エスティマ/オデッセイ/エルグランドを徹底比較 ~根強いファンが多いロングセラーのミニバン~(2/4)

エスティマ/オデッセイ/エルグランドを徹底比較 ~根強いファンが多いロングセラーのミニバン~
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初代モデルから採用を続ける卵型の外観が特徴

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エスティマは1990年に発売された初代モデルから3代目の現行型まで、一貫して卵型の外観を採用する。初代モデルはエンジンを前席の下に搭載し、2/3代目はボンネットの内部に収める一般的な方式になったが、基本デザインは踏襲された。

ボンネットを短く抑え、フロントウインドウの前端を大きく前進させて角度を寝かせている。そのためにボンネットからフロントウインドウ、天井にかけるラインが直線的で、なおかつ天井を後ろに向けて下降させたから、外観が滑らかな「卵型」に仕上がった。

ボディサイズは全長が4820mm、全幅が1810mm、全高は1745mmだ(ノーマルエンジンのアエラス)。全長と全幅はクラウンに近い大きさで、全高はミニバンだから大幅に上まわるが1800mmは超えていない。ヴェルファイア&アルファードに比べると140mmほど低く抑えた。天井が低めになることも、外観がスマートに見える理由だ。

エンジンは直列4気筒の2.4リッターで、最高出力は170馬力(6000回転)、最大トルクは22.8kg-m(4000回転)とされ、2.4リッタークラスのノーマルエンジン搭載車では平均的な性能になる。同じエンジンをベースに開発されたハイブリッドも用意する。

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低床設計によって全高を1700mm以下に抑えた

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オデッセイはもともと後席側のドアが横開きとなる比較的背の低いミニバンだった。特に3/4代目では全高が1550mm以下のグレードも用意され、3列シートのミニバンでありながら立体駐車場を使いやすかった。

ただし最近はミニバンの需要が下降しており、多人数乗車や大きな荷物の積載など、明確な目的を持つユーザーしか買わない。「何となくミニバンを選ぶ」という時期は過ぎた。

そうなると背の低いワゴン風のミニバンは販売が難しく、オデッセイも現行型の5代目で、後席側のドアをスライド式にする背の高いタイプに切り替えた。

ただしそれでもなお、全高はアブソルートが1685mm、標準ボディが1695mmと低めだ。全長はアブソルート/標準ボディともに4830mmで、全幅はアブソルートが1820mmで標準ボディが1800mmとなる。

背を低く抑えた背景には、低床プラットフォームの採用がある。エスティマやエルグランドと同様のフラットフロア構造で、従来型に比べると3列目シートの床と座面の間隔を拡大させた。このフロア形状を採用しながら、床が高くなるのを抑えたことが特徴だ。

その結果、ハイルーフミニバンに必要な居住空間を確保した上で、1700mm以下の全高を実現させている。

合理的に考えると、必要な最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)、室内高、床面構造を実現できれば、床は低いほど機能を向上させやすい。乗降性が優れ、低重心になって車両重量も軽くなるから、走行安定性、乗り心地、動力性能、燃費などに良い影響を与える。

ただし「ミニバンの売れ行き」では、別の情緒的な要素も絡む。床を持ち上げて背を高くした方が、外観が立派に見えて、乗員にとっては周囲の見晴らしも利く。コマンドポジション(高いアイポイントで周囲の車両を見晴らす着座位置)という表現もあり、天井と視線の高さが歓迎される。

同様の事情はSUVにも当てはまるが、オデッセイは合理的に造り込んだものの、背が低めだから売れ行きはいまひとつ伸びていない。ミニバン開発の難しさがある。

エンジンはノーマルタイプが直列4気筒の2.4リッターで、アブソルートは直噴式を採用する。

アブソルートの動力性能は最高出力が190馬力(6400回転)、最大トルクは24.2kg-m(4000回転)で、標準ボディに比べると15馬力/1.2kg-mの上乗せとなった。

このほか2リッターエンジンをベースにしたハイブリッドも設定されている。

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存在感の強いフロントマスクに特徴を持たせた

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エスティマの初代モデルは1990年、オデッセイは1994年に発売されて人気車になり、これに続くヒット作が、1997年に登場したキャラバン/ホーミーエルグランドであった。キャラバン/ホーミーはワンボックスの商用バン&ワゴンで、当時のエルグランドはその派生車種という位置付けだった。

初代エルグランドは、背の高い角張ったボディを採用して、スライドドアも備えた。駆動方式は後輪駆動だったが、基本的な特徴は現行型とほぼ共通だ。

現行エルグランドは3代目に位置付けられ、駆動方式はほかの2車種と同様、前輪駆動に改められた。

ボディサイズは、Lサイズミニバンの中でも比較的大柄で、ハイウェイスターの全長は4945mm、全幅は1850mmに達する。全高は前述の1815mmだ。

デザインはLサイズミニバンの典型で、メッキによって縁取られた大型フロントグリルが目立つ。エスティマも先ごろの変更でフロントマスクの存在感を強めたが、エルグランドはそれ以上だ。逆にオデッセイの見栄えは大人しい。

エルグランドでは、1815mmに抑えた全高が外観の見え方に影響を与えた。ウインドウの上下幅が少し狭く感じられ、しかも全幅がワイドだから、実際以上に背が低く見える。このあたりは賛否両論だろう。

エンジンはV型6気筒の3.5リッターと、直列4気筒の2.5リッターを用意した。売れ筋の2.5リッターは、最高出力が170馬力(5600回転)、最大トルクは25kg-m(3900回転)となる。

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デザイン・スペックの総評

外観のデザインやボディサイズが機能に与える影響として、視界と取りまわし性が挙げられる。

エスティマで注意したいのは、フロントウインドウを大きく寝かせてインパネの奥行が深いため、ボディの先端位置が感覚的に分かりにくいことだ。ほかの2車種もボンネットが見えず、車幅や先端位置の目安が乏しいが、エスティマではその度合いが強い。

エルグランドはドライバーや乗員の視線に対して、サイドウインドウの下端が高い。Lサイズセダンのような「囲まれた安心感」を演出するためだが、視線の高いミニバンでは、ボディの左側面を中心とした死角が増えてしまう。

オデッセイは視線の位置がライバル2車よりも低く、外観もウインドウの上下幅を十分に取ったオーソドックスな形状だから、外観の個性は乏しいが運転はしやすく感じる。

最小回転半径は、売れ筋グレードで見ると、オデッセイが5.4m(タイヤサイズは16/17/18インチ)、エルグランドは5.7m(18インチ)、エスティマは5.9m(18インチ/17インチのハイブリッドは5.7m)。エスティマとエルグランドでは、取りまわし性にも注意したい。

JC08モード燃費は、前輪駆動の2WDで見ると、エルグランドの2.5リッターが10.8km/L、エスティマのノーマルエンジン搭載車が11.4km/L、オデッセイアブソルートXホンダセンシングの7人乗りが13.6km/Lになる。

エコカー減税の対応は、エスティマはハイブリッドのみ。エルグランドは車両重量が1900kgを超えて重量区分が変わることもあり、2.5リッターのノーマルエンジン車でも自動車取得税が20%、同重量税が25%減税される。オデッセイアブソルートXホンダセンシングは40%・25%の減税だ。

なお、ノーマルエンジンでアイドリングストップが作動するのはオデッセイのみになる。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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