スバル 新型フォレスター vs 日産 エクストレイル どっちが買い!?徹底比較

スバルと日産の人気SUVを徹底比較する

SUVは大径サイズのタイヤを装着して最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)に余裕を持たせ、悪路の走破力が優れている。外観も野性味があってカッコイイ。ボディの上側はワゴン風のスタイルだから、4名乗車の快適な居住性と使いやすい荷室を併せ持つ。このような特徴を備えることから、SUVは人気のカテゴリーとなった。

そして、日本におけるSUV人気の主力車種のひとつであるスバル フォレスターがフルモデルチェンジを行った。内外装のデザインやボディサイズは先代型に似ているが、エンジンは水平対向4気筒2.5リッターと、e-BOXERと呼ばれる2リッターのハイブリッドを搭載する。両方ともに直噴式だ。先代型は2リッターのノーマルエンジンと直噴ターボだったから、エンジンの選択肢はかなり変わった。プラットフォームも刷新され、現行インプレッサと同じ設計の新しいタイプを使う。

新型フォレスターの発売までのスケジュールは複雑で、予約受注の開始が2018年5月18日、報道発表は6月20日だった。生産と納車を伴う「発売」は、2.5リッターエンジン車が7月19日、e-BOXERは9月14日となる。最近はどこのメーカーでも生産効率を優先させ、発売の数か月前から受注を開始する。ユーザーを平気で待たせる売り方になった。

フォレスターはミドルサイズSUVに位置付けられ、このカテゴリーの定番車種には、日産 エクストレイルがある。前輪駆動をベースにしたシティ派SUVに位置付けられ、プラットフォームの基部分はミニバンの日産 セレナと共通化しているが、「タフギア」をテーマに開発されており、オフロードSUVのような印象がある。また、シートやフロアにも防水加工が施され、アウトドアでの使い勝手を高めた。

エンジンは直列4気筒2リッターと、2リッターのハイブリッドを搭載する。発売は2013年12月だから4年半を経過するが、売れ行きは小型/普通車の中堅水準だ。

ここではフォレスターとエクストレイルを比べる。

>>新型フォレスターとエクストレイルを画像で見比べる

フォレスター vs エクストレイル|ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較

外観の見栄えは、エクストレイルに丸みがあってボリューム感も伴う。フォレスターは水平基調のデザインだ。これにより、運転席からもボンネットが良く見えて、車幅やボディの先端位置も分かりやすい。ボディ後端のピラー(柱)はフォレスターが細くデザインされ、エクストレイルに比べて後方視界も良い。

ボディサイズは、フォレスターの全長が4625mm、全幅は1815mm、エクストレイルは4690mm/1820mmだから大差はない。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はフォレスターが2670mm、エクストレイルは2705mmと若干長い。これに伴って最小回転半径も、フォレスターは5.4m、エクストレイルは5.6mで少し大回りになる。

勝者:フォレスター

フォレスター vs エクストレイル|内装のデザイン/質感/操作性/視認性比較

インパネ周辺の造形は、設計の新しいフォレスターが少し新鮮だが、大した違いはない。エアコンのスイッチは両車ともに比較的高い位置に装着されており操作性が良い。

パーキングブレーキは、フォレスターは全車にアイサイトツーリングアシストを装着したこともあり、電動式になって操作性が良い。エクストレイルは、車間距離を自動制御できるクルーズコントロール機能を備えたプロパイロット装着車は電動式だが、非装着車は足踏み式である。

また、ステアリングホイール(ハンドル)の形状は、エクストレイルはD字型を採用した。見栄えに特徴があり、直進時には大腿部とステアリングホイールの間隔にも余裕が生じるが、ユーザーによっては操舵した時に違和感が生じる場合がある。

勝者:フォレスター

フォレスター vs エクストレイル|前後席の居住性比較

前席については、両車ともに肩まわりのサポート性が良い。その上で比べると、フォレスターの背もたれは腰を包むようにデザインされているので、サポート性が優れ、座り心地は快適だ。後席は、フォレスターは少し硬めだが、座面の角度はちょうど良い。

エクストレイルは、着座姿勢をもう少し落ち着かせて欲しいが、柔軟な座り心地でリラックスできる。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間はフォレスターが握りコブシ2つ半、エクストレイルは少し広く3つ弱になる。

また、エクストレイルのノーマルエンジン車には、荷室に3列目の補助席を装着した7人乗りもある。大人が多人数で乗車すると窮屈だが、短距離を移動する時は便利に使える。

勝者:エクストレイル

フォレスター vs エクストレイル|荷室比較

荷室の容量、開口幅は、両車ともに同程度だ。エクストレイルのノーマルエンジン車は、荷室に防水機能を施した。

また、エクストレイルの売れ筋グレードには、リモコンオートバックドアが装着される。インテリジェントキーを携帯しながら、リアバンパーの下側で足を出し入れすると、リアゲートが自動的に開閉する。荷室の機能はエクストレイルが充実する。

勝者:エクストレイル

フォレスター vs エクストレイル|動力性能&エンジンフィーリング比較

フォレスターでは、ノーマルエンジンの排気量が従来の2リッターから2.5リッターの直噴式になった。実用回転域の駆動力が向上している。エンジンの性格として、4400回転付近から回転の上昇が活発化するが、1500回転付近でも駆動力は不足していない。

その点でエクストレイルは不利だ。車両重量は同程度だが、エンジンの排気量が2リッターにとどまる。実用的な不満はないが、スポーティな運転を楽しむには物足りない。そしてエクストレイルでは、駆動力が不足気味だからアクセルペダルを深く踏みやすく、エンジンノイズでも不利になる。

そしてこの2車種では、2リッターのハイブリッドを用意することも特徴だ。フォレスターはノーマルエンジンが2.5リッターだから、ハイブリッドのe-BOXERがモーター駆動を加えたものの、動力性能では少し見劣りする。ただし巡航中にアクセルペダルを軽く踏み増した時などは、反応の素早いモーターの駆動力が立ち上がって、ハイブリッドの加速が滑らかな場面もある。アクセルペダルの踏み方が穏やかな時も、モーター駆動がメリットを発揮して静かな走りを行える。

エクストレイルハイブリッドの動力性能は、フォレスターのe-BOXERと同程度。実用回転域の駆動力が高く運転がしやすい。ハイブリッドの性能は同等だが、ノーマルエンジンは主に排気量の違いに基づいてフォレスターが勝る。

勝者:フォレスター

フォレスター vs エクストレイル|走行安定性比較

フォレスターの操舵感は、SUVの中では正確性が高い部類だ。通常SUVは高重心だから機敏な設定にすると走行安定性が悪影響を受けるが、フォレスターはそうならない範囲で車両の向きが自然に変わる。カーブを曲がっている時も旋回軌跡を拡大させにくく、峠道などを走りやすい。その一方で後輪の接地性も高いから、例えば下り坂のカーブで危険を避けるためにブレーキを作動させた時なども、車両の動きが乱れにくい。SUVでありながらワゴンに近い感覚で運転できる。

これに比べてエクストレイルは、車両の動きが全般的に鈍い。峠道などでは、フォレスターに比べて車両の向きが変わりにくい。旋回軌跡を拡大させやすく、曲がりにくさも感じる。SUVとしては自然な感覚で運転できて、後輪の安定性にも不満はないが、プラットフォームを刷新したフォレスターに比べると古さを感じる。

勝者:フォレスター

フォレスター vs エクストレイル|乗り心地比較

正式発表前にテストコース内で試乗することができた新型フォレスターは、2.5リッターのプレミアムとe-BOXERを搭載するアドバンスで、両グレードともに18インチタイヤを装着する。そのために乗り心地は少し硬いが、重厚感が伴う。ボディ剛性が高く、足まわりも正確に作動するから、前述の走行安定性と併せて乗り心地も上質だ。

エクストレイルも乗り心地は快適な部類に入るが、フォレスターに比べると粗く感じる。

勝者:フォレスター

フォレスター vs エクストレイル|安全&快適装備

フォレスターのアイサイトツーリングアシストは、2個のカメラをセンサーに使い、歩行者や自転車も検知して緊急自動ブレーキを作動させる。歩行者と衝突した時に作動する歩行者保護エアバッグも備わる。

さらにe-BOXERを搭載したアドバンスには、ドライバーモニタリングシステムを採用した。カメラがドライバーをモニターして、疲労や居眠りを検知すると警報を発する。システムがドライバーの顔や運転姿勢を記憶し、乗車するとシートのリクライニングやミラーの角度などを自動調節してくれる機能も備わっている。5人まで登録できるので、体格の異なる家族で1台のフォレスターを共有する時などに便利だ。

また、ツーリングアシストの機能として、車間距離を自動制御するクルーズコントロールも採用した。操舵の支援も行い、路上の白線を検知しにくい渋滞時などは、先行車両に追従して制御を続ける。

エクストレイルは、単眼カメラをセンサーに使う。緊急自動ブレーキは歩行者にも対応するが、車両に対する作動速度の上限は時速80kmにとどまる(歩行者は時速60km)。高速道路の安全確保を考えると、車両に対しては時速100kmまで作動させて欲しい。

運転支援機能にはプロパイロットがある。車間距離を自動車制御できるクルーズコントロール、操舵支援機能などを採用した。

勝者:フォレスター

フォレスター vs エクストレイル|燃費性能とエコカー減税

JC08モード燃費は、フォレスターの2.5リッターエンジン搭載車が14.6km/L、エクストレイルのノーマルエンジンを搭載した4WDの20Xや20Xiが15.6km/Lだ。ハイブリッドは、フォレスターのe-BOXERが18.6km/L、エクストレイルの4WDが20km/Lになる。

エコカー減税は、両車ともにノーマルエンジン車は対象外だ。ハイブリッドは減税の対象に含まれるが、免税にはならない。

勝者:エクストレイル

フォレスター vs エクストレイル|グレード構成と価格の割安度比較

ノーマルエンジンの場合、フォレスターではツーリングが買い得で、価格は280万8000円だ。フォレスターツーリングに相当するエクストレイルの買い得グレードは4WDの20Xiで、価格は300万9960円になる。

フォレスターには、サイド&カーテンエアバッグや歩行者保護エアバッグが標準装着され、エクストレイルには、インテリジェントキーやリモコンオートバックドアが備わる。装備の水準は同等だから、価格の安いフォレスターが買い得だ。

ハイブリッドも同様で、フォレスターアドバンスは装備を充実させ、ドライバーモニタリングシステムなども標準装着して価格を309万9600円に抑えた。機能と装備のバランスを見ると、2.5リッターのプレミアムよりもe-BOXERが安い。エクストレイル20Xiハイブリッドは327万7800円になる。

装備の違いまで含めると、フォレスターアドバンスはエクストレイルハイブリッドよりも35万円は安い。ノーマルエンジンもフォレスターが20万円は割安で、エンジン排気量は500cc多いから、さらに10万円は安くなる(排気量の価格換算は100cc当たり2万円)。SUVは人気のカテゴリーだから競争も激しく、後から登場した車種ほど割安になる。

勝者:フォレスター

フォレスター vs エクストレイル|総合評価

さまざまな機能を総合的に判断すると、最新のフォレスターが買い得だ。特に走行性能、乗り心地、取りまわし性、安全装備が優れ、価格は割安に抑えた。エクストレイルにはアウトドアのツールとして使える野性的な魅力があり、オフロードモデルから発展したSUVの本質を突いているが、フォレスターに比べて全般的に古さが目立つ。

価格はエクストレイルハイブリッドが2017年6月のマイナーチェンジで実質値下げしたが、新型フォレスターアドバンスはさらに安く抑えてきた。エクストレイルでは、価格を改めて商品力を見直す必要が生じている。

勝者:フォレスター

[TEXT:渡辺 陽一郎 PHOTO:和田 清志/原田 淳]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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