トヨタ 新型プリウスの“実燃費”を先代プリウス・アクアと比較してみた(5/6)
- 筆者: 永田 恵一
トヨタ 新型プリウス 燃費レポート/市街地編
市街地編では、ハイブリッドシステムの動きなど細かい点をお伝えしたい。
まず、ハイブリッドシステムの動きについての基本的な動きは今までのトヨタのハイブリッドカーと同じで、以下のように動作する。
(1)バッテリー残量が多ければ、EV走行で発進
(2)そのあとエンジンが掛かり、バッテリー残量や負荷などに応じて最適にエンジンとモーターがマネージメントし、バッテリー残量が多ければ80km/h程度でもEV走行を行って燃費を稼ぐ
(3)減速時は回生制動でバッテリーに電力を貯める
しかし、新型プリウスではエンジンとモーターのマネージメントの進歩により、発進時のEV走行距離が3代目プリウスに対して明らかに伸びている(スピードでいうと20km/hを少し超えるくらいまで)。
また、EV走行で発進した後にエンジンが掛かった際の音や振動が、モーターとエンジンの動きを表示するエネルギーモニターを見ていないと分かりにくいほど、3代目プリウスに対して劇的にスムース&静かになった。
基本的には「エコモード」で走ることをお勧め
その他、新型プリウスにも「ノーマルモード」に加えて「パワーモード」と「エコモード」があり、テスト前日に試してみた。
すると、「パワーモード」はアクセル操作に対するレスポンスが鋭くなる、「エコモード」はアクセル操作に対するレスポンスが適正な範囲でマイルドで鈍くなり、運転もしやすく、空調の効きも弱めとなるという3代目プリウスと同じ変化があった。
アクセルを深く踏んだ際のレスポンスには3つのモードとも変わらないため、基本的にはエコモードで走ることを勧めたい。
なおドライバーが任意にEV走行することを選べる「EVモード」も試したところ、EVモードでのスピードの上限は他のトヨタのハイブリッドカーと同じ「60km/h」で、EVモードは基本的に夜間の出庫や入庫といった音を出したくない時にだけ使用するのがいいだろう。
モニター内のインフォメーションも改良されてより見やすく
メーター内のモニターに表示されるインフォメーション関係も、3代目からの豊富な情報量は燃費向上にも役立っていたのだが、新型プリウスでは燃費の良い運転であるかを表示する「ハイブリッドシステムインジケーター」内に、「エコアクセルガイド」と呼ばれる青いバーが加わり、青いバーまでの範囲でアクセルを踏めば、自ずと良い燃費が出やすくなるという機能も非常に有効に使えるものだった。
また、3代目プリウスまでは同時に表示できなかった「エネルギーモニター」と「ハイブリッドシステムインジケーター」を、新型プリウスでは小さな縦型のバーという形で同時に表示することが可能となり、このことは運転による燃費向上とハイブリッドシステムの動きを同時に楽しみながら確認できるようになったという意味で高く評価したい。
クルーズコントロールは「先行車お知らせ機能」が無いことが弱点
新型プリウスの先行車追従型クルーズコントロールは、前述したように停止と再スタートまで対応することもあって試してみたところ、フィーリングとしては加減速がやや粗いと感じることもあるが、先行車追従型クルーズコントロールに運転を任せても十分信用できるレベルの仕上がりになっており、運転のサポートや疲労低減に非常に有難い装備といえる。
新型プリウスの先行車追従型クルーズコントロールで惜しい点は、トヨタの中では廉価版となるToyota Safety Sense Cにも備わる「先行車発進お知らせ機能」が無いこと。先行車発進お知らせ機能がない理由はまったく浮かばないのだが、不思議なことだ。
そのほか細かな点で気づいた事としては 、
・ボディ剛性の向上などによるものなのかドアの閉まる音が(特にリアドア)3代目プリウスは悪い意味で軽いものだったのが、いい意味の重み、高級感を覚えるものになった
・ボンネットの高さが低くなったこともあり、前方の見切りの悪さが1760mmという全幅にしてはサイズ以上に幅広く感じる面はあるものの、劇的に改善
・3代目プリウスもそういった印象があったが、シートの出来が良くテスト前日から2日間で400km以上走ったが、疲労は少なかった
ということが挙げられる。
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