トヨタ 86 実燃費レポート|エコカー並みの低燃費で「水平対向エンジンは燃費が悪い」は単なるウワサだった!?(1/5)
- 筆者: 小鮒 康一
- カメラマン:小林岳夫
トヨタ 86 実燃費レポート結果まとめ
起用グレード
今回の燃費テストに持ち出したのは、今や絶滅危惧種となりつつある2リッタークラスで、フロントエンジン、リアドライブの2ドアクーペというレイアウトを持つトヨタ86だ。言うまでもなく、往年の名車であるAE86型カローラレビン/スプリンタートレノから名前を受け継いだ同車は、2012年のデビューから6年が経過した現在でも多くのファンを持ち、続々と新たなアフターパーツが開発されているだけでなく、ワンメイクレースも年々盛り上がりを見せている人気車種だ。
そんな86はトヨタとスバルが共同で開発を進めた車種であり、スバルからは兄弟車としてBRZがリリースされている。その心臓部に配されたのは、スバルのアイデンティティでもある水平対向エンジンにトヨタの直噴技術D-4Sを組み合わせた4気筒の2リッターエンジン。カタログ値で200PSを発生(MT車は207PS)するそのエンジンは、NAらしく7000rpmオーバーまでストレスなく回るエンジンに仕上がっている。
>>トヨタ 86 GT"Limited"の内外装デザインを画像で見る(69枚)
燃費テスト概要
今回のテストに使用した86は、2016年8月にマイナーチェンジを受けた”KOUKI(後期)”モデルだ。
スポーツカーらしいピュアレッドのボディカラーと、トラディショナルな雰囲気すら漂うタン&ブラックの内装を持った「GT“Limited”」グレードのAT車。せっかくのスポーツカーだからMT車が個人的にはよかったのだが、MT車は乗り方によって大きく燃費が変わってしまう可能性が高いため、AT車となった。
今回の車両には、ナビやETCなど以外の走行性能に関わるメーカーオプションとしてSACHS(ザックス)社製のショックアブソーバー(税込54,000円)が装着されていた。
なお、今回の燃費測定は2018年7月25日に行い、天候は海ほたる周辺でゲリラ豪雨に見舞われた以外は晴れという条件で、車両の温度計は37℃を指すほどの酷暑だった。朝10時ごろに青山にあるオートックワン編集部を出発し、高速、郊外路、市街地・街乗りの順で走行し、16時ごろに再びオートックワン編集部へ戻るルートを選択した。
燃費の数値は総合燃費以外車両の燃費計を使用している。エアコンは24度設定のフルオートで、AT車に備わる走行制御モードスイッチは全てノーマルとし、全行程でパドルシフトを使ったマニュアルモードは使用しないでDレンジでの走行とした。
乗車人数はドライバー1名(体重80kg)で行った。
トヨタ 86の実燃費は14.4km/L
トヨタ 86 実燃費レポート結果まとめ | |
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車種名 | トヨタ 86 GT"Limited" 6AT |
パワートレイン | 2リッター水平対向4気筒直噴DOHCエンジン |
駆動方式 | FR(後輪駆動方式) |
JC08モード燃費 | 12.4km/L |
実燃費:平均 | 14.4Km/L |
実燃費:市街地 | 10.4Km/L |
実燃費:郊外路 | 15.1Km/L |
実燃費:高速道路 | 19.2Km/L |
結論から言うと、トータルで159.5kmを走行し、各セクションの燃費を合計してはじき出された数値は、カタログ燃費の12.4km/L(JC08モード)を大きく超える14.4km/Lとなった。
高速道路や郊外路で燃費が稼げることは想定内だったが、特に高速道路での燃費の良さには目を見張るものがあった。詳細はこのあとの項目で記載するが、MT車よりも、よりハイギヤードなギヤ比が功を奏したと言えるだろう。
最近のクルマでは標準装備となることが多いアイドリングストップは86には備わっていないが、運転状況に合わせて燃焼室に直接燃料を噴射する筒内直接噴射と、吸気ポートに噴射するポート噴射を適切に制御する専用のツインインジェクターを備えた「D-4S」が低燃費に貢献したのかもしれない。
ともかく、一部で噂されていた「水平対向エンジンは燃費が悪い」というのは都市伝説であったと言えそうだ。
それではここからは走行シーンごとの燃費や走りっぷりなどをお伝えしていこう。
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