巨大ボディの新型Sクラスは意外と小回り性能バツグン!? 注目のARナビと個人認証機能を1日試してみた(2/2)

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道間違えとおさらば! ARナビの案内はピカイチの扱いやすさだった

他にも、注目の“初モノ”はある。ARによるナビゲーションだ。地図の上を矢印で示すのではなく、S500のカメラが現実の路上の光景をモニター画面に映し出し、そこに矢印を重ね合わせている。

矢印は、ヘッドアップディスプレイにも映し出すこともできて、念が入っている。ヘッドアップディスプレイの表示も、何通りにか設定可能できる。

これまでのカーナビの見せ方とあまりにも違っているために、最初は戸惑い気味だったが、慣れるに従って、こちらの方が圧倒的にわかりやすい。

とくに、片側1車線の細い道が交差する住宅地や不規則に道路が交わり合う市街地などでは実際の道と方向を把握しやすい。

 今回は、同業のM氏をピックアップしてから箱根に向かうため、そうした一般道を抜ける必要があり、ARナビゲーションを試すことができた。

滑らかな加速が自慢! 静粛性もバツグン

 

 

M氏を乗せて、東名高速道路に乗った。「うわぁ、スゴい。リアシートは快適だ」経験豊富なM氏が驚くほど、後ろは快適なようだ。後で、交代してもらおう。

運転席も、当然のように快適だ。ターボチャージャーと電動コンプレッサーのコンビで過給される直列6気筒3.0リッターエンジンの最高出力は330馬力、最大トルクは700Nmを発生する。さらに、ISG(モーター機能付き発電機)と48V電気システムも組み合わさり、9段ATと結合されて0-100km/h加速は5.4秒。

 

スペック通りに速く、滑らかで静かな加速。日本仕様で標準装備されるエアサスペンションによって、あらゆるショックが遮断され、分厚い絨毯の上を走っているかのようだ。

路面からの細かなショックや瞬間的な振動なども車内には伝わってこない。アコースティックガラスの採用による遮音性も高い。

長距離ドライブが快適に! 充実の先進安全装備は直感的に操作可能

 

東名道の横浜町田インター手前で渋滞に巻き込まれ、ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)とLKAS(レーンキープアシスト)などの運転支援機能をすかさずオンにする。

適切な車間距離を維持することや細かなアクセルワークなどから解放され、運転支援機能を活用すると脳のECUがラクできて助かる。Sクラスは先代モデルからレーンチェンジアシスト機能「アクティブレーンチェンジングアシスト」も備わっていたが、渋滞中では試すことがなかった。

モデルチェンジによって運転支援機能の精度が向上したと資料にあり、効き具合にまったく不満は感じられなかったが、操作方法のスイッチとロジックが改められていた。これで構わないのだが、先代もとくに車間距離の設定の仕方が独特でとても使いやすかったことを憶えている。

運転する楽しさも! 5種の走行モードは全て快適

走行モードは、エコ、コンフォート、スポーツ、スポーツプラス、インディビデュアルの5種類。渋滞が解けてから、コンフォートからスポーツに切り替えてみたが、心地良さに変わりはなかった。

コンフォートよりも低いギアを使いたがるが、9段もあるのでそれも違いは気にならない。高速道路では乗り心地が引き締まる分、スポーツでも快適だった。

山道だからスポーツモード一択かと言うと、そうでもないところが大したものだと思う。芦ノ湖スカイラインのような傾斜もコーナーもキツいところでも、コンフォートでも十分以上のペースで駆け上がっていく。

マッサージ機能のモードも多用! 後席モニターの機能もてんこ盛り

M氏に運転を代わり、後席に乗って東京に戻った。「やっぱり、Sクラスの後ろは違いますね」足もとも頭上も十分以上な空間が確保され、助手席の後ろ側のシートにはオットマンまで備わっている。快適そのものだ。シートも運転席のものとは明らかに違っていて、リラックスできる柔らかさだ。

「長距離の国際フライトのビジネスクラスではなく、これはもうファーストクラスですね」と語るほど。マッサージだって、さまざまなモードが用意され、とても全部試すことができなかった。

ほとんどを音声認識で操作! 4人同時に話してもしっかり機能する頼もしさ

前席の背もたれに装備されたiPadを横置きしたぐらいのタッチパネルを触って操作できるのと併せ、もちろん音声入力も可能だ。

「ハイ、メルセデス」で始まるMBUXによる音声入力操作は百発百中とまではいかなかったが、使いこなせたら便利だろう。

ナビや空調、音楽などはほとんどこれで済むようになる。音声入力操作は、新たに前後左右4つのシートのどのシートに座った人物が発した音声なのかを聞き分けることができるようにもなった。

それを認識している時には、ドアサイドのアンビエントライトの色が変わって識別できるようになっている。つまり、エアコンやマッサージなどはその席の分だけでも音声操作で変えることができるのだ。

今考えられる先進機能は全載せ! 内容を考えれば納得の値段!?

六本木から箱根を3人で往復して、道中であらゆる新機能と新装備を試そうとしたけれども、たくさんあってとても無理だった。時間切れで試し切れなかったものがあるだろうし、僕らが新機能や新装備自体に気付いていないものもあっただろう。それほど、多くの部分が変わり、新しいものが加わった。

また、3つの生体認証をはじめとして、スマートフォンを同期したり、アプリを使ってみたり試すことも、“休日に景色の良い道をゆったりとドライブを楽しむ”ような気分になってブルメスター製の高性能オーディオで音楽を楽しむようなこともできなかった。

あまりの多機能&高機能なので、とても「購入したオーナーと同じように」試乗することができたとは言い難かった。

つまり、それだけオーナーの好みや使い方を反映した設定を多岐に渡って行うことが可能になったと断言できる。

だから、自宅ガレージにパーキングアシストを使って駐めるところから始まり、S500のすべての設定を試し、AppleCarPlayなども使いこなし、時には長距離を走って運転支援機能の進化ぶりも体感しないことには、このクルマの真の価値をうかがい知ることができたとは言えないだろう。

新型車の急速な多機能&高機能化の傾向は新型Sクラスに限らず、程度の差こそあれ最新のクルマどれにも共通している。

しかし、ここまであらゆるものが備わっているのは今のところこのSクラスだけだろう。さすがは自動車を生み出したメーカーだけのことはある。

現在、実用化されている最新の技術や機能、装備が考えられる限り盛り込まれている。足りないもの、忘れられているものが思い浮かばない。盤石の安定感、与党的な安心感。1740万円という価格は高価だけれども、2021年に発表される高級車として隙がなく、完璧に内容が伴っている。

【筆者:金子 浩久】

メルセデス・ベンツ/Sクラス
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新車価格:
1,469万円2,348.5万円
中古価格:
50.9万円1,980万円
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金子 浩久
筆者金子 浩久

モータリングライター 1961年東京生まれ。 自動車と自動車に関わる人間について執筆活動を行う。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』など。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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