THE NEXTALK ~次の世界へ~ マツダ 執行役員 パワートレイン開発本部長 人見光夫インタビュー(2/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤靖彦
究極のエンジンとは?
マツダは、2007年に『サステナブル Zoom~Zoom 宣言』を表明した。2002年のアテンザ誕生からマツダは「Zoom~Zoom」という標語を使いはじめている。
これは、子供たちが玩具のクルマを走らせるときに口にする「ブーブー」と同じ意味の、英語の子供言葉だ。その意味するところは、マツダのクルマはどれも、運転の楽しさがカギを握ることを、この標語で端的に示したのである。これに、環境性能を加味し、楽しさと持続性を両立させようというのが、『サステナブルZoom~Zoom宣言』である。
燃費が良く運転も楽しいクルマの実現。マツダは、2015年までに、世界で販売するマツダ車の平均燃費を、2008年に比べ30%向上させると言明した。
【人見光夫】将来の環境技術の動向を予測すると、2020年の段階でもなお、内燃機関、すなわちエンジンを搭載するクルマの占める割合が非常に大きいのです。だから、マツダはエンジンにこだわりながら、トランスミッション、ボディ、シャシーのすべてにおいて理想像を描いて進んでいく。その総称がSKYACTIVです。これによって、サステナブルZoom~Zoom宣言のコミットメント(誓約)を達成します。
SKYACTIVの「SKY」とは何か?と言えば、空ですね。空に向かって無限の可能性を追求していくということです。SKYACTIVのなかで私が携わったのがエンジンです。開発においては、まずエンジンの究極の姿を思い描き、自分たちがコントロールできることは何かを見極め、限界へ行き着くまで、SKYACTIV ワン、ツー、スリーというように、順次エンジン開発を進めていきます。
では、肝心の「究極の姿」とは具体的に何かと言うと、エンジンで目指すのは「効率」です。現状より倍くらい、効率を改善できる見通しはすでに立っています。ではそれを実現するため、技術開発は具体的にどうしていけばいいのかということになりますね。
ここで効率の追求ということをわかりやすく言えば、「燃費の改善」です。じゃあ燃費の改善をやろうとしたとき、燃費向上のために有効な事をいかにたくさんやるかという道筋で開発しようとすると、技術的に色々な手法があるため、選択肢が多すぎて、結局、何から手を付けたらいいかわからなくなってしまいがちなのです。
しかし、燃費の改善は「損失を減らすことだ」と単純に考えれば、上の7つの因子に取り組むしかないことが明らかになります。燃費改善技術はいくつもあるため、たくさんやり方があると思うと、人は、安易な道を選び、大変なことや難しいことに取り組もうとしなくなります。
ところが、世の中に7つしか解決の方法がないと思えば、どんなに難しい開発でも挑戦しなければ目標が達成できないと、真剣な気持ちになります。その、何としても困難に立ち向かおうとする気持ちが、SKYACTIVを達成させたのです。中でもこの7つの因子の一番上にある「圧縮比」を高くすれば効率が良くなることは、技術者なら誰でも知っていることで、そこに本格的にメスを入れたのが、SKYACTIVエンジンです。
損失を減らすための7つの因子という発想の仕方と、その中からまず選ばれた高圧縮比の実現は、エンジン開発のズバリ本丸に切り込んだ人見光夫の真骨頂である。なぜなら、手法の優劣を云々するのではなく、原理原則という本丸に切り込む開発方法だからだ。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。