マツダ 新型CX-5 2018年3月改良モデルに試乗 進化した2.2ディーゼルと2.5ガソリン 2つの新エンジンは走りにどう影響した?(2/2)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:松田 拓也(オートックワン編集部)
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気筒休止の切り替えは、切り替わったことに気付かないほどの出来栄え

試乗した2.5Lのガソリンエンジン車には、2/4気筒を切り換えたことが分かるモニター画面が特別に装着されていた。

試乗中に頻繁に2気筒運転になったのは、時速50~80kmでアクセルペダルを一定に踏みながら巡航している時だ。アクセルペダルの踏み込み量は、感覚的には25%くらいになる。そこからアクセルペダルを踏み増したり、戻したりすると4気筒に戻る。またアクセルペダルを完全に閉じた状態では、燃料をカットしているから、気筒の切り換えは生じない。

2気筒運転時にアクセルペダルを踏み増すと4気筒になるが、切り換えはほとんど分からない。走行中にはタイヤが路上を転がる時に発生するロードノイズ、風切り音など、複数の音が聞こえるからだ。路上から乗員に伝わる振動もある。そのために2/4気筒の切り換えが隠されてしまう。開発者は「氷盤路(デコボコのまったくない氷の上)を走るなど、特殊な環境でないと、2/4気筒の切り換えは分からないだろう」という。

2.5Lエンジン搭載車のJC08モード燃費は、2WDは14.8km/Lで新旧モデルともに同じ数値だ。4WDは従来型が14.6km/L、新型が14.2km/Lだから少し悪化したが、いずれも実用燃費は向上したという。気筒休止を加えたことで、特に高速道路やバイパスを走る時などは、優れた燃費性能が期待される。

今回の改良では、ディーゼルとガソリンの両方が進化した。CX-5を選ぶメリットを感じるのは、依然として高い駆動力と低燃費を両立させたディーゼルだが、滑らかな吹き上がりなど走りの洗練度を重視するなら、2.5Lのガソリンも魅力的だ。

搭載されるエンジンの違いにより、ハンドリング特性も異なる

ボディ剛性やサスペンションの設定は発売当初と同じで、特に変化はない。それでも基本設計が新しいので、走行安定性と乗り心地のバランスが良い。

その上でディーゼルは、重いボディに合わせて足まわりを少し硬めに造り込んだ。カーブを曲がる時にはボディの重さを少し感じるが、4輪の接地性が高く安定性が優れている。

2.5Lのガソリンは、ディーゼルに比べて足まわりが柔軟に動く。そのために乗り心地が快適で、2.5Lエンジンの回転感覚とマッチする。峠道などのカーブを曲がる時は、後輪の接地性が少し物足りないが、車両の前側を下げて内側へ回り込むから旋回軌跡は拡大させにくい。これも前輪側の重量をディーゼルに比べて60kgほど軽くするガソリンエンジンの特性を生かしたものだ。

つまり同じCX-5でも、ガソリンとディーゼルでは、キャラクターに違いを持たせた。この持ち味がエンジンの改善で一層際立っている。

360度ビューモニターの新採用で、駐車時の安全性を向上させた

このほか装備も充実させた。最も注目されるのは360度ビューモニターのメーカーオプション設定だ(オプション価格はフロントパーキングセンサーと併せて4万3200円)。ボディの前後左右にカメラを装着して、車両を上空から見たようなトップビュー、前方の死角を映すフロントワイドビュー、後方の死角を補うリヤワイドビュー、さらにサイドビューの機能がある。

通信機能と7インチWVGAディスプレイを備えたマツダコネクトも充実して、自車位置演算ユニットを全グレードに搭載した。これにより高層ビルの多い場所など、GPS通信衛生を使った測位が難しい状況でも、自車位置測位がさらに正確に行えるようになった。機能を幅広く向上させている。

価格は改良前と同額で、2WDで見ると2.5Lのガソリンエンジンを搭載した25S・Lパッケージが298万6200円、ディーゼルのXDプロアクティブが300万2400円、同じくディーゼルのXD・Lパッケージが329万9400円になる。改良を受けながら価格を高めていないから、新型は相対的に割安になった。

CX-5のように頻繁な改良を行うのは、基本的にはユーザーのメリットになり得る。

モデル末期になっても改良を続けられるかが、今後の課題

ちなみに先ごろ販売を終えたマツダ プレマシーは、2013年12月に特別仕様車を追加して以降、緊急自動ブレーキの採用なども含めて、何の改善も受けずに4年間も放置されていた。これでは新たに購入するユーザーのメリットが乏しいが、2017年後半でもプレマシーは1か月に300台前後は売れていたから、マツダは改良を施すべきだった。プレマシーとそのユーザーに対する愛情が感じられないマツダの姿勢は、見ていて非常に不愉快だった。これに比べるとCX-5への対応は格段に優れている。

しかし半年置きに改良すると、さすがに「いつ買えば良いのか分からない」という話にもなるだろう。例えば毎年2月には何らかの改良をするなど、時期と周期を決めると良心的だ。昔はフルモデルチェンジが4年ごと、その間に2年後のマイナーチェンジを挟む周期が確立され、「いつ買えば良いのか」という不満は聞かれなかった。長期間にわたり改良を受けずに放置されることもなかった。日本車メーカーの日本のユーザーに対する向き合い方は、今はずいぶん不親切になっている。マツダの商品開発の方向転換は、それを取り戻す良い機会だと思う。

[Text:渡辺陽一郎 Photo:松田 拓也(オートックワン編集部)]

マツダ CX-5の主要スペック
車種名 マツダ CX-5

グレード

XD PROACTIVE/XD L Package 4WD

パワートレイン

ディーゼル

JC08モード燃費

18.0km/L

価格(消費税込)

352万6200円

全長

4,545mm

全幅(車幅)

1,840mm

全高(車高)

1,690mm

車両重量

1,670kg

乗車定員

5人

ホイールベース

2,700mm

エンジン種類

水冷直列4気筒DOHCターボ

排気量

2,188cc

エンジン最高出力

140kW(190PS)/4,500rpm

エンジン最大トルク

450N・m(45.9kg・m)/2,000rpm

燃料

軽油

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マツダ/CX-5
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新車価格:
291万円422.5万円
中古価格:
51.5万円407.6万円
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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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