日産 新型セレナ e-POWERハイウェイスターV試乗|充実の先進安全技術を徹底検証(2/2)

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プロパイロットを試す!

マイナーチェンジで操舵感が改善

乗り心地は、e-POWERについては以前からセレナの2Lエンジン搭載車に比べると快適だったが、マイナーチェンジ後では粗さがさらに抑えられた。このようにマイナーチェンジを受けたセレナe-POWER ハイウェイスターVは、基本的な運転感覚に変化はないものの、上質感を強めた。

運転支援機能のプロパイロットを試すと、操舵の支援が少し改善されていた。プロパイロットは高速道路上で白線を読み取り、パワーステアリングを制御する。以前は直線路でも左右に振られる特性があり、細かく蛇行する傾向にあったが、マイナーチェンジ後は多少の蛇行は残るものの以前に比べると真っ直ぐに走る。

カーブを曲がる時のステアリング制御には以前と同じく限界があり、ステアリングホイールの舵角が40度を超えるようなカーブでは、警報を発してプロパイロットは停止。ドライバーが操舵することになる。

ブレーキ制御は遅れる傾向あり

メーカーの報道発表によると、マイナーチェンジではプロパイロット作動中のブレーキ制御も向上させたというが、追従走行におけるブレーキングは依然として遅れる傾向が見られた。

先行車が少し強めに減速した時など、プロパイロットの減速タイミングが遅れて先行車に接近する。最終的には先行車に合わせて自動停止するが、減速の開始が遅れたために、強めの制動になって後続車から追突されないか不安を感じた。走行速度と車間距離を踏まえ、もう少し先読みをして適切なタイミングで減速を開始すると良い。

マイナーチェンジ総評

大幅な進化はないが、安全装備の充実でお得感

このように新型セレナは、マイナーチェンジで運転感覚や乗り心地を洗練させたものの、大幅な進化とはいえない。プロパイロットにも、今後改善する余地がある。

むしろユーザーにとってメリットとなるのは、価格をあまり高めずに、装備を充実させて安心感と買い得度を向上させたことだ。

例えばe-POWERを含めたハイウェイスターVなどには、アダプティブLEDヘッドライトシステムが標準装着された。

ハイビーム走行中に前方の対向車などを検知すると、左右に12個ずつ配置されたLEDヘッドライトを制御して、ハイビーム状態を維持しながら相手車両の眩惑を抑える。また後側方衝突防止支援システム+後側方車両検知警報なども標準装着された。

まとめ

価格アップを抑え、充実装備でミニバン人気トップを守る!?

マイナーチェンジを受けたハイウェイスターVは、e-POWERモデルを含めて、新たな安全装備を追加装着しながら価格アップを3~6万円に抑えた。総額では20万円を超える装備を加えたから、以前に比べると実質的に15~18万円は割安になっている。

ミニバンのカテゴリーは、人気が高いために競争も激しい。価格を含めてライバル車よりも商品力が高ければ、売れ行きを大きく伸ばせる。逆に商品力で負けると、販売も必ず低迷する。

そのためにミニバンは、マイナーチェンジやフルモデルチェンジを行う度に、価格アップを抑えながら機能や装備を充実させていく。改良を受けた新型セレナの一番の魅力も、買い得感を強めたことだ。この成果が、冒頭で触れた昨年の121%に達する売れ行きといえるだろう。

[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:MOTA編集部]

日産 セレナ 1.2 e-POWER ハイウェイスター V 主要スペック比較表

車種名

セレナ

グレード名

1.2 e-POWER ハイウェイスター V AT

価格(消費税込み)

344万円

全長×全幅×全高

4770mm×1740mm×1865mm

ホイールベース

2860mm

駆動方式

FF

車両重量

1760kg

乗車定員

7名

エンジン種類

直列 3気筒 DOHC

総排気量

1198cc

エンジン最高出力

62kW(84PS)/6000rpm

エンジン最大トルク

103Nm(10.5kg・m)/3200rpm

トランスミッション

その他

使用燃料

レギュラー

燃料消費率(JC08モード燃費)

26.2km/L

タイヤサイズ

195/65R15

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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