いよいよ日本上陸!ホンダのスーパーカー新型(2代目)NSXを徹底解説(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志・本田技研工業株式会社
ハイブリッドといえど、動力性能の“主役”はあくまでもエンジン
エンジンと駆動系は、V型6気筒3.5リッターのDOHCツインターボ+インタークーラーをベースにした「スポーツハイブリッドSH-AWD」になる(AWDは4輪駆動の意味)。
ホンダは以前から「レジェンド」などにハイブリッドのSH-AWDを採用しており、前輪駆動がベースだから、前輪側に1個、後輪側には左右に2個のモーターを備える。
新型NSXはミッドシップで後輪駆動が基本だから、単純にいえばレジェンドとレイアウトを逆転させた。後輪側にはエンジンと併せて1個のモーター、前輪側には2個のモーターを備える。トランスミッションは、2組のクラッチを装着するATの9速DCTとした。
動力性能の主役はハイブリッドといえどもエンジンだ。V型6気筒3.5リッターのDOHCツインターボはNSX用に新開発され、車両と同時に開発を進めたから連携も図れている。
低重心化を目的に、V型エンジンのバンク角(斜めに配置されたシリンダー同士の角度)はエンジンルームの限界となる75度まで広げた。
潤滑方式はドライサンプとしている。オイルをエンジン下側のオイルパンではなく、専用のタンクに収めて噴射する方式だ。重心が下がって潤滑性能も優れ、旋回時の遠心力によるオイルの偏りも防止しやすい。
吸排気バルブには、開閉タイミングを連続して変化させるVTCを採用した。インタークーラーは大型で吸気温度を効果的に抑え、高出力化に対応している。
エンジン本体の最高出力は507馬力(6500~7500回転)、最大トルクは56.1kg-m(2000~6000)回転。ターボの効果により、5.6リッター並みの最大トルクを幅広い回転域で発生している。
多くのモーターを積む新型NSX
後輪側に装着されるダイレクトドライブモーターは、エンジンのクランクシャフト(出力軸)に直結させた。
モーターはアクセル操作に対して機敏に反応するため、エンジン回転が低い状態から加速する時など、モーター駆動が効果的に支援する。減速時にはモーターが発電を行い、座席の後部に配置された駆動用リチウムイオン電池に電気を蓄えることが可能だ。ダイレクトドライブモーターの最高出力は48馬力になる。
前輪側にはツインモーターユニットを搭載した。左右のモーターの間には、プラネタリー減速機能、プラネタリーのリングギヤを制御するブレーキなどが収まり、走行状態に応じて左右輪の駆動力を最適に制御する。
カーブを曲がる時は、左右輪の駆動力を調節することで、車両を積極的に内側へ向ける。
アクセルを閉じた状態でも、減速力を左右独立して制御するために車両を安定させることが可能だ。ツインモーターユニットの最高出力は37馬力になる。
そしてエンジンとモーターの駆動力を合計したシステム最高出力は581馬力。最大トルクは65.8kg-mとされ、自然吸気エンジンでいえば6リッタークラスの性能を発揮する。
走行モードの切り替え機能もあり、モーター中心で走る静粛性の優れたクワイエットモード、市街地や高速道路で使うスポーツモード、峠道などに適したスポーツプラスモード、さらにサーキット用のトラックモードを設けた。
この記事にコメントする