日産セレナにも”NISMO”(ニスモ)登場! ワークスマシン直系のスポーツミニバンが現われた[速攻試乗](1/2)

レーシングテクノロジーをミニバンにフィードバック

NISMO(ニスモ)は日産のサブブランドとして2013年より展開をスタートしたロードカーブランドだ。「NISMOの魅力をより多くの人に」、「日産車に更なるワクワクを」、「レーシングテクノロジーを量産へのフィードバック」をコンセプトに、車両全体をトータルコーディネイトしている。

現在、GT-R NISMOを筆頭に日産の主要なモデルにラインナップされているが、多くのユーザーから「セレナにはいつ設定されるの?」と言うリクエストが多かったそうだ。

2015年4月にNISMOは「ロードカー事業の拡大」を発表。企画・開発・マーケティング・アフターセールスに関わる機能「NISMOロードカー事業部」をオーテック・ジャパン内に設立した。

日産、オーテック、ニスモ、その他の日産関連会社の人材が集結した精鋭部隊となり、これまで以上に意思決定や開発をスピーディに行なう事が可能になっている。

車種バリエーションも7モデルから2倍以上に拡大、販売台数も1万5千台から2020年前半までに10万台近くまで引き上げる計画だ。

そんなNISMOから2017年11月21日、NISMOロードカー拡販の一端を担うセレナNISMOが発表された。

>>セレナ ニスモの詳しい画像を見る!【画像113枚】

内外装にNISMOパーツを奢りどこから見てもスポーティ

日産セレナNISMOは他のNISMOロードカーと同じように「エアロダイナミクス」、「パワートレイン」、「フットワーク」の3点を中心に手が加えられている。

エクステリアは他のNISMO共通イメージとなる専用バンパーやエアロパーツをプラス。これらはドレスアップだけでなく走行安定性にも寄与する機能部品で、控えめな形状ながらもスーパーGT譲りの空力操安の考えが盛り込まれており、実際にノーマル比でリフト4割低減や前後バランスの適正化により高速走行安定性がアップしている。

インテリアは専用のステアリング/シフトノブやコンビメーター、スエード調&ピアノブラック加飾などにより、スポーティイメージのみならず質感も引き上げるようなコーディネイトが施されている。

注目なのはオプション設定されるレカロシートだ。NISMOロードカーからの流用ではなく、何と乗降性も考慮したセレナNISMO専用チューニング品。恐らく、筆者の記憶ではミニバン+レカロシートの設定は3代目オデッセイ・アブソルート以来となる。

セレナNISMOは、”これがノーマルであってほしい”と思うほど良い仕上がり!

フットワーク系はシャープでリニアなハンドリングと高速安定性、そして質の高い乗り心地を実現するために、変更箇所は多岐に渡る。

まず、フロント/センター/リアにブレースやメンバーなどによる専用ボディ補強をプラスしてシッカリした土台を構築。ここに専用セットアップが施されたサスペンション、205/50R17サイズの専用タイヤ(ポテンザRE003アドレナリン)+専用アルミホイールをプラス。もちろんEPS/VDCと言った制御系も専用セットアップと抜かりはない。

またパワートレイン、エンジン本体に手は入っていないが、専用のチューニングコンピュータ(ECM)とスポーツチューンドマフラーの組み合わせにより、リニアなレスポンスと心地よい加速Gの持続など、ドライバビリティが改善されている。

NISMOチューンと言う響きから、かなりスポーティな仕上がりと思うかもしれないが、それはいい意味で裏切られる。語弊を恐れずに言えば、「これがノーマルであってほしい」と言うくらいの仕上がりなのだ。

ノーマルのパワートレインはスロットルに対する特性が穏やか…、いや鈍くて「本当に2Lあるのか?」と思っていたのに対し、セレナNISMOは踏んだ分だけシッカリと反応するようになっており、結果として力強さはもちろん乗りやさも向上している。

もちろん、スペックの変更はないので全開加速は変わらないが、常用域付近のトルクはノーマルより+100~200ccのくらいの余裕が出た感じだ。マフラーサウンドも常用域は穏やかで、回すと元気になる特性になっているのは嬉しいポイント。

ノーマルのセレナから安心感が大幅アップしたセレナNISMO

フットワーク系も同様の印象で、日常域の快適性は優れるが全てにおいて頼りなさがあるノーマルに対して、まるで緩んでいたネジを増し締めしたかのようなシャッキリ感だ。

カチッとしたボディ、操舵に対する応答性や前後バランスも確実によくなっているのでクルマ酔いも少ないはず。ノーマルと比較すれば硬めだが、吸収性の高いサスペンションと無駄な動きが抑えられたことで、2列目以降の快適性はもちろんドライバーに対する安心感も全然違う。

バランスを崩さずにレベルアップを行なう、単なるポン付けのチューニングとはワケが違うのだ。恐らくノーマルと乗り比べると「パパの運転が下手なのではなくクルマがダメだったんだ」と思うだろう(笑)。

ちなみに今回はブレーキの変更はない。絶対的なストッピングパワーに不満はないが、走る/曲がるが繊細になっているので、もう少しカチッとしたフィールとコントロール性を高めたくなった。いいクルマには欲がでる。

車体性能の向上はプロパイロットの制御性アップにも貢献した

ちなみにセレナでは装着率の非常に高いプロパイロットの制御も変更ないが、パワートレインとシャシーのアップデートの相乗効果で、追従性能もレーンキープ性能も結果的によくなっていた。そう、プロパイロットがダメだったのではなく、制御に対するアウトプットに問題があったと言うことだ(笑)。

自動運転になるとクルマ性能なんて……と言う人もいるが、実はクルマの本質がより重要になってくる。人は応答遅れを踏まえた予測運転ができるが、機械はそれができないからだ。つまり、誰もが不安を感じさせない、クルマを信用できる自動運転の実現には、ハード側のレベルアップがマストなのだ。

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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