プロが教える車中泊を閉館後の日産ショールームで実践!(1/2)
- 筆者: 中込 健太郎
- カメラマン:中込 健太郎
日産が一般ユーザーも交えた車中泊体験イベントを開催
最近クルマに関するムーブメントで流行っており、注目を集めていることと言えば「車中泊」ではないだろうか。
宿泊費を節約でき、自由な旅程を組んで、クルマをもっと有効にフル活用することもできる。事実、クルマ旅を最大限に楽しむスタイルとして車中泊を選んでいる人は多い。
しかしそのきっかけには、忘れることができない、東日本大震災などの災害経験も少なからずある。いざという時に案外使えるクルマという空間、そんな気付きこそ、車中泊が注目されるきっかけであるという事実は否定できない。
一言で車中泊といっても、レジャーとして楽しむ車中泊と、万が一の時に生き延びる術としての車中泊では求められる要素が全く異なる。
いつ訪れるかわからない災害時に、すぐに使える知識と技を学び、実践してみる。そんな企画が横浜にある日産グローバル本社ギャラリーで開催された。今回は一般ユーザーに混じって実際に車中泊もできたので、その様子をお伝えする。
まずはリーフの電気でお湯を沸かして腹ごしらえ
日産自動車といえば、今や電気自動車のリーディングカンパニーというイメージを強く発信している。世界で最も多い販売実績を記録しているリーフはじめ、e-Power搭載車種の拡充やフォーミュラEへの参戦により、そのイメージは盤石なものとなった。
環境面でのメリットはもちろん、災害時における電源供給拠点としてのアドバンテージがあるということも、こうした企画のベースにあるのだろう。
特に今回は目玉として、バッテリー容量を62kWhにアップした最新のリーフe+(イープラス)の紹介がされた。このリーフe+(もちろん通常仕様のリーフでも)があれば、災害時でも一定期間バッテリーに貯めた電気を使用できるので安心感が高い。実際に会場では、リーフe+の電気を使ってレトルトカレーを調理する実演が行われた。
EVとしてのリーフを試乗する機会は最近比較的多いかもしれないが、リーフの電気を走行以外の用途に使ったり、まして“車内で泊まる”というのは、なかなかに貴重な体験だ。
会場では一般来場者もいる時間帯から設営を開始。上記のような実演や登壇者による解説を挟みつつ、閉館後には実際に宿泊という流れになった。このような企画はこれまで同社では前例がなく、参加者はもとより主催者にとってもエキサイティングなものとなった。
災害発生時は“72時間しのげるか”が鍵
今回は災害時に具体的に何が起きるのか、それぞれの事象にどう対処すればいいかを2名の専門家が解説してくれた。登壇したのは、自身もキャンピングカーを所有し普段から車中泊を実践しているクルマ旅専門家の稲垣 朝則氏(写真左)、そして災害リスクアドバイザーの松島 康生氏(写真右)だ。
そう、今回のレクチャーの主軸はレジャーとしての車中泊ではなく、災害避難としての車中泊でどんなことが必要かという点なのだ。
彼らによれば災害時の車中泊で大切なことはまず72時間をどうしのぐかなのだという。なぜかと言うと、ライフラインの復旧や避難所・仮設住宅の入居開始など、72時間経つと、生活に必要なものが次第に復旧し始める。しかし、災害発生から72時間は、最低限自分で生き抜かなければいけない。狭い車内ではエコノミークラス症候群になってしまうリスクもあるし、周囲が窓になっているので、プライバシーの確保も課題だ。
何より、誰もが自身の心配をする必要のある災害時であればこそ、すべてのことを自分でしなければならない。それだけに少しでも工夫して、しっかりと身体を休められる快適な空間も作り出さなければならない。これは先述の稲垣氏の談だ。
避難しないほうがいい場合ももちろんある
そもそも被災したからといって、闇雲に逃げればよいというものではもちろんない。
例えば日頃から震災対策が万全で、住宅の倒壊などのリスクがない人は、わざわざ準備に時間を割いてまで避難をするのは無駄なことになりうると松島氏は話す。避難が必要なのは万が一への備えがない場合や、古い住宅など倒壊のリスクが有る場合だ。その場合はいかに必要な最小限のものをコンパクトに持ち出せるかが大切だという。
また非常用の物品の備えがあっても、使い方を知らなければ意味がない。
たとえば持ち出しバッグなどに必ずと言ってよいほど入っている三角巾は、使用方法をしっかりと把握している人は実際には少ないと指摘する。それよりも、専用ではないとはいえ“代用できるもの”(三角巾の場合は布など)を知ることのほうが大事だ。
いよいよ車中泊の設営がスタート!
クルマで就寝ないしは避難生活をするのは、実際には口で言うほど簡単ではない。
狭いのはもちろん、何より普段は移動手段として使っているものを夜の居住空間として利用するわけで、クルマとしての機能を殺してしまうようなことがあってはならないからだ。
すぐに原状復帰ができるような形で、しかも、ここにとどまる間はできる限り快適な就寝スペースを展開するのが重要なのだ。
100円ショップのグッズだけで快適さが大幅アップ
そのための準備には、実は100円ショップなどで手に入るものが有効活用できる場合も少なくない。たとえばレジャーシートは、窓の目隠しに使用することができる。防犯上、そしてプライバシーを守るため、車内が丸見えになるのを防ぐ際に有効だ。
クルマのフロントガラスに固定するには、隅を折り曲げて、サンバイザーに布団用洗濯ばさみで押さえる。またサイドは、ウェザーストリップやボディ側の窓枠の樹脂部分にダブルクリップの一番小さいものを挟み込んで、そこでレジャーシートを挟み込む。すると、簡単な作業ながら、しっかりと外からの視線を遮ることができるのだ。
また、積み重ねられるカゴとすのこを用いることで、深くえぐられたトランク部分を埋め、リアシートを倒した背もたれの部分とつなげてフラットな面を作れることも紹介された。
完全にフラットというわけではないが、これほどのスペースが有れば十分に身体を休めることができる。
コンパクトな車種ほど特に、荷室容量確保のために荷室フロアが低くなっていることが多いので、是非覚えておきたい方法だ。
フルフラットとは言うものの、意外に凹凸が気になるクルマのシート
リクライニングできる乗用車のシートは、背もたれとシート座面が連続になり「フルフラット」と言われることが多い。しかし実際に寝てみればわかるが、実はかなり凹凸があるのだ。
いわゆるフルフラットなスペースは、居住スペースとしての快適性を担保できるということとは別の話だということを気づかされる。
ドライブ途中の昼寝程度であれば問題はないが、今回想定しているシチュエーションにおいては、その凹凸をいかにフラットにできるかが重要である。緊急時だからこそ、そして普段より安眠できない可能性がある時だからこそ、寝られる時に寝て、しっかりと体を休ませる。そのためのスペースを作ることの大切さ、そしてやり方を学ぶことができた。
ちなみに今回紹介されたグッズの中で便利だったのが、バルブを開くと勝手に空気が入るエアマットレス。
車内でのフルフラットな寝床を手軽に実現できるので、車内に常備しておくのがおすすめだ。シートを倒した上でこのマットを敷き、空いた隙間にタオルなどを詰めておけば、凹凸ができたりガタついたりする心配もない。
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