日産 新型セレナNISMO最新情報|価格は341万円から!本格チューニングを施したカスタムミニバンを徹底解説

2017年11月21日、セレナのNISMOバージョンが発売開始

日本車の新しいカテゴリのひとつに、市販車をベースとして、メーカーやその関連会社が手掛けたコンプリートチューニングカーがある。市販車にもスポーティ、あるいは豪華指向のグレードが用意されて幅広いニーズに応えるが、大量生産される商品だから個性化を図るにも限度がある。価格の割安感も重視せねばならない。このグレードの垣根を超えるのが、メーカー系コンプリートチューニングカーと考えれば良い。

また最近はクルマの売れ行きが全般的に低調で、軽自動車が新車として売られるクルマの35%以上を占めるなど低価格化も進んだ。この現状を考えると、コンプリートチューニングカーは価格が高めで粗利も多く、メーカーや販売会社にとってメリットが大きい。そこでトヨタが従来のG'sを「GR」に改めてブランドの再構築を開始するなど、ブームと呼べるほどではないが新しい動きが見られる。

この流れの中で、2017年11月21日に発売されたのが日産セレナNISMO。文字通りセレナをベースにしたコンプリートチューニングカーだ。

「セレナのNISMO」と聞いて、違和感を抱く方は多いと思う。セレナは背の高い3列シートのミニバンで、重心は高く、ボディも重い。

そもそも“NISMO”は「ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社」の略称で、日産やそのユーザーのモータースポーツ活用をサポートする企業だ。

ベースになる車種もスポーツカーのGT-RやフェアレディZが相応しく、ミニバンのセレナはミスマッチだろう。それなのに日産はセレナNISMOを手掛け、トヨタのGRスポーツにもヴォクシー&ノアを用意した。

コンプリートチューニングカーがミニバンを積極的に手掛ける理由は2つある。

まずは販売規模だ。トヨタ ヴェルファイア&アルファードの高人気からも分かるように、ミニバンは売れ行きが好調で、しかもクルマにお金をたくさん使うユーザーが多い。販売台数が多ければ、比率の小さなコンプリートチューニングカーでも相応の台数が売れる。

逆にGT-RやフェアレディZは、カタロググレードの販売規模がセレナの1%程度だから、力を入れにくい。それでもGTーR NISMOはファンの間では人気が高い。

2つ目は高重心でボディの重いミニバンは、コンプリートチューニングによって走行性能を効果的に向上できることだ。ボディが重く高重心だからもともと走りが不得意で、ライバル車同士の競争も激しいから価格も安く抑えねばならない。ますます走りの水準が下がってしまうが、そこをコンプリートチューニングで補うわけだ。

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日産 セレナNISMOとは

セレナNISMOは、2017年10月28日から11月5日まで一般公開された東京モーターショー2017にも参考出品されたので、ご存じの方も多いだろう。

セレナの特徴とされる家族全員で長距離ドライブを楽しめる快適な乗り心地、使い勝手の良い室内空間などを生かしながら、「迫力のスタイリング」「爽快なドライビング」を盛り込んだ。

セレナNISMOを開発したのは、ライダーシリーズなど、日産の特装車を幅広く手掛けるオーテックジャパンだ。そこにNISMOの名前が付くから分かりにくい。

セレナNISMOには専用のエアロパーツで一味違う外装デザインに!

セレナNISMOの外観は、前後左右のすべてに専用装備が装着される。フロントグリル、前後のバンパー、サイドシルプロテクター、リアスポイラー、17インチサイズのアルミホイールなどはすべて専用のデザインとした。

下まわりにはNISMOのアイコニックカラーとなるレッドのアクセントがあしらわれ、スポーティな雰囲気が演出されている。

ボディカラーは7色が用意され、その内の4色はNISMO専用のカラーだ。また4色はピラー(柱)とルーフをブラックにした2トーンカラーになる。

セレナNISMOのメーカーオプションにはまさかのレカロ製スポーツシートを採用

内装にも注目したい。インパネにはNISMOのロゴとレッドの装飾が入った専用コンビメーターが備わる。助手席前側やエアコン吹き出し口、専用シフトノブ、アルカンターラを使った専用ステアリングホイールにもレッドの装飾が備わりスポーティな雰囲気を感じさせる。

シートの生地も専用のスエード調で、レッドのステッチも入る。さらにメーカーオプションでは、専用のチューニングを受けたRECARO(レカロ)製フロントスポーツシートも装着可能だ。RECARO製フロントスポーツシートはサイドサポートが大きめに張り出し、背中は肩まわりまで確実に支える。そのために座り心地は標準装着されるシートとは大幅に異なる。

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目次[開く][閉じる]
  1. 2017年11月21日、セレナのNISMOバージョンが発売開始
  2. 日産 セレナNISMOとは
  3. セレナNISMOには専用のエアロパーツで一味違う外装デザインに!
  4. セレナNISMOのメーカーオプションにはまさかのレカロ製スポーツシートを採用
  5. ワークスチューンだからできる走行性能のテコ入れ
  6. セレナNISMOはベースグレードに比べたらかなりお得な価格設定
  7. メーカー系コンプリートチューニングカーの台頭は、当然の成り行きか・・
  8. 日産 セレナ関連記事
  9. 日産 新型セレナNISMOの主要スペック

ワークスチューンだからできる走行性能のテコ入れ

走行性能に関係する機能では、専用のボディ補強に注目したい。フロントクロスバー(ボディ底面に左右方向に装着される補強)、センタークロスバー、リアクロスバー、フロントサスペンションメンバーステー(フロントサスペンションの補強材)、センターサブメンバー、リアサブメンバーなど、各部を入念に補強した。

ボディの土台に相当する部分をしっかり造り込んで捩れや振動を抑え、サスペンションを正確に作動させる。これにより走行安定性と乗り心地を最適にチューニングした。

ボディ補強に合わせて、サスペンションのスプリングとショックアブソーバーも変更され、リア側には強化スタビライザーを装着した。走行安定性を確保する上で重要な後輪の接地性を高めている。

タイヤは17インチ(205/50R17)で、セレナハイウェイスターやライダーの15/16インチとは異なる専用サイズだ。銘柄はブリヂストン・ポテンザ・アドレナリンRE003になる。

このほか足まわりの変更に伴って電動パワーステアリング、VDC(横滑り防止装置)のセッティングも変更を受けた。加速フィーリングを向上させるため、エンジンでは専用チューニングコンピューター、専用スポーツチューンドマフラーも装着している。

燃費は未公表だが16.6km/L を少し下回る程度か

燃費数値は持込登録車とあって公表されていないが、アイドリングストップなどは装着されるから、JC08モード燃費はベースグレードの16.6km/Lを少し下まわる程度だろう。

セレナNISMOはベースグレードに比べたらかなりお得な価格設定

安全装備はプロパイロットが標準装備

このほか単眼カメラをセンサーに使い、歩行者や車両に対して緊急自動ブレーキを作動できるインテリジェントエマージェンシーブレーキ、車間距離を自動制御しながら先行車に追従して走ったり、車線の中央を走りやすいようにパワーステアリングの操舵を支援するプロパイロット、サイド&カーテンエアバッグなどが装着される。LEDヘッドランプ、スライドドアの下側で足を出し入れすると自動的に開閉するハンズフリーオートスライドドア(両側)なども備わる。

装備の充実度を考えるとセレナNISMOはかなりお得なミニバンだ!

これらの装備を盛り込んだセレナNISMOの価格は341万9280円だ。セレナハイウェイスターG(301万1040円)に比べて約41万円高いが、セレナNISMOにはプロパイロットやサイド&カーテンエアバッグが標準装着されるから、これを除いたコンプリートチューニングに伴う価格上昇は実質25万円前後になる。

セレナNISMOをグレードの一種と考えても、シート表皮の上級化など内装のグレードアップが7万円、外観の変更が6万円くらいに換算されるから、ボディやエンジンのチューニングに費やされたコストは12万円くらいだ。

このように考えるとセレナNISMOは、内外装、運転感覚、乗り心地などが好みに合うユーザーにとっては、買い得な仕様といえるだろう。

Lサイズミニバンか、Mサイズミニバン+充実の装備か、選ぶのはあなた次第

セレナNISMO(341万9280円)と同じ価格帯には、日産 エルグランド250ハイウェイスターS(339万5520円/7&8人乗り)、トヨタ ヴェルファイアZ(357万8727円/7人乗り)、トヨタ エスティマアエラスプレミアム(340万1018円/7人乗り)など、Lサイズミニバンのエアロパーツを備えた人気のグレードが集まる。

つまりLサイズのエアログレードにするか、それとも快適装備を充実させて走りのスペシャルティ感覚を強めたミドルサイズのセレナNISMOか、という選択が成り立つ。

このような選び分けを可能にすることも考えて、セレナNISMOは前述のようにコンプリートチューニングカーとしては価格を割安に抑えたのだろう。

メーカー系コンプリートチューニングカーの台頭は、当然の成り行きか・・

それにしても以前は市販車に手を加えるのは、メーカーとは関係を持たないチューニングメーカーやショップとされたが、今はコンプリートカーが増えつつある。特に最近はコンプライアンス(法令遵守)が厳しく、販売会社のサービス工場にも抜き打ちで国土交通省の担当者が訪れ、入庫車両をチェックされるようになった。車検に対応できない車両が入庫していると、指定工場の資格を取り消されることにもなりかねない。直近ではメーカーの完成検査問題も生じたから、従来以上にコンプライアンスのチェックが厳しくなりそうだ。

中高年齢層の古いクルマ好きとしては、チューニングはアフターパーツメーカーやショップの個性として残しておきたい気もするが、そうもいかない現実がある。今の業界の状態を考えると、法規に適合したメーカー系コンプリートチューニングカーの台頭は、当然の成り行きに思えてくる。

[レポート:渡辺陽一郎:和田清志]

日産 新型セレナNISMOの主要スペック

日産 新型セレナNISMOの主要スペック
車種名 日産 セレナNISMO

ベース車

ハイウェイスター

パワートレイン

ハイブリッド

価格(税込)

3,419,280円

JC08モード燃費

--

全長

4,805mm

全幅(車幅)

1,740mm

全高(車高)

1,850mm

ホイールベース

2,860mm

乗車定員

8人

車両重量(車重)

1,720kg

エンジン

水冷直列4気筒DOHC

排気量

1,997cc

エンジン最高出力

110kW(150PS)/6,000rpm

エンジン最大トルク

200Nm(20.4kgf-m)/4,400rpm

モーター最高出力

1.9kW(2.6PS)

モーター最大トルク

48Nm(4.9kgf-m)

燃料

無鉛レギュラーガソリン

日産/セレナ
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新車価格:
276.9万円479.8万円
中古価格:
19.8万円517.7万円

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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