「ヴェルファイアハイブリッド」と「アルファード」の実燃費を比べたら“期待と異なる”結果に(5/5)
- 筆者: 永田 恵一
「トヨタ ヴェルファイアハイブリッド」燃費レポート/総評
トヨタ ヴェルファイアハイブリッド 総合実燃費/12.1km/L
トヨタ アルファード2.5G 総合実燃費/10.5km/L
よく「車重が重く、空気抵抗が大きいなど“負荷の大きいクルマ”にハイブリッドは向かない(要はミニバンやSUV、大型車といったジャンル)」と言われるだけに、今回はテスト前からいくぶん予想できたとはいえ、絶対的な燃費という面では期待値に届いていないというのが率直な印象だ。
しかし、燃費とは対照的にクルマそのものの完成度としては2.5リッターガソリン以上なのも事実であり、金銭的なことを考えなければ筆者としてはハイブリッドを勧めたいというのも本心である。
そこで、グレードによって大きく違ってくることもあるのだが、アルファード&ヴェルファイアハイブリッドは4WDであることも加味して、2.5リッター4WDとハイブリッド(比較グレードは両方とも「G」)による損得勘定を計算してみよう。
※ガソリン価格はレギュラー135円、燃費は2.5リッター4WDはJC08モード燃費にならい2.5リッターFFのテスト値5%落ちの「10.0km/L」、ハイブリッドは「12.1km/L」で仮定
車両本体価格
・アルファード&ヴェルファイア G(2.5リッター 4WD)/424万5,382円
・アルファード&ヴェルファイアハイブリッド G/477万5,563円
エコカー減税、翌年の自動車税の減額
・アルファード&ヴェルファイア G(2.5リッター 4WD)/▲約7万5000円
・アルファード&ヴェルファイアハイブリッド G/▲約7万5000円
1万kmあたりのガソリン代
・アルファード&ヴェルファイア G(2.5リッター 4WD)/約13万5000円
・アルファード&ヴェルファイアハイブリッド G/約11万円
上記の表を見ていただくと、両車には車両本体に約53万円の価格差があるが、エコカー減税と翌年の自動車税の減額がハイブリッドは11万5000円有利なため、実質的な価格差は約41万5000円まで縮まる。
さらにハイブリッドはガソリン代が1万kmあたり約2万5,000円安くつくため、5万km走行時点の両車の生涯コストは30万円以下まで縮まることになる。
この金銭的な差額であればガソリン代で元を取るということは絶望的ではあるが、そもそもアルファード&ヴェルファイアが中心価格帯400万円から500万円クラスの高額車である点や、処分する際にハイブリッドの査定が有利であろうことなども加味すると、結論は予算次第というところで余裕があるならさらに高い満足を味わえるハイブリッドを、予算を組むのに無理があるならベーシックなパワートレーンながら十二分な満足を得られる2.5リッターという選択がいいのではないかと思う。
いずれにしてもアルファード&ヴェルファイアがフルモデルチェンジで「新しい形の高級車」と自信を持って言える実力を得たことは事実であり、今後は安全装備のさらなる充実などを行いながら、日本以外でも高いステータスを持つ「日本発の高級車」に成長することを大いに期待したいところだ。
この記事にコメントする