の日産”とはまさにそう。簡単にできる技術ではなく、何年も何十年も積み上げてきた、日産の技術の取り組みと革新という2つが重なってようやく今回のプロパイロット2.0が実現できたのではないかと思います」と述べる。

そして、「フェンシング競技も第1回オリンピックから採用されている伝統と歴史ある競技です。今、フェンシング協会は過去にやらなかったことをどんどんやろう、さらなるスポーツ界の発展にフェンシングが寄与できるのではないかとトライアンドエラーで様々なチャレンジをしています。今回試乗してみてまさにこの技術は何度も何度も、何年にも渡るトライアンドエラーによって実現できたことなんだなと思い、今のフェンシングの世界に重なり運転しながらグッときてしまいました」という。

また、「改めてクルマを運転してみて思ったのですが、クルマを運転する喜びと、プロパイロット2.0という人間を少し楽にさせてくれる安心感。この2つを同時に体験できるのがこのスカイラインです。僕たちも感動体験を提供しつつもドキドキワクワクも提供できるような競技団体になりたいと思いました」と語った。

継がれていくスカイラインのDNA

最後に星野副社長は「スカイラインは過去のレースで、某スポーツカーの前に一周だけだったが抜いた時がありました。あの日本中の湧き上がるような、日本の技術への高揚感やプライドが、DNAとしてスカイラインには埋め込まれています。それを作る技術者がまたそれを継承して、どんどん新しい技術を生み出していく。それがスカイラインです。このスカイラインを世界で初めて日本でデビューさせた理由も、日産の技術だけではなく高精度地図を準備したメンバーをはじめ、オールジャパンではないにしても、日本中の技術が詰め込まれているクルマに仕上がっていると思うからです。また、このクルマを認可したという点も含めて、日本の技術やそれを評価するという素晴らしさがこのスカイラインに体現されているのです」と締めくくった。

会場には歴代スカイラインも展示され、日産を代表する歴史あるクルマであることを印象付けていた。

[筆者:内田 俊一/撮影:内田 俊一・日産]

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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

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