メルセデス・ベンツ 新型 Cクラス ステーションワゴン(S205型) 試乗レポート/河口まなぶ(1/4)
- 筆者: 河口 まなぶ
- カメラマン:茂呂幸正・河口まなぶ
日本車から消えたステーションワゴンが、欧州車には今も残り続けている深い理由とは
スバル レガシィからツーリングワゴンが消滅したことはつまり、日本にワゴン市場はない、という判断が下されたからだろう。いや、正確にいえば北米市場では以前からレガシィにツーリングワゴンはなかったから、世界的にワゴン市場はシュリンクしている、ということだろう。
しかし、そうした中にあって欧州のDセグメントでは、未だステーションワゴンカテゴリーはデフォルトでラインナップされている。要はそれだけ需要があるからで、実際に街中でも数多くを目にする。
翻って日本ではどうか…というと、日本製ワゴンが次々と消えた一方で、以前から欧州Dセグメントのワゴンたちには一定以上の需要が歴然とある。
つまり、今回の新型「Cクラス ステーションワゴン」などは、ある一定数のユーザーにとっては待望の存在だったりする。
単なる生活の道具ではない、特別な存在
欧州のステーションワゴンが未だ健在な理由は、それが単なる生活の道具ではないプラスαを備える存在だからだろう。上質なセダンをベースとするがゆえの高いクオリティとワゴンとしての高機能の融合は、それだけでプラスαの価値。だが、それより何より欧州のステーションワゴンには、高いブランド性がある。日本のワゴンだって機能や性能は決して負けていなかったが、上質さやブランド性でそれらを圧倒することができなかった。
そうした背景もあってだろう、日本市場ではステーションワゴンといえば今や、輸入車の独占市場的な感覚さえある。Cクラス ステーションワゴンを要するメルセデス・ベンツを始め、BMW、アウディ、ボルボ、そして1クラス下でもワゴンを用意するフォルクスワーゲン・・・といった具合で、これで日本のワゴン需要はほぼ賄われているとも。
そうした世界に唯一対抗できた素質を備えていたレガシィがいま、市場に不在なのはなんともやるせないが、新型Cクラス ステーションワゴンを見ると、そのできの良さに対抗するには確かに高いハードルがあるとも思えるのが正直なところだ。
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