ヴェゼルRSグレードは高い!? 実は「Zグレード」より買い得な理由とホンダ価格の罠
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:堤 晋一/森山 良雄/茂呂 幸正/本田技研工業/SUBARU/MOTA編集部
2025年10月、ホンダ ヴェゼルに追加された新グレード「e:HEV RS」。価格は約375万円からと、SNSなどでは「高すぎる」との声も聞かれます。しかし装備内容を詳細に紐解くと、実は意外なほど「買い得」な実態が見えてきました。
一見割高に見えるこのグレード、果たして選ぶべきなのでしょうか?
カーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんが、ヴェゼルRSの本当のコストパフォーマンスを徹底分析。そこから透けて見えるホンダ独自の分かりにくい価格設定の罠と、損しないクルマ選びの極意を解説します。
ヴェゼルRSグレードの価格は約375万円! 「高すぎる」の声も
2025年10月、ホンダ ヴェゼルに新しいグレードの「e:HEV RS」が加わりました。直列4気筒1.5Lのハイブリッドを搭載するスポーティグレードです。
ヴェゼルe:HEV RSの評判をX(旧Twitter)などのSNSで見ると、「価格が高すぎる」という声が多いです。確かにヴェゼルe:HEV RSの価格は、前輪駆動の2WDでも374万8800円、4WDは396万8800円に達します。
これはヴェゼルの中では最も価格が高く、e:HEV X 2WDの299万8600円に比べると約75万円も上まわります。ヴェゼルの売れ筋グレードであるe:HEV Z 2WD(326万8100円)と比べても、約48万円高い設定です。
以下はヴェゼルのグレード別価格一覧です(2026年1月7日時点)。
| グレード | 駆動方式 | 価格 |
|---|---|---|
G | 4WD | 275万8800円 |
e:HEV X | 2WD | 299万8600円 |
4WD | 321万8600円 | |
e:HEV X | 2WD | 310万8600円 |
4WD | 332万8600円 | |
e:HEV Z | 2WD | 326万8100円 |
4WD | 348万8100円 | |
e:HEV Z | 2WD | 369万9300円 |
4WD | 391万9300円 | |
e:HEV RS | 2WD | 374万8800円 |
4WD | 396万8800円 |
ほかのメーカーのSUVとも比較してみましょう。
上級車種であるマツダ CX-60 25S Lパッケージ(2WD)が379万5000円、スバル フォレスターにストロングハイブリッドを搭載したXブレイクS:HEV(4WD)が420万2000円です。
ヴェゼルはコンパクトサイズなのに、e:HEV RSの価格は、ミドルサイズ、あるいはLサイズSUVの上級SUVと同等といえます。
この価格設定だけを見れば、「ヴェゼルe:HEV RSが高すぎる」といわれるのも当然でしょう。
実は割高じゃない!? ヴェゼルRSグレードが「買い」と言える装備のカラクリ
しかし装備と価格を細かく照合すると、ヴェゼルe:HEV RSは割高ではなく、むしろ買い得なことが分かります。ヴェゼルの売れ筋グレードであるe:HEV Z 2WD(326万8100円)と、e:HEV RS 2WD(374万8800円)の装備を比べてみましょう。
e:HEV RSは、専用にデザインされたブラックのフロントグリルや専用の外装パーツ、少し硬めにセッティングされた専用のローダウンサスペンションなどを装着しています。サスペンションの変更で全高は1545mmに下がり、立体駐車場も使いやすくなっています。
さらにe:HEV RSは、e:HEV Zではメーカーオプション扱いとなっている「ホンダコネクトディスプレイ」「ETC2.0車載器」、安全装備の「後退出庫サポート」なども標準装着しました。これらのセットオプション価格は37万4000円です。
つまりe:HEV RSの価格は、e:HEV Zに比べて48万700円高いですが、この内の37万4000円分は標準装着しているセットオプション価格で埋まるのです。
そうなると、e:HEV RSの専用装備とされるブラックのフロントグリルや外装パーツ、少し硬めのローダウンサスペンションなどの実質的な対価は、48万700円の価格差から37万4000円のセットオプション価格を差し引いた、わずか10万6700円に縮まります。
専用のフロントグリルや外装パーツ、立体駐車場の利用も可能にするローダウンサスペンションなどがプラス10万6700円で装着されると考えれば、e:HEV RSはむしろ買い得なグレードといえるでしょう。一見すると割高でも、装備品表と価格差を照合すれば、装備を割安に装着していることが分かります。
なぜホンダ車の価格は「分かりにくい」のか?
このような価格設定は、ユーザーにとって非常に分かりにくいものです。多くのユーザーは、価格の金額だけを見て買うか否かを判断するからです。e:HEV RSがほかのグレードに比べて48~75万円も高ければ、「外装パーツや足まわりの違いだけで、こんなに価格が高くなるのか」と考えるのは当然です。「見えない装備に差があるのでは?」と疑って、装備品表まで細かく確認する人は少ないでしょう。
開発者に、e:HEV RSとe:HEV Z PLaYパッケージだけがホンダコネクトディスプレイや後退出庫サポートを標準装着した理由を尋ねると、「これらの装備は人気が高く、装着する人も多いため、営業部門の希望もあって上級グレードのRSやPLaYパッケージには標準装着しました」との返答でした。
それでもユーザーから見ると、「カーナビ&後退出庫サポートパッケージ」といった名称でもグレード名に付かない限り、これらの装備が特定のグレードだけに標準装着されていることは分かりません。
同様の「ユーザー目線の不足」は、ホンダのいろいろな車種に当てはまります。
例えば先代N-BOXの標準ボディには「L」と「Lターボ」が用意され、Lターボの価格はLよりも約20万円高くなっていました。
ところが実際には、Lターボには、Lでオプション設定になっているサイド&カーテンエアバッグと右側スライドドアの電動機能が標準装着され、さらに上級シート表皮や本革巻きステアリングホイールなども含めて、13万円相当の装備が加わっていたのです。
そうなるとターボエンジンの正味価格は、約20万円の価格差から装備換算額の13万円を差し引いた7万円に収まります。LターボはLよりも実質割安でしたが、ユーザーは表面上の価格差を見て「N-BOX Lターボは割高」と判断したでしょう。
その結果、先代N-BOX Lターボは販売を低迷させ、現行N-BOXの標準ボディには、買い得なターボ自体が用意されていません。
迷走する車種戦略…CR-Vやインサイトに見るホンダの課題
また、近年のホンダの戦略には迷いも見られます。CR-Vの国内販売を終了したかと思えば再開させたり、Honda eは日本の道路環境に適したコンパクトな電気自動車だったのに「使命は終わった」として廃止したりしました。
また、発売当初の現行ステップワゴンは、フロントマスクが穏やかな「エアー」を本命グレードと位置づけながら、エアロ仕様の「スパーダ」に比べて安全&快適装備が貧弱で、ユーザーを困らせました。
シビックタイプRにおいては、価格が499万7300円の標準グレードの受注を停止させながら、内外装を黒に変更して価格を100万円以上も値上げした「レーシングブラックパッケージ」を投入するといった動きもありました。
時代を遡ると、ハイブリッド専用車のインサイトはコンセプトを頻繁に変えました。
初代は燃費スペシャル的な2人乗りのクーペ、2代目は最廉価グレードを185万円に抑えた買い得な5ナンバー車でした。しかし3代目は、シビックをベースに価格が330~350万円に達する3ナンバーサイズの上級車種になって終了しています。
この時も、好調に売れた2代目インサイトのユーザーが、大幅に値上げされた3ナンバー車の3代目には乗り替えられませんでした。
以上のようにホンダでは、日本国内で発売される車種の設定と廃止、そしてユーザー目線を欠いた価格設定が欠点になっています。
損しないホンダ車の選び方とは? 分かりづらいグレード構成に注意
ホンダ車を買うコツは、買い得度を「表面上の価格」だけで判断しないことです。各グレードにどのような装備が採用され、実質的な価格がどうなっているのかを細かく確認することで、本当の買い得度を判断できます。
ヴェゼルの場合、最も価格が高いグレードはe:HEV RSですが、パノラマガラスルーフはe:HEV RSよりも安価なe:HEV Z PLaYパッケージでないとオプション装着できないなど、単純なヒエラルキーに沿わないグレード構成も多いために選びにくいのが現状です。
最後に、メーカーに対してあえて苦言を呈します。
ホンダが国内の販売不振から脱するためにも、車種を短命で終わらせる市場戦略や、今回のような分かりにくい装備・価格設定を改めることが大切です。
もっとも大切なのはユーザー目線です。現場を知る販売店の声を良く聞き、それを商品企画に反映させることが、今後のホンダには極めて重要でしょう。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:堤 晋一/森山 良雄/茂呂 幸正/MOTA編集部 画像提供:本田技研工業/SUBARU】
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