ランボルギーニ アヴェンタドール LP750-4 SV 海外試乗レポート(3/3)
- 筆者: 西川 淳
軽く吹かせば、ちょっとした地響きが起こる
もうひとつのポイントは、実をいうと、エンジンパワーやスタイリングよりも、乗るものを喜ばせてくれる内容だ。それは、MRS(マグネト・レオロジカル・サスペンション)とLDS(ランボルギーニ・ダイレクト・ステアリング)で、いずれも最新モデルの「ウラカン」で既にオプション設定されている最新装備である。
この2つの装備に空力強化策が加わり、アヴェンタドールSVのハンドリングを劇的に進化させたと言っていい。パワーアップと軽量化よりも、それは効いているように思う。
カーボンシェルの薄い新デザインバケットシートに座ると、着座位置が随分と低い。フロアのカーボンはむき出し。ドアのインナーパネルもカーボンだ。TFT液晶メーターは真っ黄色。見違えるほどスパルタンなコクピットになった。
新たな排気システムが、いっそう野太くワイルドなサウンドを響かせる。軽く吹かせば、ちょっとした地響きが起こる。ゆっくりと走り出すと、すぐに違いを感じた。乗り心地がいい。ついでに、前アシがとても軽く、いっそうシャープに動く。しかも、接地感はしっかり。ノーマルの、突っ張って硬く横滑りするようなフィールが、ほとんどなかった。
加速フィールそのものは、ノーマルとさほど変わらないと思う。ノーマルでも0-100km/h加速は2.9秒で、SVはそれよりコンマ1秒速いだけなのだ。けれども、優れた空力性能のおかげで、比較的高回転域をキープしやすくなり、そこでの力強さもまたノーマルとは別格の頼もしさだったから、踏み続けてこれほど楽しいものはない。右足が常に小躍りしていた。
コルサモードも試す。ノーマルのアヴェンタドールでは、よりニュートラルステアにAWDを制御し、内臓をゆさぶるほど強烈なシフトチェンジをみせたコルサモードは、素人ドライバーには、ほとんど使いこなせないシロモノだった。
ところがどうだ。オーバーステア気味のスポーツモードに比べて、ニュートラルステアのコルサモードは、これまた圧倒的に速く、そして操作しやすいではないか!これが、そもそもコルサモードで目指した走りだったのだろう。
変速ショックもかなりリーズナブルに。それでいて、変速時間そのものは相当に短い。自慢のダイレクト感もきっちり残っている。パワートレインやシャシー、そして電子制御が、かなりのレベルに熟成した証拠だ。
史上最強のランボルギーニ。なるほど、アヴェンタドールSVは、最も速く、最高に楽しくて、扱いやすさも抜群のハイパーマシンであった。
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