CX-5/アウトランダーPHEV/ハリアーを徹底比較 ~環境や燃費に配慮したシティ派SUV~(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正・和田清志・小林岳夫
【CX-5】前後席ともに居住性が優れ安全装備も充実させた
CX-5はマツダの上級車種でもあるから内装は上質だ。インパネは水平基調で、ATレバーが収まるセンターコンソールは、前輪駆動車でありながら高めに配置した。外観と同様に後輪駆動車のようで、インパネの周辺にはBMWに似た雰囲気が漂う。運転席に座ると囲まれ感があり、車両との一体感を得やすい。
前席の座り心地は少し硬いが、座面が底突きをする印象はなく、体を包み込む形状で肩まわりまでサポート性が良い。ただし本革シートは若干滑りやすく、座った印象はクロス生地が優れている。
後席は現行モデルで座り心地が向上した。柔軟ではないが、体の沈み方が適度でボリューム感があり、欧州車の後席に似ている。座面の長さも前席と同様に余裕を持たせ、膝の裏側までサポートする。
身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ分。前席の下側に空間があり、後席に座る乗員の足が収まりやすい。頭上の余裕も十分に確保されて快適だ。
緊急自動ブレーキを作動できる安全装備は、車両に対してはミリ波レーダー、歩行者は単眼カメラを使う。後方の並走車両を検知して警報を発することも可能だ。
また車線逸脱の警報に加え、車線の中央を走れるようにハンドル操舵を支援する機能も採用した。車間距離を自動制御できるクルーズコントロールと併用すると、ドライバーの疲労を軽減できる。
LEDヘッドランプは左右各12ブロックに細分化され、ハイビーム走行時に対向車や先行車を検知すると、相手車両を照射するLEDだけを消灯する。ハイビーム状態を維持しながら、相手車両の眩惑を抑えることが可能だ。
【アウトランダーPHEV】インパネ周辺のレイアウトは機能的で、緊急自動ブレーキも進化
アウトランダーPHEVのインパネのデザインは機能的。カーナビの画面と併せてエアコンのスイッチが高い位置に配置され、操作性が優れている。ATレバー付近に装着された4WDスイッチなどの配置は少し散漫だが、使いにくく感じることはない。
前席の座り心地は快適だ。背もたれの高さ、座面の奥行ともに余裕があって適度に柔軟。乗員の体が少し沈んだところでしっかりと支える。
注意したいのは後席で、PHEVでは駆動用電池を床下に収めたため、後席の床が少し高く、座面との間隔が不足して膝が持ち上がる。前席の下側の余裕も乏しく、後席に座る乗員の足が収まりにくい。座面の奥行寸法は前席に比べて50mm短く、柔軟性もいまひとつだ。
身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ少々。足元には余裕があるから4名乗車は妨げないが、座り心地に不満が伴う。
安全装備は2017年2月の改良で進化した。単眼カメラと赤外線レーザーが装着され、車両に対しては時速80km以下、歩行者は時速65km以下で緊急自動ブレーキが作動する。従来モデルではミリ波レーダーを使って車両を検知したが、現行モデルは車間距離を維持できるクルーズコントロールのために機能する。
従ってミリ波レーダーは緊急自動ブレーキのセンサーとしては使われない。逆にクルーズコントロールにカメラは併用していない。開発者によると「役割を分担した方がコストが安い」とのことだが、ミリ波レーダーと単眼カメラで緊急自動ブレーキの車両検知をすれば、作動速度の上限を時速80kmから100kmに引き上げることも可能だろう。
このほか後方の並走車両を検知する機能も備わり、車線変更時の事故防止に役立つ。
【ハリアー】インパネを上質に造り込んで前後席ともに居住空間が広い
ハリアーの内装は、外観と同様に日本的な高級感で仕上げた。インパネの表面に使われるのは本革ではなく合成皮革だが、見栄えの不満は感じない。ステッチやメッキパーツの使い方も巧みだ。イミテーションでもここまで緻密に造り込めば文句はないだろう。大切なのは本物か否かではなく、ユーザーがどのように感じるかだ。
前席の座り心地はLサイズSUVの平均水準で、適度に柔軟に仕上げた。サイズにも余裕がある。エレガンス以上のグレードではシートの表皮がファブリックと合成皮革になり、この肌触りも良い。
後席は床と座面の間隔が十分に確保され、柔軟性はいまひとつだが、座り心地はおおむね快適だ。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕があるから、ゆったりとリラックスできる。
注意したいのは緊急自動ブレーキを作動できる安全装備の設計が古いこと。センサーがミリ波レーダーのみだから歩行者を検知できない。上級グレードにはカメラセンサーが装着されるが、車線の逸脱を警報したり、パワーステアリングに修正操舵の支援をするだけだ。
プリウスやランドクルーザーなどが採用する、ミリ波レーダーと単眼カメラを使ったToyota Safety Sense P(トヨタセーフティセンスP)を装着して欲しい。
内装・装備の総評
ここで取り上げた3車種は、いずれも上級SUVとあって内装の質は満足できる。特にハリアーは国内市場をターゲットにして開発されたこともあり、上質感が分かりやすい。演出の仕方が過剰気味ではあるが、高価なクルマに乗っている満足感を得やすい。
居住性は前席については各車ともに満足できるが後席は差が付く。頭上と足元の空間が狭く感じる車種はないが、アウトランダーは膝の持ち上がる着座姿勢に注意したい。
安全装備はCX-5が最も進んでいて、次が改良を受けたアウトランダー。ハリアーは緊急自動ブレーキが歩行者を検知できず、全般的に古くなった。2017年の中盤に実施されるマイナーチェンジに期待したい。
なお今回取り上げた3車種は、いずれもシティ派SUVだ。悪路を走るイメージはなく、荷室の防水処理なども施されてはいない。SUVではあるが、機能的には背の高いワゴンと考えた方が良いだろう。
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