軽自動車の安全性能はここまで進化!各社の衝突被害軽減ブレーキを解説【I LOVE 軽カー】(2/3)

衝突被害軽減ブレーキで注目すべきは「対象物」「対象となる環境」「作動速度」の3つ

ではどこを見ればいいかと言えば、ポイントはズバリ3つ。「対象物」と「対象となる環境」、そして「作動速度」だ。

極端な話、かつて軽自動車は「車両」しか検知できず上限速度が約30km/hまでが主流だった。これでは「ないよりはずっといい」けれど性能としてはあまり高くない。それに比べると今のシステムはどの軽自動車でも進化している。

とはいえ、性能が高まったと言えどもやはり性能差があるので新車購入時には能力をしっかり理解しておくのがマスト。できることとできる能力は意外に違うのだ。

まずは「対象物」。これは『車両』だけなのか、それとも『歩行者』や『自転車』まで検知できるのかという差がある。

「対象となる環境」は、基本的に車両であれば夜間も検知できるが、差がつくのは歩行者や自転車。それらに対して『昼間だけ』なのか、それとも『夜でも検知できるのか』という違いがある。

そして「作動速度」は、対象物(対車両と歩行者や自転車とでは異なることが多い)に対して自車速度がどのくらい速くても対応できるかというもの。対応速度の高さを競う必要はないが、とはいえ低いと作動範囲が狭まるので万が一の状況で差がつく。細かく言えば、対象物の速度差がどのくらいまで対応しているかもチェックしたい。

メーカー別最新軽自動車の性能差は?

最新システムで比較すると、スズキはハスラーに搭載する「デュアルカメラブレーキサポート」において、車両と歩行者を検知し夜間も対応。ブレーキの作動速度は約5~100km/hで、対車両が約50km/h(対歩行者は約30km/h)未満であれば衝突を回避できることもある。

ホンダがN-WGNに搭載する「ホンダセンシング」の衝突軽減ブレーキ機能は、夜間でも車両と歩行者、自転車に対応。横断中の自転車まで検知するのがポイントだ。衝突を回避できる可能性がある速度は公表されていないが、システムの作動速度は約5~100km/hとなっている。

ダイハツ「スマートアシスト」の最新版を搭載するのはタント。対象は車両と歩行者で、夜間の歩行者には対応していない。システム自体の作動速度は表記されていないが、被害軽減ブレーキアシスト機能は速度差が約30~80km/h(対歩行者は速度差約30~50km/h)だという。

日産「エマージェンシーブレーキ」の最新システムはルークスに搭載しているものだが、これは三菱 eKスペース/eKクロススペースに搭載している「e-Assist」も同じ仕掛け。夜間の歩行者にも対応し、システムの作動速度は約10~80km/h(それ以下の低速時は低速衝突軽減ブレーキ機能が作動)。歩行者に対しては上限約60km/hとなっている。

スズキ ハスラーホンダ N-WGNダイハツ タント日産 ルークス
三菱 eKスペース/eKクロススペース

ブレーキ作動速度

約5~100km/h

約5~100km/h

約4~100km/h

約10~80km/h

└対車両

約50km/h


※対応速度は未公表

約4~80km/h

約10~80km/h

└対歩行者

約30km/h


※対応速度は未公表

約4~50km/h

上限約60km/h

└夜間での作動

×

第三者機関が統一した基準でテストをしている

ただ、衝突被害軽減ブレーキの性能はメーカーが公表する数値だけを見てもわかりにくい。そこで、自動車事故対策機構という独立行政法人が第三者機関として統一した基準でおこなっている「JNCAP」と呼ぶテストを参考にするものいいだろう。試験結果がウェブサイトで公表されている。

ちなみに上記の説明は全て前進のものだが、バック時に接触を防ぐ、後ろ方向の衝突被害軽減ブレーキを装着している車両もある。スズキ ハスラー、日産 ルークス、三菱eKスペース/eKクロススペースなどだ。車庫入れなどでの不注意の接触を防いでくれる安心機能だから、メリットは大きい。

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工藤 貴宏
筆者工藤 貴宏

クルマ好きが高じて在学中から自動車メディア業界に足を踏み入れ、気が付けば四半世紀。自動車雑誌編集者から編集プロダクション勤務を経てフリーランスの自動車ライターとして独立。自動車関連の雑誌やウェブで活躍している。モットーは「そのクルマは誰を幸せにするのか」。使い勝手などユーザー目線の記事を得意とする。永遠のスポーツカー好きで愛車はフランス製のホットハッチとディーゼルエンジンを積んだSUV。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。記事一覧を見る

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