メルセデス・ベンツ 新型 SLK 試乗レポート/清水草一(1/4)
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:柳田由人
早くも独身ビジネスウーマンから注文殺到!?新型SLK
メルセデスは、人間の妄想を強く刺激するクルマである。
たとえば、スーツにグラサン、角刈りの男性がSクラスに乗っていれば、誰もが間違いなく「怖い人」だと妄想するし、それがハデな身なりの女性なら、確実に「怖い人の愛人」だと妄想してしまう。
97年に登場した初代SLKの場合は、オシャレな電動メタルトップの採用と、メルセデスらしからぬキュートなたたずまいから、ズバリ「お金持ちの奥様」専用と断定。しかも「亭主はSかEクラスに乗っていて、ヤナセの営業マンを呼びつけて『カミさんに1台頼む』と注文した」というところまで、事細かに妄想したものだ。
実際、初代SLKは、女性ドライバー比率が高く、女性の似合うクルマだった。ところが04年に発表された2代目SLKは、大幅にたくましく、本格的なオープンスポーツカーになり、価格も上昇。同時に性格があいまいになった。ユーザー層も、奥様というより「50~60代全般」という、中高年のクルマになってしまった。
そして今回登場した3代目SLK。狙いは「若返り」だという。伝統の電動メタルトップは当然維持。顔つきは近年のメルセデス・スポーツモデルに共通する、全体がやや突き出したグリルを採用し、ボディフォルムやサイドのエアアウトレットなどから、ズバリ、SLのコンパクト版を連想させる。
ずんぐりしてちょっとやぼったい印象のあった2代目に比べると、エレガントで伸びやかで、クールなエリートが似合うたたずまいに変身した。それでいて、価格は525万円から(200ブルーエフィシェンシースポーツ)。2代目SLKの登場時は、一番安いモデルでも672万円したのに比べると、非常にハードルを低く設定している。このお値段で、華やかなバリオルーフのオープンスポーツが手に入るなら、かなりお値打ちではなかろーか?
そのせいか、早くも30代の独身ビジネスウーマンから、相当数の受注があるとか。今度のSLKを見たら、「自分へのご褒美に、マンションとセットでメルセデスも買ったヤリ手独身女性」を妄想してしまいそうだ。
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