スズキ イグニス vs ホンダ フィット どっちが買い!?徹底比較(3/3)

スズキ イグニス vs ホンダ フィット どっちが買い!?徹底比較
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荷室比較

スズキ イグニスホンダ フィットハイブリッド

イグニスの荷室は、リアゲートの開口部の下端が高めで地上高は740mmになる。後ろ姿をカッコ良く見せるためでもあるが、荷物を収納する時は高く持ち上げる必要がある。その代わり床下に大型の収納ボックスを設けた。

後席には左右分割式の前後スライド機能が備わり、165mmの調節幅がある。6:4に分割して前方に倒す機能も採用した。倒した状態ではフラットな荷室になって使いやすい。

フィットはリアゲートの開口部が低く、地上高を約600mmに抑えた。なので荷物を高く持ち上げずに積める。

そして燃料タンクを前席の下に搭載するホンダ独自の設計だから、荷室の床も低い。後席は床面へ落とし込むように畳めるから、2名乗車時には、容量の大きなボックス状の荷室に変更できる。

また後席の下に空間があるので、座面を持ち上げると車内の中央に背の高い荷物を積める。イグニスと違って後席を前後にスライドさせる機能はないが、ユニークなシートアレンジを可能にした。

エンジンと動力性能比較

スズキ イグニス

イグニスのエンジンは直列4気筒の1.2リッター。最高出力は91馬力(6000回転)、最大トルクは12kg-m(4400回転)となる。ISG(モーター機能付き発電機)を備え、減速時の発電、アイドリングストップ後の再始動、エンジン駆動の支援(ハイブリッド機能)を担当する。モーターの最高出力は3.1馬力と小さく、ほとんど体感できないが、燃費の節約に貢献する。

フィットは前述のように3種類のエンジンをそろえるが、価格も考えるとイグニスのライバルは直列4気筒の1.3リッターだ。最高出力は100馬力(6000回転)、最大トルクは12.1kg-m(5000回転)を発生する。

ホンダ フィットハイブリッド

動力性能はイグニスが力強い。大きく影響したのは車両重量で、売れ筋のハイブリッドMXやMZは880kgだから、フィット13G・Fパッケージの1020kgに比べると140kg軽い。パワフルといえるほどではないが、軽快に加速する。実用回転域の駆動力にも相応の余裕があり、エンジンの性格が素直なことも特徴だ。

またISGを使うために、アイドリングストップの再始動音が静かで耳障りに感じない。

ホンダ フィット 1.3L 直噴 DOHC i-VTECエンジン

フィットはイグニスよりもボディが重く、なおかつエンジンが少し高回転指向になる。最高出力を100馬力の大台に乗せたのはホンダらしいが、CVT(無段変速AT)との組み合わせでは、そこまで回す機会はほとんどない。フル加速時でも4500回転が実質的な上限になる。

また最大トルクを5000回転で発生するが、4000回転付近でトルクとエンジン回転の上昇が伸び悩む印象で、高回転域は滑らかさに欠ける。実用回転域では不満はなく、ごく普通に走れるが、イグニスに比べると動力性能は見劣りする。

ボディ/サスペンション/走行安定性比較

スズキ イグニスホンダ フィット 1.3G Fパッケージ

イグニスの場合、ハンドルを切り込んだ時の反応が若干鈍く感じる。積極的に曲がれば旋回軌跡を拡大させやすいが、後輪の接地性は高い。今日の車両開発の流れに沿った安定指向になる。

旋回中に制動した時の4輪ABSの作動は、ブレーキ油圧の増減制御をもう少し綿密に行うと良いが、全般的に運転しやすい。最低地上高を高めたことも、ほとんど意識させない。ここでもボディの軽さが利いている。クセのない運転感覚だ。

フィットはイグニスに比べるとスポーティー。ベーシックな13G・Fパッケージでも、操舵感が少し機敏になる。なのでコンパクトカーとしては、車両を回り込ませやすい。その代わり後輪の接地性が少し削がれる。基本的には安定指向だが、イグニスに比べると味付けの範囲内で機敏な動きを重視している。

乗り心地比較

スズキ イグニスホンダ フィット 1.3G Fパッケージ

イグニスは乗り心地が硬めだ。感覚的にいえばタイヤの硬さを感じる。バタバタした粗い印象はないが、角が少し立っている。装着していたタイヤは16インチ(175/60R16)で、銘柄はブリヂストン・エコピアEP150。指定空気圧は前輪が250kPa、後輪は220kPaだ。転がり抵抗の小さな低燃費指向のタイヤを装着して、なおかつ指定空気圧は少し高い。最低地上高に余裕を持たせた影響もあると思うが、SUV風の外観には、もう少し柔軟な乗り心地が似合う。ただしこのサイズのクルマでは、多くを望みにくいこともあるだろう。

フィットも機敏な操舵感と引き替えに乗り心地が少し硬いが、以前に比べると改善された。もう少し柔軟性が伴うと好ましいが、イグニスに比べると快適だ。

装着していたタイヤは14インチ(175/70R14)のダンロップ・エナセーブEC300。これもエコタイヤだが14インチで、指定空気圧は前輪が220kPaで後輪は210kPa。なのでイグニスに比べると有利になった。

安全装備比較

スズキ イグニス

装備で差が付くのは安全面だ。イグニスのセーフティパッケージ装着車には、デュアルカメラブレーキサポートが備わる。2個のカメラをセンサーとして使う緊急自動ブレーキで、車両だけでなく歩行者も検知する。カメラを使うから、車線逸脱やふらつきの警報も行う。作動速度の上限は時速100km。サイド&カーテンエアバッグも併せて装着される。

フィットはあんしんパッケージを用意した。赤外線レーザーを使うので、作動速度の上限は時速30kmと低い。歩行者は実質的に検知できず、車線逸脱の警報なども行えない。サイド&カーテンエアバッグは装着される。

ホンダ フィット 1.3G Fパッケージ

価格の安さが重視される軽自動車であれば赤外線レーザー方式も理解できるが、コンパクトカーのフィットでは、グレードアップをめざすべきだ。ヴェゼルなどは、ミリ波レーダーと単眼カメラを併用するホンダセンシングに向上させており、フィットもこの方式を使う時期にきている。

ちなみにヴェゼルのホンダセンシングの単品価格を算出すると7万円。フィットのあんしんパッケージは、サイド&カーテンエアバッグを含めて6万1715円だから価格差は小さくないが、搭載車が増えればコスト低減も進む。

イグニスのセーフティパッケージ装着車は、サイド&カーテンエアバッグも含めて9万7200円の上乗せだ。やや高価だが、機能を考えればイグニスが割安になる。

燃費とエコカー減税比較

スズキ イグニス

JC08モード燃費は、イグニスのハイブリッドMXとMZが28km/Lで、2WDのエコカー減税は自動車取得税が80%、同重量税が75%になる。

フィット13G・FパッケージのJC08モード燃費は24.6km/L。エコカー減税は自動車取得税が60%、同重量税が50%だ。イグニスはボディがコンパクトで軽く、燃費性能と減税率の両面でフィットよりも優れている。

価格比較&総合評価

スズキ イグニス

価格はイグニスハイブリッドMXが150万1200円、フィット13G・Fパッケージが142万5000円(両車とも緊急自動ブレーキのオプション価格を除く)。イグニスにはアルミホイールや装飾類が充実するから、価格と装備のバランスは同程度だ。

となればシートアレンジが充実して内装の質や後席の居住性が高まる分だけ、フィットが買い得と判断できる。

ホンダ フィット

特に後席と荷室の広さはフィットの圧勝だから、ファミリーユーザーにも推奨できる。総合評価はフィットの勝ちだ。

イグニスはスポーティーな雰囲気を好み、なおかつ後席と荷室の使用頻度が低いパーソナルユーザーに適している。軽快な運転感覚はイグニスのメリットで、燃費でも勝る。安全装備も先進的だ。

価格はほぼ同等なので、好みと用途に応じて選び分けるのが良いだろう。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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