三菱 新型軽自動車「eKワゴン・eKカスタム」試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)

三菱 新型軽自動車「eKワゴン・eKカスタム」試乗レポート/渡辺陽一郎
三菱 新型軽自動車 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック] 三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック] 三菱 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック] 三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック] 三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック] 三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック] 三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック] 三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック] 三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:チェリーブラウンパール] 三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック] 三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD] 画像ギャラリーはこちら

横滑り防止装置「ASC」はターボモデルのみにオプション設定

三菱 新型 eKカスタム「T」[2WD] 試乗レポート5三菱 新型 eKカスタム「T」[2WD/ボディカラー:ホワイトパール] 165/55R15タイヤ+アルミホイール

三菱 eKカスタム「T」のサスペンションは、スプリング、ショックアブソーバーの設定ともにeKワゴンと共通。横滑り防止装置(ASC:アクティブスタビリティコントロール)/フロントスタビライザー/ヒルスタートアシスト/ブレーキアシストは6.3万円でセットオプションにされ、2013年8月からの対応になる。それまでは装着できない。

タイヤはeKカスタム「T」のみが15インチ(165/55R15)になり、試乗車の銘柄はブリヂズトン・エコピアEP150であった。

指定空気圧は14インチと同じ240kPaだが、乗り心地は15インチが少し硬い。路面のデコボコも若干伝えやすいが、骨太な印象も伴う。15インチの乗り味を好むユーザーもいるだろう。

操舵感も少し異なり、15インチは14インチに比べて切れが良い。タイヤのグリップ力も高まり、ターボの装着で動力性能も向上するから、走行状況によっては旋回速度が高まる。となればボディの傾きが気になる場面も増えそうだ。

この点を考えると、前述の横滑り防止装置やフロントスタビライザーを含めたセットオプションは、必ず装着したいところ。共同開発された姉妹車の日産「デイズ ハイウェイスター G ターボ」では、オプションではなく標準装着とした。

前後席ともシートの掛け心地は良好

三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック]三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD] インテリア・インパネ周り

室内空間にも触れておこう。インパネ周辺の造り込みは軽自動車の平均水準。エアコンは、最廉価なeKワゴン「M」(105.0万円/FFのみ)を除くと、eKシリーズの全車にタッチパネル式のオートタイプが備わる。ブラックのパネルは見栄えも良いが、一般的なスイッチと違って手探りによる操作は難しい。慣れるまではタッチパネルに視線を落とす必要がありそうだ。

フロントシートは、座面、バックレストともにサイズを十分に確保。特に座面にはボリューム感があり、軽自動車のシートとしては乗員の体を柔軟に受け止める。バックレストも腰の近辺は硬めに仕上げ、座り心地は良い。

リアシートは足元空間が広い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2430mmと短かめだが、スライド機能を工夫して、リアシートを車内の後端まで寄せられる。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は握りコブシ3つ弱。床と座面の間隔も適度で、ゆったりと座れる。

リアシートの座面を見ると、前端に丸みを付け、乗員のふくらはぎをサポートしている。オットマンのような効果を持たせた。体重が加わる座面の後端はもう少し硬めでも良いが、大人4名が快適に乗車できる。頭上の空間は、フロント側が握りコブシ2つ分、リア側は1つ分だから不足はない。

三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD] ラゲッジ(ワンタッチフォールディング機構:2名乗車時)三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD] ラゲッジ(5:5分割可倒式)三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD] インテリア・リアシート(シートスライド:最後端)三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD] インテリア・フロントシート三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD] インテリア・タッチパネルオートエアコン
三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD] リアビューモニター付ルームミラー

荷室の使い勝手はどうだろう。リアシートのバックレストを前に倒すと座面も連動して下降。フラットな空間に変更できる。左右分割して倒せるので、3名で乗車して荷物を積む時も便利だ。リアシートのスライド機能も備わり、左右分割式ではなく一体型だが、荷室の側からもスライド操作が行える。

装備ではリアビューモニター付きルームミラーが特徴。後方の様子をルームミラーの左端に表示する。カーナビを装着した時は、配線を切り替えることで、ナビ画面に映すことも可能だ。なお、姉妹車の日産 デイズに用意されるアラウンドビューモニターは、eKワゴンには設定されない。

新型eKワゴン/eKカスタムのオススメグレードはコレだ!

三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック]三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック]

背の高い軽自動車の売れ筋価格帯に属するのは124万円のeKワゴン「G」だが、実用重視なら112.5万円の「M」でも良いだろう。キーレスオペレーションやリアビューモニター付きルームミラーは付かないが、タッチパネル式オートエアコン、99%UVカットガラスなどは装着される。

もっとも、リアビューモニター付きルームミラーは安全性も向上させるから、「M」にも3万円前後でオプション設定すると親切だろう。今後の追加設定に期待したい。

ちなみにホンダの「N BOX」や「N ONE」では、横滑り防止装置も全車に標準装着され、eKシリーズも安全装備を充実させる余地を残す。

今は燃費競争が激化したから、クラストップのJC08モード燃費29.2km/Lも、いずれライバル車がマイナーチェンジなどで追い抜く可能性があるだろう。となればeKシリーズもすかさず空気圧を高めるなど反撃するかも知れないが、クルマは総合的なバランスが重要だ。燃費は重視すべき環境性能ではあるが、今の良好な乗り心地を損なわない方がユーザーにはメリットとなる。

ワゴンR、ムーヴ、N ONE・・・ライバルに対する「eKワゴン」のアドバンテージとは

三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD] 試乗レポート6
三菱 新型 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:チェリーブラウンパール]三菱 新型 eKカスタム「T」[2WD/ボディカラー:ホワイトパール]

それにしても、全高が1600~1700mmの軽自動車は今や大人気だから、eKシリーズには強敵が多い。

スズキ ワゴンRは、リアシートのスライド機能を独立させたり、助手席の下側にも大きな収納設備を設けるなど実用的な機能を充実させた。ダイハツ ムーヴは全車にスタビライザーを装着し、5万円の価格上昇で低速域の衝突回避機能や横滑り防止装置をセットできる。ホンダ N ONEは内装を上質に仕上げ、外観も個性的。横滑り防止装置に加えてサイド&カーテンエアバッグも装着しやすい。

この中でeKシリーズの持ち味は、硬さを意識させない快適な乗り心地、座り心地の優れたシートによるリラックス感覚だろう。やや抽象的で説得力に欠ける面もあるが、ファミリーセダン的な馴染みやすい雰囲気を感じる。

子育てからひと段落・・・でも相変わらず日々忙しく過ごしている「大切な」奥様へ

三菱 新型 eKカスタム「T」[2WD] 試乗レポート2

開発者は「ターゲットにしているのは40代の主婦」だと言う。子育て真っ最中の世代は、2014年の初頭に登場する全高1700mmオーバーのスライドドアを装着した新型軽自動車(「三菱 D:1」!?)に任せるようだ。

40代になった主婦は、子育てを終えたものの相変わらず家事に追われ、その一方で自分の時間も持ちたいと考え始めていると思う。子育て世代の時とは違う、不満も生じてくるのではないか。eKワゴン/eKカスタムのリラックスできる室内空間と乗り味が、彼女達を癒してくれたら嬉しい。家族を顧みないダメな夫の、身勝手な願望である。

[レポート:渡辺陽一郎/Photo:オートックワン編集部]

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三菱 新型 eKワゴン「M」[2WD] 主要諸元

三菱 eKワゴン「G」[2WD/ボディカラー:サクラピンクメタリック]

全長x全幅x全高:3395x1475x1620mm/ホイールベース:2430mm/車両重量:830kg/エンジン型式:3B20 MIVEC/エンジン種類:3気筒 DOHC 12V/総排気量:659cc/最高出力:49ps(36kW)/6500rpm/最大トルク:5.7kg-m(56N・m)/5500rpm/トランスミッション:INVECS-III CVT(副変速機付き自動無段変速機)/燃料消費率:29.2km/L[JC08モード]/タイヤサイズ:155/65R14/メーカー希望小売価格:112.5万円[消費税込み]

※写真は「G」[2WD]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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